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独立行政法人国立国際医療センター疫学予防研究部の南里明子上席研究員らがAmerican Journal of Clinical Nutrition 2011年7月20日オンライン版に発表した研究で、魚を食べる頻度が多い男性は2型糖尿病を発症するリスクが低いことが明らかにな りました。
南里上席研究員らは糖尿病ではない45歳から75歳の日本人(男性22.921人、女性29.759人)を対象に147項目の食品頻度アンケート調査を実施し、その後5年間の2型糖尿病発症状況との関係を調査分析しました。
5 年間に男性572人、女性399人が2型糖尿病を発症したと診断されましたが、データを分析した結果、魚を食べる頻度順で高い方から25%ずつ4階層に分 けた場合、他の要因を補正した上で魚と他の海産物を最もよく食べる最上位の25%の男性は、最下位の25%に区分された魚をあまり食べない男性に比べて、 2型糖尿病を発症するリスクが、オッズ比で0.73と低く、詳しく見た場合、アジ、イワシ、サンマ、サバ、ウナギを良く食べている最上位25%は、最下位 25%の男性よりも、2型糖尿病を発症するオッズ比が0.68と更に低いことがわかりました。
しかしながら女性に関しては、こうした魚と海産物の消費量は、2型糖尿病の発症リスクに影響を与えていませんでした。
こ の研究結果に関して研究グループでは、男性に関しては魚食が、そのプロセスについてはグルコース代謝に与える影響を、今後更に研究する必要はあるものの、 2型糖尿病予防に効果があることは明らかであるとしています。また女性に関しては、男性よりも体脂肪が多く、結果として脂溶性化学物質の蓄積量が高いため に魚食によるグルコース代謝改善効果が男性のように働かない可能性が考えられるのではないかとしています。
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2013年11月12日
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院内感染のニュース記事でご存じの方も多い耐性菌MRSA(メシチリン耐性黄色ブドウ球菌)は、ほとんどの抗生物質が効かないため、感染症を発症してしまうと治療が困難であることから、なにより予防が重要となっています。このMRSAは黄色ブドウ球菌の一種で常在菌の一つと考えられ、健康な人に保菌されて鼻腔、咽頭、皮膚などから検出されることもあります。
米国・サウスカロライナ医科大学のEric Matheson博士らがAnnals of Family Medicine 2011年7/8月号に発表した研究で、あたたかいお茶やコーヒーを飲んでいる人は、鼻にMRSAを保菌することが、飲んでいない人よりも少ないことが明らかになりました。
博士らは健康な2歳以上の米国人5555人のデータに基づいて、コーヒー、温かいお茶、冷たいお茶、ソフトドリンクの飲用状況と、鼻のMRSA(メシチリン耐性黄色ブドウ球菌)保菌状況の関係について分析調査をしました。過去一か月以内に被験者全体の 48.6%が温かいお茶を、60.8%がコーヒーを飲んでおり、また全体の1.4%がMRSAを鼻に保菌していました。年齢、性別、貧困状態、現在の健康状態、過去1年間の入院の有無、過去1ヶ月間の抗生物質の使用状況などの要因を補正した上で、飲料とMRSAの鼻での保菌率を算出したところ、温かいお茶かコーヒーのいずれかを飲んでいた人は53%、両方とも飲んでいた人は67%も、飲んでいない人よりMRSAの保菌率が低いことがわかりました。成人以上だけを対象として分析した結果も同様の結果でした。
博士らはこの結果からだけでは、それぞれの保有する成分が影響していることは考えられるものの、どのような理由でこうなったのかについての因果関係は明らかではないが、MRSA感染症リスクを低減させる方法の一つとして、コーヒーと温かいお茶を飲むことが安全でかつ安価、そして簡単な方法として考えられるとしています。
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英国・University College LondonのRichard Cook博士らが、Proceedings of the Royal Society B 2011年7月20日オンライン版に発表した研究で、人はじゃんけんをするときに「あいこ」では損をしてしまうことがわかっていても、無意識のうち に、相手につられて同じ手を出してしまう傾向が強いことが明らかになりました。
博士らは45人の被験者を対象に、条件を変えてジャンケンす る実験を行いました。最初の実験では、被験者は2人でじゃんけんをする際に、2人とも目隠しをされた状態でじゃんけんをし、次の実験では、ペアの片方の人 だけが目隠しをしてじゃんけんをするというものでした。ただし実験に参加した被験者には、60回じゃんけん(勝負は1回出すだけ、あいこでも終了)をし て、最も勝ち数が多かった被験者が、賞金を貰えるインセンティブがあり、この条件で「あいこ」になることは、「負け」と同じで、トータルの勝利数を減らす 要因なので、避けるべき結果でした。
実験の結果、ペアの2人とも目隠しをしてじゃんけんを行った場合の結果は、確率で予想される勝ち、負け、あいこ、の出現率通りで3分の1ずつでした。
ところがペアの片方だけ目隠しをして行った実験結果では、目隠しをしていない相手が見える条件でじゃんけんをした側の被験者が、「あいこ」になる確率が統計的に有意に3分の1より高いことがわかりました。
特 に目隠し側が「グー」か「チョキ」を出した時に「あいこ」になりやすいこともわかりました。この結果について博士らは、人間は出生直後から、親の表情を自 動的に真似したり、周りの行動を模倣したりするようにプログラムされており、これは仲間の行動を模倣したり、共感したりする時に働く「ミラーニューロン」 システムによるものと考えられていますが、今回の実験から「あいこ」が意識的に避けるべきであるのに避けられないほど、無意識のうちに相手の行動を真似し てしまうバイアスは、強く人間の認知行動プログラムに組み込まれていることを立証できたとしています。
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プラスチックやビニール、食品の容器などに含まれるビスフェノールAやフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)は、動物実験の結果から ホルモン分泌を撹乱し、神経系の異常を引き起こす危険性が指摘され「環境ホルモン」「有害物質」とみなす研究者もいます。一方で、これらの物質に特別な危 険性はないという研究者もおり、賛否両論が繰り広げられています。
そんな中、プラスチック容器やラップに包装された食品を食べることで、食 品に溶け出したこれらの物質が、人体に及ぼす影響が懸念されるため、できればこのようなものに包装されていない食品を選んで食べるべきという報告が、米国 サイレントスプリング研究所のRuthann Rudel博士らの小規模な研究で明らかになり、2011年7月号のEnvironmental Health Perspectivesで発表されました。
この研究はサンフランシスコに住む子供2人がいる5つの家族が参加して行われました。最初の2日間はプラスチック容器に入った食品を含む外食を摂り、次の3日間はプラスチックを排除した食事を摂り、最後の3日間は家族がいつも食べる食事を摂りました。
この8日間のうち、1〜2日目、4〜5日目、7〜8日目に家族全員が夜2回、尿を採取しました。 そ の結果、プラスチックを除去した4〜5日目の尿中のビスフェノールAは、1〜2日目に比べて66%減少していました。DEHPに関しては、53%減少し、 7〜8日目に21%増加しました。DEHPの代謝物2種類に関しても、4〜5日目に55〜56%減少し、7〜8日目に16〜22%リバウンドして増加しま した。
今回の研究は、被験者数がたった5人と少なく、一般化するには、さらに多くの被験者を違う居住地域から集めて、調査を行う必要があるということです。
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何事にも悲観的な見方をする悲観主義者よりも、前向きな楽天主義者の方がより免疫機能が高く、また心臓疾 患リスクが低いことなどが、これまでの研究から知られていますが、米国・ミシガン大学のChristopher Peterson教授らがStroke 2011年7月21日オンライン版に発表した研究で、楽天主義者は脳卒中リスクも低いことが明らかになりました。
博士らは脳卒中ではない健康な50歳以上の6044人(男性2542人女性3502人)を対象に、2年間継続的に調査をしました。
調査対象となった被験者は、全員が調査開始段階で楽天主義度が、3点から最高18点までの16段階で測定され、その後2年間の脳卒中発症と楽天主義レベルとの関係が分析されました。
調査対象となった被験者の脳卒中リスクを年齢で補正した上で解析した結果、楽天主義度が1段階上がるにつれて、9%ずつ急性脳卒中リスクが減少することがわかりました。
さらに脳卒中発症に影響を与えると考えられている慢性疾患の有無、社会的、生活行動的、生理学的、心理的などの要因を補正して楽天主義レベルと、脳卒中発症リスクの関係を分析しても、統計的に有意に楽天主義が、リスクを低下させていることが確認されました。
こ の結果について教授らは、楽天主義者は自分の健康維持に、より積極的で、食事や運動などにも気を使っていることも、リスク低下の要因であると推測される が、楽天主義者のポジテイブ思考そのものが、身体に対し、生理的に良い影響を与えていると考えられるのではないかとしています。
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