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高齢者の貧血が長期間にわたる認知症のリスクを高めている可能性があることが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のKristine Yaffe博士らの研究で明らかになり、2013年8月6日の『Neurology』で発表されました。
この研究は70〜79歳、2552人を11年間フォローアップ調査したもので、WHOの定めた貧血の基準値である、ヘモグロビン濃度男性13g/dl、女性12g/dl未満を貧血グループとして分析したものです。
その結果、研究開始当時に貧血があった人は、貧血がなかった人に比べて64%も認知症になるリスクが高かったことがわかりました。
この結果について研究者らは、長く続く貧血によって、酸素を運ぶヘモグロビンが不足し、脳が慢性的な低酸素状態になっていることが認知機能の低下を引き起こしている可能性や、貧血に関係が深い鉄やビタミンB12などの欠乏も認知機能の低下を早めている可能性があるのではないかと指摘しています。
Hong CH, et al "Anemia and risk of dementia in older adults: Findings from the Health ABC study" Neurology 2013; 81: 528-533. |
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2014年01月22日
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ヨーロッパの研究によると、大気中に浮遊している微小粒子(日本で言うところのPM2.5やSPM10などの髪の毛の30分の1ほどの微小な粒子)が、肺がん、特に近年、タバコを吸わない女性に増えている「腺がん」のリスクを高めていることが明らかになり、ヨーロッパにおける微小粒子による大気汚染と肺がんの因果関係が指摘され、2013年8月のThe Lancet Oncologyで報告されました。
この研究はデンマークがん研究センターの研究者らが「ヨーロッパにおける大気汚染の影響に関するコホート研究(ESCAPE)」の中の17の研究結果がベースで、12.8年間にわたり約400万人のヨーロッパの各国に居住する人を対象に調査を行った結果をもとに分析しました。
調査期間の12.8年間に、2095人が肺がんと診断され、10マイクロメートル未満の微小粒子が10マイクロ立方メートル増えると、肺がんのリスクが1.22倍に高まり、2.5マイクロメートル未満の微小粒子(PM2.5)が5マイクロ立方メートル増えると、肺がんのリスクが1.18倍増えることが明らかになりました。
注目したいのは、肺がんの中でも女性の発症が近年増えている「腺がん」とのリスクがPM10で1.51倍、PM2.5で1.55倍と因果関係があることが指摘されました。
研究者らは、窒素酸化物や交通量との関係も分析しましたが、因果関係は薄く、PMの浮遊が多いエリアに引っ越しをせずに長期間住んでいることが関係しているのではないかと指摘しています。
The Lancet Oncology, Vol. 14 No. 9 pp 813-822 (Aug. 2013).
PM2.5は、マスクをかけるぐらいでは避けられない厄介な物質。世界規模で環境改善に取り組まなければいけない問題。国際政治と深く絡む複雑な側面がありますが、私たちの大切な肺をむしばんでいる可能性があることを忘れずにいましょう。日本でもPM2.5の疫学研究、進めて欲しいですが、研究費が縮小されているようです。
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恵比寿の老人ホームで書道レッスン。
お手本は「浴衣盆踊」。
懐かしそうに子供の頃の昔話が盛り上がりました。
でもどの方も終戦の思い出が絡むのが少し悲しいです。
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十人十色とは好みや考え方が人によって異なることを示しますが、実は香りも人によって異なって感じていることがニュージーランドの研究者らによって明らかになり、2013年8月1日付のCurrent Biologyという科学雑誌のオンライン版に発表されました。
研究は一般の食品に含まれるごく一般的な香りを10種類、200人に嗅いでもらい、10種類それぞれの香りを嗅ぎ分けられる人と嗅ぎ分けられない人のDNAの特性を分類しました。
その結果、β-イオノンというスミレの花の香りに含まれる成分を感知する嗅覚受容体遺伝子OR5A1の突然変異型を持つ人は、β-イオノンを嗅ぎ分けにくい性質を持ち、同時に酸っぱい香り、辛い香りなどに対して、好ましく感じない傾向があることがわかりました。
ほかの動物よりも嗅覚が劣っている人間でも、嗅覚受容体遺伝子は、遺伝子全体の約1%を占めています。それだけに香りに対する感受性に遺伝子が関係しているという仮説は、非常に興味あるものです。
同じリンゴやバナナの香り、焼き肉、ウナギの蒲焼の香りなどを嗅いでも、もしかしたら全く違う感覚でその香りを嗅いでいるのかもしれません。
香りの世界、深いですね!
Sara R. Jaeger, Jeremy F. McRae, Christina M. Bava, Michelle K. Beresford, Denise Hunter, Yilin Jia, Sok Leang Chheang, David Jin, Mei Peng, Joanna C. Gamble, Kelly R. Atkinson, Lauren G. Axten, Amy G. Paisley, Leah Tooman, Benedicte Pineau, Simon A. Rouse, Richard D. Newcomb. A Mendelian Trait for Olfactory Sensitivity Affects Odor Experience and Food Selection. Current Biology, 2013
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カナダのカルガリー大学の研究によると、短期的に高濃度のオゾンを浴びることで、虫垂炎のリスクが上昇していることが明らかになり、2013年7月31日のオンライン版Environmental Health Perspectivesで紹介されました。
研究者らは2004年から2008年の間にカナダ12都市で虫垂炎になった35,811人の患者のデータと、12の都市の最大オゾン濃度の関係について解析しました。
その結果、7日間の累積オゾン濃度が16ppb上昇することで、虫垂炎の発症リスクが7%高まり、さらに虫垂炎のうちの「穿孔性虫垂炎」の発症リスクが22%上昇するという結果になりました。
オゾンは、大気中で「OHラジカル」という非常に反応性が高く不安定な分子を生成させ、これがメタンなどと反応するため、温室効果ガスの大気中濃度に影響を与え環境(大気)汚染物質として心配されています。
日本ではオゾン濃度の上昇による健康への悪影響がほとんど紹介されていません。メカニズムなど詳しいことは明記されていませんが、ちょっと怖い研究結果だったので紹介しました。
Kaplan GG, et al "Ambient ozone concentrations and the risk of perforated and nonperforated appendicitis: A multicity case-crossover study" Environ Health Perspect 2013 |


