DANCE HISTORY OF A MAN

1985年の原宿のストリートから始まる物語。 ある男”GO”のダンス人生です。 最初から読むと、きっとハマリます(笑)

History

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0062_意識改革

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S.I.JOEでのショーデビューは、思った以上の効果を我々に与えた。

まず、このショーを見た学生達から学園祭のゲスト出演の依頼が来た。
(この年は確か2〜3校の大学から依頼があった。)
当時は、ダンスサークルの存在もまだまだ少数で、ダンサーと一般人の垣根が高い時代。
一般学生にとっては学園祭を盛り上げる為のヒップホップのパフォーマンス等は外部発注が当たり前。
今回の件で約10分〜15分のショーパッケージを有した我々は、その恰好のターゲットになった訳だ。

同様にJOE以外の都内クラブからのゲストパフォーマーとしての依頼も来るようになる。
年末に向けて顧客確保の為、様々な店舗でイベントやパーティーが行われ、その出し物の一つとしてダンサーが必要であった。
元々、都内でもダンサーの巣窟として有名だったJOEに対して、横の繋がりでダンサーの紹介を頼んでくる他店舗は多かった。
そんな中、店のお抱えダンスチーム的存在の我々は使い易かったのであろう。(間接的にJOEの宣伝にも繋がるわけだ。)

こうして我々JAZZ BOOは、秋の学園祭シーズンと各クラブのイベントの波に乗り、各方面で踊りまくった。
先方にとってタイミングも良ければ、ギャラの金額的にも妥当だったのであろう。
12月のクリスマス直前まで、今回のパッケージを何回踊ったか分からないくらいだ。



そして、これを期に私の中で大きな変化が起こる。


当時、セミプロという呼ばれ方をしていた我々だが、一回のショーにつき数万円のギャラを受け取るようになった。

「1円でも貰ったらプロとしての意識と責任を持たなければならない」

以前にプロダンサーとして活動していく決心を固めた私は、上記の気持ちを強く持っていた。
この時、自分達のダンスに金銭が発生しているという事実に、コレまでのただダンサーに憧れて踊っていた頃とは全く違うステップに上った事を認識したのだ。


毎回披露する我々のショーの、どの部分が受けるか、また逆にドコが間延びするのか等を初めて考えるようになり、チーム全員でそれらを良くする為に全力を尽くす。
よりシビアに、客観的に、様々な視点から自分達のダンスを研究するようになったのだ。
個人的なテクニックの向上は勿論、グループ全体としてのスキルアップや特徴を作る事なども考えるようになる。
当然のように練習量は、以前の2〜3倍に。
そして、プロダンサーという存在をより意識し、プロフェッショナルという責任を感じ始めた。

S.I.JOEのデビューから始まったこの営業の嵐が、本当の意味での私のプロとしてのスタート地点になったようだ。



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1990年10月30日、我々のS.I.JOEでのショーデビュー当日が訪れた。
緊張からか、毎日のようにいるはずの店の雰囲気に違和感を感じた。

今回のイベントタイトルは「THE BLACK MARKET」。
メインのゲストダンサーは横浜で活躍中の超有名グループVISION

そして、セミプロチームとしてフロントアクト的な存在のチームが4チーム。
元々、JOEの常連客としても有名で、当時の若手注目株のダンスグループ、CRAZY CRASH
「DANCE DANCE DANCE」の第2回放送出演グループ、女の子3人組の100 POWERS
後の「DANCE DANCE DANCE」チャンピオンチーム、若手の中でも実力派のJ.B.GOLD
そして我々、JAZZ BOOであった。

セミプロと称された我々は以前からのダンス仲間同士で、知った顔ばかりである。
その環境は、緊張しまくっていた私に少しの安堵感を与えた。

さて、本番・・・。
フロアに登場した瞬間、店の常連仲間達から温かい声援が飛んだ。
最初の曲は新ネタ「BLACK CAT」。必死に踊る・・・。
そして、「FEELS GOOD」。世間にはこちらの方がお馴染みなので、多少の盛り上がり・・・。
https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/47/53/ankh_go/folder/497938/img_497938_33392710_1?-1

とは言え、実はこの時の本番での事は正直ほとんど憶えていない。
やはり相当緊張していたんであろう。

今となっては最後のゲストダンサーVISION以外の出演順すら分からない。
ひょっとして、潜在意識の中で忘れてしまいたい程の事だったのか・・・笑

ともあれ、無事に(?)我々はクラブでのショーデビューを果たした。
何度も記しているように、この当時としてはとても大変な事であった。

そして、このデビュー戦によって我々のダンサーとしての確かな歩みがスタートする事になる。


THE BLACK MARKET

以前にも記した事があるように、当時のクラブでは店舗主催のイベントが常識であった。
現在のイベントスタイルになっている、貸切イベントは通常、週末の夕方や平日に行われる事が普通であった。
その為、このようなイベントは店にとっても、客にとっても大イベントで、集客率も相当なものであった。
店側にしてみれば、ハロウィン、クリスマス、バレンタイン等はイベントを行うのには恰好のチャンスで、営業的にも臨時収入の大きな柱であった。
当然の様に同時期、開催される他店舗との差別化や、集客競争も大変なものであった。
ここ、S.I.JOEでは、当時まだマニアックな部類に入るブラックカルチャーとダンスを一面に出し、コアなファン層を集めていた。

幸運な事に当時のチケットと、我々のファンなってくれた子が撮ってくれた貴重なショーの写真が残っていたので掲載!(笑)


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さあ、念願のS.I.JOEのショーパフォーマンス初登場である。
話を受けてから、いかに自分達の存在を世間に知らしめるかを考え、選曲、構成を行った。
参考に出来る資料も少なく、当時まだ、素人に毛が生えた程度の私にとっては大変な作業だった。

構成は2曲。現在当たり前のように行われている、MIXはせずに一曲ずつ完結のモノだ。
いわゆる、シンガーが2曲歌うのと同じようなノリである。
これは当時、割と普通のショー形態であった。

まずは「DANCE DANCE DANCE」で使用し、我々が世に出た一発目の楽曲「FEELS GOOD」のウルチミックスを選び、踊りもテレビで披露した印象的なシーンを残しリメイク。
もう一曲は当時発売されたばかりの「BLACK CAT」。
大ヒットしたジャネット・ジャクソン「RHYTHMNATION」のアルバムからのシングルカットで、完全にロックな楽曲だ。
この曲は当時のS.I.JOEチーフDJ野手氏が推薦してくれた。
というよりも、「コレでやれ」と命令・・・笑

この頃、DJを含めJOEのスタッフは我々のグループへの協力を惜しまずにしてくれた。
彼らの豊富な知識や経験からのアドバイスは我々にとって大きな財産となり、武器ともなった。
というわけで、この頃の私なら決して選曲する事が無いであろうロックなこの曲を、情報の早いDJに強く薦められ、何も分からないまま納得し、踊る事となった。(笑)
この曲にはロックダンスの要素を多く含んだ振付をする事にした。

こうして、約10分のダンスショーの構成が出来上がった。


そして、この時より女性メンバーが加入する事となる。

以前より私は、女性の加入によって表現の幅が広がり、ファン層も厚くなるのではないかと考えていた。
メンバーのササボーの彼女、MEGU。当時高校3年生、18歳である。
彼女は、我々の練習に付き合って、見て真似するうちに自身の柔軟な感性で、必死に練習する我々よりも早く身に付けるダンススタイルがあるほどの才能の持ち主だった。
本人自身もダンスに対しての興味が非常に強く、お互いに良いタイミングであった。
https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/47/53/ankh_go/folder/497938/img_497938_31992774_1?1149860116

こうして4人構成の新生「JAZZ BOO」が、我々にとっての聖地「S.I.JOE」でスタートする事になる。


当時のダンス業界では、暗黙の了解で集客を義務付けられる。
コレは、「どのダンスチームを出せばどれだけの集客に繋がる」「ならば、ギャラはコレだけ」
「今後もお願いしよう」「もう、集客できないなら使わない」・・・
などのシビアな評価に繋がる重要な事項だった。

チケットノルマのような事ではないのだが、とにかく各方面への自分達の評判の大切な要素だ。
集客はとにかく頑張った。
結果、我々への声援も増え、ショータイムも盛り上がり、知った顔が多ければリラックスした状態でパフォーマンスが出来るという事だ。
自分達自身の為にも、店へのアピールの為にも良い効果をもたらす。

まあ、人を呼ぶからには下手なパフォーマンスも出来ない。
良くなければ、チームの評判は落ち、次からは見に来てくれなくなる。
しかし、良いパフォーマンスが出来ればファンになってくれる可能性もあるし、我々のショーの度に足を運んでくれる人々も出来る。
一回一回のショーが真剣勝負だ。

ショーケースの当日まで、ダンスのクオリティを上げる努力と集客活動に力を注ぐ日々が続いた。


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0059_クラブの従業員

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そんなこんなで、中途半端に顔が売れてしまったが、芸能人になった訳でも、番組のレギュラーになった訳でも、スーパーダンサーになった訳でもなく、ただのクラブ従業員な私。
大好きなダンスの練習をし、気の良い仲間達とクラブで働きながらも楽しい毎日を過ごしていた。
勿論、次のステップアップの材料も探してはいたがなかなかチャンスが訪れなかった。


我々が出演した「DANCE DANCE DANCE」の収録以降も、3週に一回の収録時には観覧者として参加し、友人達の踊りを応援した。
一般観覧者は何かと局側から制限と付けられるのだが、我々は、初期出演者という事もあって番組スタッフにも顔を覚えてもらっていたので、何かと優遇してもらっていた。

その代わりといってはなんだが、番組スタッフ達も出演レギュラーダンサーのSAM氏達と共にJOEに遊びに来る事があったので、その辺はお互い様だったのか・・・?
しかし何事も繋がりが大切である!(今でも切実に思うことだ・・・笑)

とにかく当時のS.I.JOEは「DANCE DANCE DANCE」の出演者達もそうだが、当時のヒップホップムーブメントに携わる重要人物たちが多く遊びに来てくれていた。
https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/47/53/ankh_go/folder/497938/img_497938_31264186_3?1144539784
(↑当時からMEGAMIXとして活躍していた、KAORU氏やHIROKO氏も常連の顔でした)

私の個人的な観点から言うと、関東圏では六本木のCIRCUS(サーカス)、Droopy Drawers(ドゥルーピー・ドゥルワーズ)、横浜のCIRCUS、そして渋谷のS.I.JOEという店舗が当時のヒップホップの中心であった。


ただ、当時のクラブはまだディスコ色も色濃く残っており、我々従業員は新規の女性客に積極的な接客を義務付けられたり、時代遅れなユニフォームを着用させられたりした事は苦痛であった。

しかし、これらも我々スタッフの感性を大切にしてくれた当時の店長との話し合いで解決。
ダンサーやDJ志望の従業員達はその筋の仲間を大切にしてゆく事となり、ユニフォームもいわゆる自前のヒップホップファッションを着用出来るのであれば自由と、わりと開放的な雰囲気になっていった。

この様な恵まれた環境の中、コネクションを広げつつも、ある機会が訪れる。
この店での従業員を始めた大きな理由の一つ。
そう、S.I.JOEのショーで踊るチャンスが訪れたのだ

10月のハロウィンパーティーの企画として、プロダンサーとして横浜を中心に当時大活躍をしていたVISIONをゲストに向かえ、セミプロダンサーとして、我々JAZZ BOOや同期の仲間達のチームに声が掛かった。

入店後約3ヶ月で訪れたチャンスだ。


六本木サーカス

当時の東京ヒップホップカルチャーの総本山。この店が無かったら、現在のヒップホップシーンが無いと言っても過言ではない。
現在の目黒食堂のオーナー唐氏によって手掛けられたクラブである。
EXILEのHIRO氏やZOOのLUKE氏はこの店の従業員であった。
後のR?Hallの箱である。

横浜サーカス

横浜のヒップホップの聖地。ベースの黒人達からのレアな情報やステップが一早く入手出来る重要な場所であった。
六本木サーカスもこの店の分派。
横浜にありながら、東京のダンサーやクラバーがわざわざ足を運ぶ店であった。

Droopy Drawers

六本木においてサーカスと肩を並べ、ヒップホップムーブメントを牽引してきた店である。
芸能人や著名人たちが隠れ家的な存在として常駐するマニアックな店ではあったが、コアなDJ達の選曲により常に多くの人々で賑わっていた。
当時の店長は、現在私と一緒にイベント運営を行っている武田氏である。(当時からお世話になってます・・・笑)


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0058_反響

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「DANCE DANCE DANCE」の番組出演で得た経験は確実に私達を向上させていた。
毎回、番組やイベントに関わる度に良く成長出来たものだ。(笑)

当時の私達は、刺激を求める事は勿論だが、それ以上に経験を欲していた。
この様な経験を積む度に、新しい事柄を自分自身の肌で覚え、前進して行くパワーに切り替えていたのだ。

番組内での勝利を得る事は出来なかったが、それ以上の収穫が我々には感じられていたのだ。


しかし、その余韻に浸っていてはその場でストップしてしまうと思っていた私達は、自らスキルアップの為の様々な課題を課しながらも今までの生活に戻った。

日常はクラブS.I.JOEの従業員と居酒屋のバイトと昼間の練習の日々だ。

ある時、JOEのバイト中に見知らぬ客から声をかけられた。
「TV見ましたよ。あなたですよね?」

深夜枠のマニアックなダンス番組でも、この頃クラブなんかに遊びに来る客層だと結構見ているものだ・・・。
ちょっと勘違いしながら優越感を覚えて調子に乗っていた・・・。
すぐに調子に乗ってしまうのは以前より変わらない・・・・笑

すると、以前から顔は知っていても話した事がない同じ世代のダンサー達が急にフレンドリーに声を掛けてくるようになった。
業界的には話題の新番組に出演し、更にクラブの従業員となれば、彼らにとっては仲良くしておく事が得策なのだろう。

まあ、ある程度の予想はしていたが、それ以上の反響に驚かされた。
この頃はまだメジャーなタレントのバックに我々のようなスタイルのダンサー達が抜擢される事もなく、ヒップホップ業界的にもメディアへの進出という意味では大きな前進だった。

「DA DA」のソロコンテストも開始当初は話題になったが、この頃では「DANCE DANCE DANCE」のショーケースのコンテストスタイルが特に話題を呼んでいた。

私は正に、渦中の人である。

番組開始直後の出演という事もあり、優勝チームではないのだが、多くのダンサーやクラバー達からチェックされていたようだ。
おかげで、この時期からダンス業界、クラブ業界において友人や知り合いが爆発的に増えた。

後に、知人が増える事によっての利点が多く感じられるようになる。有難い事だ!

この様な一見人気者(?)になった私を、クラブサイドとしても利用しないのはもったいない。
客呼びやナンパまがいな接客の道具としても店からは使われたが、まあこれは仕方のないことだろう・・・。
逆に、もっと店に恩を売っておこうと考えた。

ダンス業界での出世の為の一要素を大切にするべきと純粋に思っていたのだ。




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'''Ankh Ankh'''
http://www.ankh-ankh.com/

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