藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

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向精神薬が濃厚に絡んだ場合の失敗/脱落/追跡不能/評価不能の症例は数多く存在し、約7〜8割に上ります。厳しい症状を惹起した背景の責任所在はさて置き、現症を理解出来た事は回復の可能性を掴むチャンスではあるものの、日々の体調不良、先の見えない辛さに根負けする方々が後を絶たないのも現状です。

離脱症状は単衣に身体依存~精神依存から生じた禁断症状ですが、アルコールやギャンブル等と異なる点は、世間一般的には治療を標榜する行為で起きた事情の為、周囲の理解も全く追い付いていません。只、受療動機や発症エピソードを伺う限り、その大半はアディクトではなく、純粋な常用量離脱(常用量依存)や、自己判断、他者誘導、災害に伴う薬物供給の途絶等によるものも多く、感情的なイネイブラーの存在が少ないだけ、患者本人の積極性は高い印象を受けます。

治療頓挫の原因は冒頭の通りではありますが、その多くは2~3回で治療を打ち切るのも特徴として挙げられます。単回治療の場合、状態が如何なる方向に向いていたとしても、状態観察期間が短過ぎる為、個人的には全て評価不能と判定せざるを得ないのも正直なところですが、鋭敏に離脱症状を発症している身体環境に於いては、治療介入初期のリバウンドも起きていると推測される為、未だまだ治療介入に伴う反応の理解も追い付ていないのも現状です。

鎮痛や鎮静、抑制が治療であるとした感覚に慣れている場合、その逆を進む神経機能の賦活化時に訪れるリバウンド症状は、時として極めてネガティブに感じられるものかもしれません。そのような中、治療行為に伴い頓挫傾向の強い層も見えてくるものです。大カテゴリとし、服薬契機による元症状か、離脱に伴い惹起された症状か、又は生まれ以ての性格や特性かの判断はこの場では言及しませんが、極度な不安や焦燥、恐怖等の精神症状を保有している場合、早期に治療は頓挫します。

何を取り込んでも常に不安を引き起こしてしまう側面がある場合、症状/状態を動かす事を大目的とする治療行為の分野に足を踏み込んだ場合も、やはり作用を求めれば反作用も有する物事はネガティブに捉えられ易い印象を受けますし、治療介入に伴い、私自身が治療を行うにあたって最も懸念している事は、更なる不幸を引き起こさないかとなります。更なる不幸とは、単回治療で回復すると過剰な期待を持ち、回復出来なかったからと人生を閉ざす例を意味します。

身体〜精神症状に日々悩み、何処まで落ちていくか分からないQOLに疲弊しているのは承知の上ですが、このような強い不安や焦燥等の精神症状を保有している場合、理解ある患者家族や周囲のサポートがなければ回復は無理だと思います。様々な要因で精神症状は引き起こされるかもしれませんが、元々が精神を動かす向精神薬としての役割が逆転し、ネガティブが生じている精神状態に関しては、何処までカウンセリングやリハビリと称する存在が価値や意義を持つかも不明で、そして幾らキレイ事を外部の人間が並べ、そしてその時は頷いていたとしても、殆ど無効だと思います。

それでも尚、何故、今の精神症状が引き起こされてしまっているのかを教える事は大切かもしれません。薬物やアルコールで生じた精神症状/精神疾患/精神障害の類に関しては、器質性精神異常と称されているかもしれませんが、仮に機能性でも器質性でも、声掛けや行動1つで治るなら、日本のみならず世界でも此れほど悩んでいる人はいないでしょう。

結論から申し上げますと、治療を介入するに於いても、短期決着を求め、切羽詰まった心境で望む場合、治療が不幸を招く確率は高く、治らないからとオーバードーズや一気断薬等をし、余計具合が悪くなるのであれば、治療を行わないという選択も患者利益として高くなる可能性があります。

昨年から今年に掛けては、PMDA初め、向精神薬の危険性も随分と周知、浸透し、公的機関でも取り上げられ、患者自身の理解の幅も拡がっての事か、回復例、回復率は上がっています。しかしそれは、公的機関が言う事が正しく、公的機関が言わない内はウソとする思考を備えている事も示唆され、個人的には手放しで喜べない脆弱性が孕んでいると同時に、例えば、今春はベンゾの危険性が大きく周知されましたが、この事で、ベンゾからオレキシン受容体拮抗薬への急激な置換に伴い、厳しいベンゾ離脱を発症した症例も出てもおり、どのように転がっても落ち着かない状態は続いています。

何処の誰が何と言ってても、自分の身体から起きている状態が全て事実なのですから、その事実は誰の言葉にも制度に変えられないものです。体調不良を訴えれば何かしかの病名も付くかもしれませんが、その価値がどれ程のものかは、患者自身で決めるべきだと思いますが、人間は焦り、不安になるほど視野は狭くなり、短期決着を望む生き物のようですが、その状態では中々回復出来ない事も随分見ています。コツコツと進めた方々が回復しているのは、向精神薬由来症例でも同様です。

また、私自身の復習も兼ねてブログは書いている為、重複する内容は多いかもしれませんが、向精神薬由来症例は、基本的には表に出難い症例です。害反応を認めるには都合が悪いエピソードばかり並ぶからです。ここ数年は減~断薬を標榜する医療機関も増えている一方、やはり、その難しさは患者から直接伺えます。

拡散性を求める場合、マニュアルは必要になるかもしれませんが、そのマニュアルが弊害を生んでいる側面もあるのは事実で、人間の生活とリンクさせながら症状の改善を見込む為には、月並みな表現かもしれませんが完全に個別で行う重要性と、患者側の状況理解による、患者主導での改善を目的とする必要性も高い印象を受けます。それは無責任と言う意味ではなく、患者の体調不良は患者しか分からず、イレギュラー性の高い要素を持つ症状からの脱却には患者側の協力が極めて必要になると思われます。

さて、そのような中、数年に渡り向精神薬由来症例と向き合った事で、幾つかの治療反応性に於ける関心事が生まれました。それは、前項とリンクする内容ですが、向精神薬を比較的中長期的に同量維持で服薬している患者群に対しての治療反応性が最も良いというものです。今更ながらの話かもしれませんが、場数も踏んでくると色々と私自身の考え方や向き合い方も変わってきますし、道の存在しない向精神薬由来症状からの回復は常に常に見直しの日々です。

後述する事にもなりますが、それは決して回復というカテゴリに置かれる存在でもありませんが、日々のQOLを向上させ続けながら回復へ向かわせる道標ともなるのではないかとの気持ちで書き残しておこうと思います。

その前に、改めて離脱症状とは何ぞやを簡単に振り返りたいと思います。先ず、何故このような状況が起きているかを考えますと、多くの国では依存や、それに伴う離脱症状、副作用の懸念より2~4週間迄とされているところ、日本には主にベンゾジアゼピンを代表とする薬物に処方期限が設けられていない事が挙げられます。勿論、何処の国でも中枢神経系に反応を及ぼす薬物は蔓延し、中枢神経にダメージを来した場合、如何なる理由であっても症状は呈するものかもしれませんが、その因子を遠慮なしに取り込める制度がガラパゴス的な弊害を生み続けているのは事実です。

但し、今更制度が云々と言うつもりもなく、私の立ち位置も又異なりますので、あくまで回復を目的とするにはどうしたら良いかだけを考えていきます。これらの症状は、数~数十年に渡り強制反応を強いられ続けた末に生じた、脳神経伝達物質の自己分泌能力の低下や、その受け皿となる受容体の変性や減少がネガティブな身体~精神症状を引き起こし、継続させているのは既知ではありますが、治療介入による回復過程に関しても、何故回復しているのか(何故回復していくのか)を幾度となく見直す必要性はあります。

先日、同量維持の服薬者が症状の改善自覚を得る理由の1つとし、「治療介入により薬が効くようになってきたから」「これはもしかしたら自己分泌能や受容体の回復が得られてきており、常用量離脱を起こす前の感覚(服薬当初の効果を自覚している感覚)と似ている」との推測を挙げました。

前項の通り、私ところには一気断薬後の危険極まりない事態になってからや、2~3度の服薬と断薬を急激に繰り返した後に薬が受け付けない状態(キンドリング)になってからが多い為、極めて不安定性の高い位置からスタートを切っていたのですが、比較的同量維持のままで体調不良を離脱症状であると認識してからの患者がPMDAの周知以降から増え始めた印象もある事から、改めて治療反応性を踏まえて考えていこうと思います。このように、緩徐に「薬が足りないよ」と騒ぎ出した中枢神経症状が、治療介入によって同量維持のまま症状の改善自覚を経た場合、幾つかの仮説を立てなければなりません。

例えば、抗不安作用、睡眠作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用等を当該薬物が持つ場合、離脱症状として現れる症状は、不安、不眠、筋緊張、痙攣です。どのような由来を持つ症例でも同様な事が言えるかもしれませんが、症状は得てして数値化は難しく、特に脳神経系が多分に関与する脳幹由来の諸症状は大きな日内日差変動も伴う事より、何処で評価判定すれば良いのかは常に悩みどころでありますが、この度は睡眠時間で考えてみようと思いました。

大雑把に表現をすると、GABAは大脳、大脳基底核、小脳、海馬、視床、視床下部、脊髄に受容体を持ち、セロトニンは延髄、橋、中脳の脳幹に受容体を持ち、内、GABAはカテコルアミン、セロトニンにも抑制機能が働く事を前提とし、脳幹の機能異常が大脳皮質等々へ機能異常として反映され、大脳皮質等々の機能異常が脳幹への機能異常として投射された場合、その症状の類は、メインの作用とは逆方向を向いた症状が先ずはメインで現れる印象を持つ他、脳全般への機能異常へと波及し、症状は幾らでも溢れ出る可能性があります。勿論、内外分泌にも大きな影響を与えます。

そのような中、GABAもセロトニンも延髄網様体賦活系及び視床下部に影響を及ぼす事から、睡眠時間で判定する事が簡便かもしれません。只、「不眠のみ」の受療患者がおらず、併発症状(又は既往症状)が2次的に不眠を生じた可能性もある為、純粋な離脱症状としての不眠か否かは判断に迷いますが、治療後の反応性として比較的短期で症状変動自覚を得られる睡眠時間を対象に、併発症状も簡単に併記し、症例を見ていきます。※年代や性別は若干適当に変えています

a) age 50 sex  f

リリカ トラムセット デパス リボトリール ルボックス ムコスタ

両下肢電撃痛 軽度の両上肢痺れ 慢性疲労 不安 うつ 不眠

姿勢、動作問わず、安静時に於いても同様の激痛が両下肢に及ぶ。x-ray及びmriでは異常所見が認められない事より線維筋痛症と診断される。初発は片側の下肢痛のみ。

受療前 2時間 受療後 初回治療後より5〜6時間に延長及び維持

b) age 40 sex  f

マイスリー ドグマチール レキソタン 他薬剤名不明だが抗うつ薬数種

両頸肩部痛 頸部後屈困難 両鎖骨部痛 立位時のみ目眩 ドライアイ様症状 頭鳴 ファシクレーション(全身)不眠

長年に渡りマイスリーを常用。何かの契機でドグマチールを処方され乳汁分泌が生じる。その事を医師に訴えたところ、マイスリーとドグマチールからレキソタンのみに急速置換後、上記症状を発症

受療前 3〜4時間 受療後 初回治療後より7~8時間に延長及び維持

c) age 20 sex f

デパス リーゼ リボトリール カロナール 他(薬剤名不明)

両頸肩上肢の不規則な痺れ 両腰下肢痛 対人恐怖 不安 うつ 不眠 

腰部痛を抱え、整形で観血的治療を施されるも改善せず、その後上記症状が経時経年で引き起こされる

受療前 1時間 受療後 初回治療後より3〜4時間に延長、その後5〜6時間で維持

d) age 30 sex f

デパス マイスリー レキソタン ロヒプノール ソラナックス レンドルミン セルシン

両下肢に電流が発作的に流れる 動悸 呼吸困難 顔面麻痺 顔面痙攣 肩部硬直 リウマチ様症状 易ウイルス感染 皮膚乾燥 難聴 不眠

受療前 0~1時間 受療後 初回治療後より2~3時間に延長、その後3〜4時間で維持

e) age 50 sex f

デパス メイラックス リボトリール ジプレキサ ラミクタール

両眼の奥に硬い棒を突っ込まれているような痛み 羞明 靄視 頭痛 動悸 身体を動かそうと思っても動かない 全身が筋張っている 耳鳴 頭鳴 髪の毛を抜き続ける 脳全体が痺れた感覚 頭痛と吐き気で立位保持困難 パニック症状 うつ 不眠

受療前 0~30分 受療後 初回治療後より、10日程度の期間を置き3〜4時間に延長

5症例を挙げました。全て、受療前の服薬内容及び服薬量を維持したまま受療した症例です。此処から減薬し始めた後の反応性及び、断薬後に不眠~絶不眠に陥った患者群に関しては後日述べようと思いますが、断薬後に症状が残存する事で受療し、症状群に不眠~絶不眠を有している場合、単回治療に於いては殆ど不変であり、数か月又は数年の期間を経てから安定している他、上記5症例と異なる点は、仮に睡眠時間に変動が生まれるとしても1~2週間後のケースが多い点が挙げられます。

中枢神経系症状への治療介入は、解剖的にも末梢神経系症状とは異なり、あくまで間接的な栄養に成らざるを得ず、末梢神経系症状の治療反応性とは大きく異なる1つに、症状改善には大きな時間差が生まれる事が特徴として挙げられます。その為、私自身も治療直後の状態は評価対象としておらず、あくまで上記のように1~2週間後の経過を見るようにお願いしているのですが、何故、服薬中且つ同量維持の患者群に関しては、単回治療及び即時的に症状に変動自覚が生まれるのかは考えなければならない部分です。

私の知識範囲内では漠然な表現しか出来ませんが、「現在服薬している薬物が効く身体になった」と考えるのが自然で、では何故、薬物に反応する身体になったのかを考える必要性が生まれます。今件は不眠と称される症例を挙げましたが、同量維持で治療薬を服薬しているナルコレプシーの患者群に関しても、やはり同様な経過を持つ症例がある事(治療後は薬物が効いているような表現と訴えをし、日中の覚醒時間が延長される等)、また、このような向精神薬由来症例でなくとも、「針(治療)の後の酒は普段より効く」と表現される例は更に多数あります。

これらの詳細な生理学的な反応の理屈は未だ明確に分かり兼ねる部分はありますが、してはいけない事だけは見えます。それは仮に治療をし、即自的に症状の改善自覚を得られたとしても、即自的に薬を止めてはならないとなります。「薬が効くようになった。回復」「症状の改善自覚を得た。回復」でもなく、「自己分泌能の機能回復及び、受容体の機能/器質的損傷の回復を経た事で症状自覚を安定的に得る事がなくなった状態」を以て回復としています。

如何せん薬物の有害性を既知してしまった患者は早期に薬物を抜きたがる傾向がありますし、多くの医療機関では2~6週間以内に10→0まで進めてしまうような、殆ど一気断薬と変わらない例も当たり前です。また、今春からは先述した通り、PMDAによるベンゾ危険性周知の影響か、ベンゾからオレキシン受容体拮抗薬への急速置換に伴うベンゾ離脱の惹起等が見受けられる等、常に慌しいものですが、

個人的には極めて大切な話でもある為、度々書いている事ですが、減~断薬は目的ではなく結果であり、それよりも重要な事は、日々の活動範囲を如何に維持及び向上しながら、気付いたらゼロになっていた程度が最も安全な印象を受けます。減~断薬に目が向くと、当初は気持ちで持ち堪える事は出来ても、いずれ気持ちだけでは付いていけない時が訪れやすく、また、日々の厳しい症状により振り出しに戻るか人生を閉ざすかのような、最悪な結果も付いて回り易いものです。

常用量離脱であると既知された場合、それだけでも回復に向けての第一歩を踏み始めていると思います。また、上記推測が正しいとした場合、且つ治療介入による早期回復を目的とする場合も、必ず個体差は生じるものである事は、回復症例を振り返っても同様、山あり谷あり、停滞期を経験しながら進むケースが殆どです。如何なる事が起きても、焦らず徐々に釣り合いを取りながら前に進む事が、最も楽に日常生活に復帰出来るものと思います。

参考関連(クリックでリンク先にジャンプします)


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