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ロンドンのシティー大学キャスビジネススクールのピーター・フレミング教授は、フレックスタイム制など、自立と自由度が高いように見える魅力的な職場には、落とし穴があることを、フランスの哲学者ミシェル・フーコーの「バイオパワー(生の権力)」という視点から分析し、2013年11月号の科学雑誌『Humanrelation』に投稿しています。 2013年8月15日、米銀バンク・オブ・アメリカのロンドン投資銀行部門で研修プログラム(インターン)中に死亡したメリルリンチ部門の元インターン、モーリッツ・エアハルトさん(21歳)は、2週間で8回徹夜し、亡くなる前の3日間は、徹夜(朝6時まで)で働き続けていたことが明らかになり、大きな話題になりました。 昔は権力と言えば「ルールに従わなければ殺す」という「殺しの権力」でしたが、現代の権力は人間の「生命そのもの」に介入し、あたかもその集団の中で、個人の自由が広く認められているように思わせておきながら、気がつきにくい権力(清潔にする、勤勉に生きる、ルールを守るなど)で、人間を統制・管理し、生かしつつ支配していく「生の権力(バイオパワー)」だとミシェル・フーコーは指摘しました。 フレックスタイム制は、従業員が好きな時間に出退社できる、自由度の高いシステムとして多くの企業で導入されています。 しかしこのシステムが本当に自由なものでしょうか? かつては「9時から5時まで働く」という「規律」の中で働いていた私たちは、今度は自由が認められているにもかかわらず、食事中も、寝床の中でも仕事をして、「サービス残業をするのが当たり前」、「新人は寝る暇も削って働くもの」という「職業倫理」や「仲間意識」に束縛されているのではないでしょうか。 そんな職場で、四六時中、仕事をするのが当たり前になり、「休む、眠る」という人間の生命維持に必要不可欠な行為も、いつの間にか「時間の無駄」に思えてしまったのでしょう。まさにこれが、ミシェル・フーコーの言う、「生の権力」の恐ろしさではないかと、研究者は指摘しています。 Peter Fleming. When 'life itself' goes towork: Reviewing shifts in organisational life through the lens of biopower.Human Relations, November 2013 |
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2013年12月11日
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