宇山恵子の取材日記

オールアバウト「アンチエイジング」ガイド宇山恵子が取材した健康、医療、ヨガ、エンタメ情報などをお伝えします。

海外の健康ニュース

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索
 
ヒトとそれ以外の動物との決定的な違いは、私たち人間には「共感」や「感情移入」をする能力があるということだと言われています。
 
アメリカヴァージニア大学の研究で、人の脳は見ず知らずの人が脅威にさらされたときと、友人や恋人、家族が脅威にさらされたときでは、脳の反応が全く異なり、友人や恋人、家族が脅威にさらされたときには、自分が脅威にさらされたときと同じ反応を示すことがわかり、2013年8月号の科学雑誌『Social Cognitive and Affective Neuroscience』に詳細が掲載されます。
 
これは22人の成人の被験者を対象に、他人、友人、自分が脅威にさらされたときの脳の動きをfMRIの画像を分析して調べた結果によるものです。
 
その結果、自分と友人・家族が脅威にさらされたとき、私たちの脳はとてもよく似た反応を示し、島皮質、被殻、縁上回などが活発に活動するのに対して、赤の他人が脅威妊さらされたときには、これらの部分に変化がなく、まったく違う動きをしていました。
 
研究者らは今回の研究によって、友人や家族などに対して共感が生まれるのは、脅威を感じたときにお互いを守り合って命を守るようにするために、進化の過程で身に付けた能力ではないかと推察しています。
 
L. Beckes, J. A. Coan, K. Hasselmo. Familiarity promotes the blurring of self and other in the neural representation of threatSocial Cognitive and Affective Neuroscience, 2012; 8 (6): 670 DOI
 
 
米プリンストン大学の研究によると、運動することで、不安やストレスに強い脳が構築されることがマウスを使った研究で明らかになり、2013年5月の『Journal of Neuroscience』に発表されました。
 
この研究では、6週間、自由に走ることができるマウスと、走ることができないマウスに、それぞれ冷たい水に入るというマウスにとってストレスになることをして、脳の動きを観察しました。運動をしていたマウスは、1日約4キロも走っていたそうです。
 
その結果、走らずに運動しないマウスの脳では、脳を急激に興奮させる「即時型遺伝子」が増えていました。これはストレスを受けたときに、その強い刺激で脳にダメージを与えないために、脳神経回路を遮断するという自己防衛的な反応です。
 
一方で運動していたマウスでは、脳細胞の興奮を和らげて、不安や恐怖心を減らす神経伝達物質のガンマアミノ酪酸(GABA:ギャバ)が増えていたそうです。
 
今まで運動は新しい脳神経細胞を作り出すことがわかっていましたが、生まれたての新しい神経細胞は、成熟した細胞よりも刺激に敏感なために、不安や恐怖などのストレス刺激にも反応しやすいはずなのに、なぜそうならないのかが矛盾点として指摘されていました。
 
今回の研究では、運動することで、不安を和らげる神経伝達物質GABAが増え、それがストレス耐性につながっているという、今までの矛盾を解決する可能性につながる研究結果が得られました。
 
Schoenfeld TJ, Rada P, Pieruzzini PR, Hsueh B, Gould E.  “Physical exercise prevents stress-induced activation of granule neurons and enhances local inhibitory mechanisms in the dentate gyrus.”  J Neurosci. 2013 May 1;33(18):7770-7.
 
 
 
高齢者の貧血が長期間にわたる認知症のリスクを高めている可能性があることが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のKristine Yaffe博士らの研究で明らかになり、2013年8月6日の『Neurology』で発表されました。
 
この研究は70〜79歳、2552人を11年間フォローアップ調査したもので、WHOの定めた貧血の基準値である、ヘモグロビン濃度男性13g/dl、女性12g/dl未満を貧血グループとして分析したものです。
 
その結果、研究開始当時に貧血があった人は、貧血がなかった人に比べて64%も認知症になるリスクが高かったことがわかりました。
 
この結果について研究者らは、長く続く貧血によって、酸素を運ぶヘモグロビンが不足し、脳が慢性的な低酸素状態になっていることが認知機能の低下を引き起こしている可能性や、貧血に関係が深い鉄やビタミンB12などの欠乏も認知機能の低下を早めている可能性があるのではないかと指摘しています。
 
Hong CH, et al "Anemia and risk of dementia in older adults: Findings from the Health ABC study" Neurology 2013; 81: 528-533.
 
 
皆さん、微小粒子PM2.5やSPM10による大気汚染、忘れていませんか? ときどき「そらまめ君」 (環境省大気汚染物質広域監視システム)で自分の居住エリアの大気汚染の状況をチェックしてください。
 
ヨーロッパの研究によると、大気中に浮遊している微小粒子(日本で言うところのPM2.5やSPM10などの髪の毛の30分の1ほどの微小な粒子)が、肺がん、特に近年、タバコを吸わない女性に増えている「腺がん」のリスクを高めていることが明らかになり、ヨーロッパにおける微小粒子による大気汚染と肺がんの因果関係が指摘され、2013年8月のThe Lancet Oncologyで報告されました。
 
この研究はデンマークがん研究センターの研究者らが「ヨーロッパにおける大気汚染の影響に関するコホート研究(ESCAPE)」の中の17の研究結果がベースで、12.8年間にわたり約400万人のヨーロッパの各国に居住する人を対象に調査を行った結果をもとに分析しました。
 
調査期間の12.8年間に、2095人が肺がんと診断され、10マイクロメートル未満の微小粒子が10マイクロ立方メートル増えると、肺がんのリスクが1.22倍に高まり、2.5マイクロメートル未満の微小粒子(PM2.5)が5マイクロ立方メートル増えると、肺がんのリスクが1.18倍増えることが明らかになりました。
 
注目したいのは、肺がんの中でも女性の発症が近年増えている「腺がん」とのリスクがPM10で1.51倍、PM2.5で1.55倍と因果関係があることが指摘されました。
 
研究者らは、窒素酸化物や交通量との関係も分析しましたが、因果関係は薄く、PMの浮遊が多いエリアに引っ越しをせずに長期間住んでいることが関係しているのではないかと指摘しています。
 
 The Lancet Oncology, Vol. 14 No. 9 pp 813-822 (Aug. 2013).
 
PM2.5は、マスクをかけるぐらいでは避けられない厄介な物質。世界規模で環境改善に取り組まなければいけない問題。国際政治と深く絡む複雑な側面がありますが、私たちの大切な肺をむしばんでいる可能性があることを忘れずにいましょう。日本でもPM2.5の疫学研究、進めて欲しいですが、研究費が縮小されているようです。
 
 
 
十人十色とは好みや考え方が人によって異なることを示しますが、実は香りも人によって異なって感じていることがニュージーランドの研究者らによって明らかになり、2013年8月1日付のCurrent Biologyという科学雑誌のオンライン版に発表されました。
 
研究は一般の食品に含まれるごく一般的な香りを10種類、200人に嗅いでもらい、10種類それぞれの香りを嗅ぎ分けられる人と嗅ぎ分けられない人のDNAの特性を分類しました。
 
その結果、β-イオノンというスミレの花の香りに含まれる成分を感知する嗅覚受容体遺伝子OR5A1の突然変異型を持つ人は、β-イオノンを嗅ぎ分けにくい性質を持ち、同時に酸っぱい香り、辛い香りなどに対して、好ましく感じない傾向があることがわかりました。
 
ほかの動物よりも嗅覚が劣っている人間でも、嗅覚受容体遺伝子は、遺伝子全体の約1%を占めています。それだけに香りに対する感受性に遺伝子が関係しているという仮説は、非常に興味あるものです。
 
同じリンゴやバナナの香り、焼き肉、ウナギの蒲焼の香りなどを嗅いでも、もしかしたら全く違う感覚でその香りを嗅いでいるのかもしれません。
 
香りの世界、深いですね!
 
Sara R. Jaeger, Jeremy F. McRae, Christina M. Bava, Michelle K. Beresford, Denise Hunter, Yilin Jia, Sok Leang Chheang, David Jin, Mei Peng, Joanna C. Gamble, Kelly R. Atkinson, Lauren G. Axten, Amy G. Paisley, Leah Tooman, Benedicte Pineau, Simon A. Rouse, Richard D. Newcomb. A Mendelian Trait for Olfactory Sensitivity Affects Odor Experience and Food SelectionCurrent Biology, 2013


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事