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イタリア・バロックの作曲 家アントニオ・ヴィヴァルディの名曲「四季」は、日本人に愛されている名曲です。特に最初の曲「春」の冒頭部分のモチーフの明るく快活なメロディーは、ク ラシックにさほど詳しくない方でも聴けばあの曲かと解るほど、どこかで必ず耳にしたことがあるといってもいいほど、良く知られた曲だと思われます。
この名曲・四季の最も有名な春の冒頭部分のモチーフを聴いている人は、認知能力、注意力と記憶力が高まることが英国・ニューキャッスル市のノーサンブリア大学のLeigh Riby博士らがExperimental Psychology 2013年第2号に発表した研究で、明らかになりました。
博士らは音楽が認知反応に与える影響を調べるために、17人の成人被験者を対象に、PCの画面上に次々さまざまな色と形状が出現する中で、緑色の四角のときにのみ素早くキーボードのスペースバーを押すように教示し、音楽を変えて被験者の反応速度の変化を測定しました。
被験者は頭に脳波検査用の電極を着用し、何も聴こえない音楽なしと、四季の春、夏、秋、冬、それぞれを聴いている時の5つの状況で上記の実験を行い、反応速度と脳波が測定され、データが分析されました。
データを分析した結果、気分が高揚するテンポの速い「春」の冒頭部分を聴いているときが、一番早く正確な反応であり、次が無音の時でした。一方、よりテンポが遅く陰鬱な感じを与える「秋」を聴いている時には、無音よりも反応速度が低下していました。
また、脳波のデータを分析した結果、明るく快活でテンポが速い春の冒頭のモチーフは脳活動全体を活性化させていること、特に情動応答性に関わる領域の活性を高めていることが明らかになりました。
さらに曲が長調であるか短調であるかは影響がないこともわかりました。博士らは、今回の実験で、認知能力は心地良く気分を盛り上げる知覚的刺激を与えられることで、強化されることが確かめられたとしています。
Experimental Psychology 2013年第2号
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海外の健康ニュース
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米国・アーカンソー大学の研究チームがFood Research International 1月号に発表した研究で、大豆粕(大豆ミール)から得られたペプチドに抗がん作用があることが明らかになりました。
大豆油をしぼった後の大豆粕には40%以上タンパク質が含まれており、またオメガ9不飽和脂肪酸も豊富に含んでいる高栄養の粉末で、家畜のエサとして欠かせないものです。
わが国では一部醤油の原料としても利用されているようです。
研究チームはこの高栄養の大豆粕から得られたペプチド(アミノ酸の結合がタンパク質よりも少ないもの)と、さまざまなタイプの人間のがん細胞との間の生物活性を詳しく分析しました。
その結果、ある種のペプチドが、がん細胞の成長を抑制することを発見しました。
研究チームはこの結果から、上記のようないくつかのタイプのがんの成長を抑制することの助けとなる大豆抽出成分で作られた栄養補助食品を、将来的には生み出せるのではないかとしています。
Food Research International 1月号
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昨日、一昨日の朝や昼に何を食べたか、急に聞かれて即答できる人は意外に少ないような気がしますが、英国・リバプール大学のEric Robinson博士らが、American Journal of Clinical Nutrition 2013年4月号に発表した研究で、昨日今日何を食べたかしっかり記憶している場合は、その後の食事の量が減少し、逆に忘れてしまっている場合は、その後の食事量が増えることが明らかになりました。
博士らは、食事内容に対する関心、注意、記憶、無関心が、どの程度まで食事の量に影響を与えているのかを明らかにするために、既に発表されている肥満者ではない健康な成人を対象とした24の研究をメタ分析しました。
その結果、何を食べたかを良くおぼえていた場合、食事の量が減り、また減量プログラムをしている場合は、体重が減少しやすいことがわかりました。
食べた食事内容を書き留めたり、写真に残したり、食品の包装紙を残したりなどして、何を食べたかを忘れないようにするテクニックを利用することでも、食事の量が減ることが分かりました。
一方、前の食事に注意を払わず、何を食べたか記憶があいまいな場合、次の食事の量が多くなることも明らかになり、さらにこの影響は、その後の食事でさらにいっそう強まることも分かりました。
博士らはテレビを見ながら、新聞を読みながら、ネットサーフィンをしながら、食事の際に他のことに気をとられて食 事をしていると、食事の内容に注意が向かず、結果として過食につながることが明らかになったとし、今後肥満者の場合は、こうした食事内容に対する注意力や 記憶の有無がどのように影響しているのか詳しく分析したいとしています。
American Journal of Clinical Nutrition, 2013; DOI: 10.3945/ajcn.112.045245
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最近の調査によれば、90歳以上の長寿者は、ヨーロッパの他のエリアでは人口の0.1%程度であるのに対し、イカリア島ではその10倍以上で男性の1.6%、女性の1.1%が、90歳以上の高齢者であり、また彼らが質の高い生活を維持していることでも知られています。
そのため、これまでにも多くの研究者が、その理由を探って食生活やライフスタイルを調査し・分析していますが、ギリシャ・コーヒーを毎日飲むことが、健康長寿の理由となっている可能性が高いことが、アテネ大学のGerasimos Siasos博士らが、Vascular Medicine 2013年3月18日オンライン版に発表した研究で明らかになりました。
博士らはイカリア島に住む高齢者142人(男女各71人年齢66-91歳)を対象に、健康状態と生活習慣、特にコーヒー摂取を含む食習慣、さらに血管内皮機能などについて、詳しく調査しました。
イカリア島では一般的な挽いた豆を濾過するドリップ式のコーヒーよりも、挽いた豆をポットで煮出して、そのまま飲むギリシャ・コーヒーが好まれています。コーヒーの1日 の平均摂取量と、血管内皮機能を調べた超音波測定による血流依存性血管拡張反応(FMD)の結果との関係を分析した結果、コーヒーの摂取量が多いほど、血 管内皮機能が良好であること、さらに通常のタイプのコーヒーよりもギリシャ・コーヒーを飲むほうが、血管内皮機能の健康状態がより良いことが明らかになり ました。
博士らは今後このギリシャ・コーヒーがどのようなメカニズムで血管の健康に寄与しているのか研究を進めるとしています。
Vascular Medicine 2013年3月18日オンライン版
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ストレスフルな出来事があったときに、いつもは手を出さないジャンクフードを食べてしまったり、1個で我慢しているケーキを、立て続けに2個3個と食べてしまう、などということは、摂食障害とは無縁の、健康に気をつけている一般人でも、経験することですが、こうした自棄食いやドカ食いをすると、その後さらに気分が落ち込み、心理状態が悪化してしまうことが、米国・ペンシルベニア州立大学のKristin Heron博士らが2013年3月13-16日にフロリダ州マイアミで開催されたアメリカ心身医学会(APS)71回大会で発表した研究で、明らかになりました。
博士らは日常生活の中で生じる不健康な食経験と、気分の変化を詳しく調べるために、131人の女子大学生を対象に調査しました。
被験者として選ばれたのは摂食障害ではないものの、普通よりも高いレベルで体型と体重を気にし、かつ不健康な食習慣を持つ女子大学生で、彼女たちに小型の携帯タイプのPCを渡して、日常生活の中で1日に数回、気分と食行動に関しての質問に対し回答させ、記録させました。
データを分析した結果、不健康な食行動の直前には、気分の変化や気分の落ち込みがほとんどなかったにもかかわらず、不健康な食行動をしてしまった後に、ネガティブで抑うつ的な気分が大きくなり、落ち込んでしまうことが分かりました。
一方、ポジティブな気分は、どのような行動に関しても、行う前と後で大きな変化が生じるということはありませんでした。
博士らは今回の食行動と情動の変化についての研究結果は、体重の過剰な管理と不健康な食行動を持つ若い女性に対する、効果的な介入法の開発に役立つはずだとしています。
71st annual meeting of the American Psychosomatic Society 2013
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