http://antiaging1.iza.ne.jp/images/user/20120627/1848383.jpg【抗加齢医学会レビュー】 |
取材日記
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http://antiaging1.iza.ne.jp/images/user/20120626/1847799.jpg【抗加齢医学会レビュー】腸内細菌の話 |
http://antiaging1.iza.ne.jp/images/user/20120625/1846937.jpg腸内細菌の働きがずいぶんわかってきました。
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ロンドンのシティー大学キャスビジネススクールのピーター・フレミング教授は、フレックスタイム制など、自立と自由度が高いように見える魅力的な職場には、落とし穴があることを、フランスの哲学者ミシェル・フーコーの「バイオパワー(生の権力)」という視点から分析し、2013年11月号の科学雑誌『Humanrelation』に投稿しています。 2013年8月15日、米銀バンク・オブ・アメリカのロンドン投資銀行部門で研修プログラム(インターン)中に死亡したメリルリンチ部門の元インターン、モーリッツ・エアハルトさん(21歳)は、2週間で8回徹夜し、亡くなる前の3日間は、徹夜(朝6時まで)で働き続けていたことが明らかになり、大きな話題になりました。 昔は権力と言えば「ルールに従わなければ殺す」という「殺しの権力」でしたが、現代の権力は人間の「生命そのもの」に介入し、あたかもその集団の中で、個人の自由が広く認められているように思わせておきながら、気がつきにくい権力(清潔にする、勤勉に生きる、ルールを守るなど)で、人間を統制・管理し、生かしつつ支配していく「生の権力(バイオパワー)」だとミシェル・フーコーは指摘しました。 フレックスタイム制は、従業員が好きな時間に出退社できる、自由度の高いシステムとして多くの企業で導入されています。 しかしこのシステムが本当に自由なものでしょうか? かつては「9時から5時まで働く」という「規律」の中で働いていた私たちは、今度は自由が認められているにもかかわらず、食事中も、寝床の中でも仕事をして、「サービス残業をするのが当たり前」、「新人は寝る暇も削って働くもの」という「職業倫理」や「仲間意識」に束縛されているのではないでしょうか。 そんな職場で、四六時中、仕事をするのが当たり前になり、「休む、眠る」という人間の生命維持に必要不可欠な行為も、いつの間にか「時間の無駄」に思えてしまったのでしょう。まさにこれが、ミシェル・フーコーの言う、「生の権力」の恐ろしさではないかと、研究者は指摘しています。 Peter Fleming. When 'life itself' goes towork: Reviewing shifts in organisational life through the lens of biopower.Human Relations, November 2013 |
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昨年後半、テレビや新聞で騒がれたTPP問題。あのときは気になったけど、ニュースなどで見聞きする機会が減って、他人事と思っている人もいる のでは? 実は、TPPは私たちの美容・食・医療に深く関与する。「TPPは自由経済を推進する」と言えば聞こえはいいが、自由には「リスク」が伴う。農 薬、遺伝子組み換え、医療崩壊……TPPがそんなリスクを抱えていることを、きちんと理解しよう。
【TPP 環太平洋経済連携協定とは?】
TPPの目的は、国によって異なる経済や社会のしくみを統一し、関税を撤廃して、国境を越えて人、モノ、サービスが自由に行き来できるようにしようというもの。
【協定の内容】●一切の例外を認めずに関税を撤廃
●雇用・投資・知的財産・通信サービス・銀行・保健・ 医療・食品の安全基準などのルールや仕組みを統一
【TPPのメリット】
●輸入品の関税がなくなり価格が低下する
●工業製品の輸出が増加し景気が回復する
●海外の公共事業を受注できるようになり景気が回復する
【TPPのデメリット】
●関税で保護されていた国内の産業が低迷
●低賃金の外国人労働者が増加し、国内の失業者が増える
●遺伝子組み換え、農薬の基準などが甘くなり、食の安全性が低下
●自費診療の増加による医療費の高騰、健康保険制度の崩壊
農薬、食品添加物まみれ……。 食の安全が消える? スーパーには外国産の野菜や米が安い値段でズラリと並び、日本産のものが見当たらない。国産の肉や牛乳も姿を消した。レジに行くと日本人の店員が見当たらない。病院に行くと言葉が通じない医療スタッフが増えた。やけに診療代が高い......。
TPPにはそんな、今とは違う世の中を引き寄せてしまう危険がある。TPPは自由貿易、自由経済を推進する取り決め。でも「自由」には大きな落とし穴がある。もしTPPに参加し、締結、そして施行された場合、考えられるのはこんな状況だ。 「日本はすでに工業製品も農業製品も関税は低く、食品の海外依存率も60%に達するほど、世界で最も『開国』されています。さらに『開国』を徹底するというのは、『最後の砦』を自ら明け渡すようなもの」と話すのは東京大学教授の鈴木宣弘先生。 「最 後の砦」が崩れるということは、例外なく関税を撤廃し、ルールや仕組みが統一され、人、モノ、サービスの交流は促進される。安い海外製品がどんどん売れ る。しかし「安かろう、悪かろう」という言葉の通り、TPPによって食品安全基準のルールが甘くなり、遺伝子組み換え食品や、食品添加物や農薬にまみれた 食品が増える可能性は非常に高くなる。
良い医療が受けられなくなる危険性もあり 食品だけではない。TPPによって海外の医療サービスが参入し、「自由診療」が増え、「国民皆保険」をベースにした日本の医療保険制度も崩壊する可能性がある。 「TPPに参加すれば、日本もアメリカのように、高額の治療費を払える人しか良い医療が受けられなくなるでしょう。地域医療も今以上に崩壊していくことは明らかです」と話す鈴木先生。美容も医療も今と同じようなスタンスでいることはできなくなるわけだ。 割高であっても日本の農家を応援する姿勢が必要 「TPP 問題より以前から、日本の農林水産業はすでに高齢化、就業人口の減少、耕作放棄などで疲れ切っています。そこに追い打ちをかけるように、農家一戸当たりの 平均耕地面積が約2haの日本と200ha近くあるアメリカが、同じルールで競争しろという。一度荒れ果てた農地を元に戻すのは容易なことではありませ ん。TPPは命や健康にかかわる問題であることを忘れないでください」と強く語る鈴木先生。
スーパーに並ぶ外国製の安い卵や牛乳や野菜。でも、そういったものではなく、狭い土地を有効活用して、汗水流して日本の農家の人々が作ったものを割高であっても選ぶ。これが、食や健康を守るためには必要だということを忘れてはいけないのだ。 【プロフィール】
東京大学大学院農学国際専攻教授 鈴木宣弘(すずき・のぶひろ)先生 1958 年、三重県生まれ。東京大学農学部卒。農林水産省、九州大学教授を経て、2006年より現職。専門は農業経済学、国際貿易論。日中韓FTA、日コロンビア FTAの各産官学共同研究会委員、関税・外国為替等審議会委員。主著に『震災復興とTPPを語る〜再生のための対案』(共著・筑波書房)、『TPPと日本 の国益』(共著・大成出版社)、『食料を読む』(共著・日経文庫)など。
取材・文/宇山恵子
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