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所要があって新橋・汐留付近に赴いた際に、パナソニックが運営している美術館を目撃し、以前から一度訪れてみたいと思っていました。「いつか、いつか」と念じているだけでは、その「いつか」は永久にやってきませんので、11月の週末に行ってきました。
パナソニック汐留ミュージアム
港区東新橋1−5−1 パナソニック東京汐留ビル4階
この美術館は、2003年4月に開館したもので、松下電工(当時)が1990年代から収集してきたフランスの画家ジョルジオ・ルオー(18711−1958)の油彩・版画のコレクションが中心となっています。約230点のコレクションを所蔵しており、常設展示しているほか、ルオーに関する企画展が随時開催されています。
展覧会は3章に分けられており、第1章は「カンディンスキーとルオーの交差点」と題し、両者の力強い初期の作品を紹介しています。
カンディンスキー「商人たちの到着」(宮城県美術館)。モスクワ大学法学部で学んでいたという作者がロシアの風景を描いた作品。
カンディンスキー「水門」(宮城県美術館)。ロシアでスケッチをしたと言われています。かつてスーズダリを訪れたときのロシアの農村の原風景を想起させる絵だと思いました。
ルオー「法廷」(パナソニック汐留ミュージアム)。赤い服を着た裁判官と、被告人、弁護士の表情に注目すべき他、人が人を裁く不条理への疑問を投げかけていると言われています。
第2章は色の冒険者たちの共鳴と題して、ドイツ表現主義の画家たちとの親和性を感じ取るという企画でした。
パウル・クレー 「老いたる不死鳥」(宮城県美術館)。羽のない鳥が描かれている不気味な版画です。
ハインリヒ・カンペンドンク 「郊外の農民」(宮城県美術館)。動物たちの表情は温和に思われますが、全体が赤色で、全体を覆っている不安感のようなものを表現されているのかもしれません。
エーリヒ・ヘッケル 「木彫りのある静物」(広島県立美術館)。アジア、アフリカ方面へ膨張していく時代を背景に、未開の地と思われていた風物がモティーフになっています。
これらの作品とともにカンディンスキーやルオーの作品が対比する形で展示されています。この時代を満たしていた、漠然とした違和感、社会に満ちている不安が表現されているとの説明が付されていましたが、分かったような分からないような感じがします。
その時代を実際に生きていたわけではないから分からないのか。他方で、その時代を生きていれば分かるものなのか。今生きている時代の雰囲気というのは、その時代に所属してしまっていれば、実態として認知できないものでもありましょう。
第3章は、「カンディンスキー、クレー、ルオー それぞれの飛翔」と題して、それぞれのその後の充実ぶり、成熟ぶりが示されます。
クレーは温かみのある色彩と形を究めた抽象画への進んでいきます。パウル・クレー「橋の傍らの三軒の家」(宮城県美術館)。
パウル・クレー「綱渡り師」(宮城県美術館)。風刺の要素も盛り込まれていると言います。
カンディンスキーは幾何学的モティーフを用いるようになっていきました。
カンディンスキー 「素描」(1927年)(宮城県美術館)。
ルオーは、層状に塗り重ねた絵具が発色するかのような画風の中から宗教的な深淵さが発出されます。「秋の夜景」(パナソニック汐留ミュージアム)。
ルオー「降誕」(ジョルジオ・ルオー財団)。 これらの油彩は、間近でみると、乱暴に絵具が塗り重ねられたように見えます。本当に絵具が盛られているのに、離れて鑑賞するとそのように見えてくるから不思議です。風景画にキリストを登場させて、宗教的色彩を感じさせる絵画に仕上がっています。
こういった美術の方面には何ら知識があるわけではありません。それでも、実物を見るというのは、やはり何か感じるところはあります。
来年(2018年)1月13日(土)〜3月21日(水)は、ヨーロッパの名窯「ヘレンド」の陶磁器作品を紹介する展示会が企画されているようですから、再訪してみたいと思っています。 |
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2017年12月05日
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