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「それでどうだった?」
「うん・・・結局どうして私に遺産をくれるのか、わからなかった。」
「えっ?家族の人もか?」
「うん。わからないって。それに息子夫婦っていうのが来たんだけどすごく感じ悪くて、人を見下すような態度なのよ。もう頭来ちゃって。」
「へえええ。息子夫婦か・・・そりゃしようがないだろうな。遺産を10億も他人に持ってかれちまんだからな。」
「そうだけど。それにしても失礼なやつらなのよ。」
「まあまあ、落ち着けよ。それで10億はどうするんだ?」
「そうねえ・・・おばあちゃんに聞いてみようかな・・・」
「おばあちゃんって大阪の?」
「うん。ほんとはおばあちゃんの妹なんだけど、ほんとのおばあちゃんは私が生まれる前に死んじゃったからずっとおばあちゃんって呼んでるの。父と母が事故で死んでからはずっと親代わりみたいなものだったし、ひょっとして何か知ってるかもしれない。」
「そうか。そうだな。」
「来週、大阪に行って来るから。」
葉子は最近会っていなかった大阪の祖母の妹、木綿子を訪ねる事にした。
「あら、いらっしゃい。元気だった?」
「ご無沙汰してしまってすいません。」
「何言ってるの。さあ、上がって。」
葉子は懐かしい家にいた。
葉子が中学生の頃、両親が交通事故で一度に亡くなってしまった。
だがまだその頃は、兄が生きていた。
兄は葉子より7歳上で、当時兄の隆志は大学を卒業したばかりだった。
兄は就職し、葉子の学費も全て出してくれた。
優しい穏やかな人だった。
兄の隆志は木綿子に言わせると父にそっくりだったらしい。
しかしその兄も5年前、飛行機事故であっけなく死んでしまい、葉子は独りぼっちになってしまった。
両親が死んだ時も兄が死んだ時も木綿子は葉子を励まし、相談に乗ってくれた。
木綿子には子供がいなかった事もあり、自分の孫のように可愛がってくれた。
「早いわね。葉子ちゃんのお父さんとお母さんが亡くなってからもう10年も経つのね。」
「はい。私が13歳でしたから。」
「そうだったわね。隆志君が高校を卒業してすぐだったものね。」
「はい。でもあの時はお兄ちゃんがいてくれたから、淋しくなかったけど。」
「本当に仲のいい兄弟だったもの。でもその隆志君まで・・・」
「ええ。」
「ところで、電話で言ってた遺産がどうとかって何?」
「それが私にもよくわからないんですけど。おばあちゃん、菱友って人知りませんか?」
「えっ?菱友?」
木綿子の顔色が明らかに変わった。
「おばあちゃん、菱友を知ってるんですか?」
「えっ!そりゃ大きな会社だから・・・私だってそれぐらい知ってるわよ。」
「いえ、そうじゃなくて。菱友宗一って人を知りませんか?」
「会長・・・」
「えっ!やっぱり知ってるんですね。」
「う、ううん。知らないわよ。知ってるはずないでしょ。」
「でも・・・」
「それでその菱友がどうかしたの?」
「実はその菱友って人が最近亡くなったんだけど私に遺産をくれるって遺言があったらしいんです。」
「なんですって!」
「でもどうして私に遺産をくれるのかわからなくて・・・おばあちゃん何か知らない?」
「さあ、知らないわ。」
「でも・・・」
結局木綿子は最後まで知らないと言い続けた。
やがて仕事で出かけていた木綿子の夫も帰宅して、それ以上木綿子からは何も聞く事が出来なかった。
その夜、泊めてもらう事になった。
深夜葉子が眠れず、水でも飲もうと降りてきた時木綿子夫婦の話声が聞こえてきた。
「やあねえ、今さら。」
「でも10億だぞ。」
「そうだけど。葉子ちゃんに何て言えばいいのか・・・」
「うーん・・・もういいじゃないか。あれから10年も経ってるんだし。当の隆志君ももういないんだ。」
「でもあの事は絶対葉子には言わないでくれって、博史の最後の言葉だったのよ。」
「そうだけどなあ・・・」
葉子は二人の会話を聞きながら、いったいどんな秘密があるのか知りたくなった。
木綿子たちは何をかくしているのだろう。
しかもどうやら兄の隆志が何か関係があるらしい。
今度の遺産の件にどう兄が絡んでいるのか・・・
しかし木綿子に聞いても教えてくれそうもない。
つづく
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兄の死にどんな秘密が?それと、戦時中の話も絡みますよね?楽しみです^^
2007/12/16(日) 午後 0:12
いろいろな謎が少しずつわかってきます。さて葉子は10億円もらえるのでしょうか?次回もよろしくね。
2007/12/18(火) 午前 3:06