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さて、昨日のミサイル発射について各紙とも社説は北朝鮮関係です。同じテーマについて新聞社の主張である社説を読み比べることはその新聞の方向性を知っておくには申し分ない材料です。まともに引用すると5000文字制限にかかるので要約します。
北ミサイル発射 安保理は制裁決議の再確認を【読売社説】
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090405-OYT1T00967.htm
■国連安全保障理事会の緊急会合の招集を求めたのは、当然の措置。
■衛星打ち上げであっても、「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動停止」を求めた
安保理決議1718に違反
■安保理で英国と仏国は日米と歩調を合わすが、中国とロシアは同調していない
■安保理は、核放棄やミサイル開発の中止を求め北朝鮮に制裁を科した決議1718の
厳格な履行を再確認すべきである
■今回の発射で、北朝鮮に核廃棄を迫る6か国協議の行方も不透明になった。
■北朝鮮が協議から離脱するというのであれば、安保理は新たな決議で北朝鮮に圧力をかけ、
復帰させなければならない。
■ミサイル防衛(MD)システムの一層の充実が欠かせない。
読売新聞らしい社説です。
北朝鮮には圧力が必要なこと、日本の安全のためにもMDの充実をうったえています。
社説1 安保理は北の冒険主義を封じ込めよ【日経社説】
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20090405AS1K0400505042009.html
■4日の誤探知騒動を除けば、政府による警戒活動は、おおむね適切だった。
■北朝鮮の行動は脅威を振りまく冒険主義的行動である。
■日米両政府が指摘するように、国連安全保障理事会決議1695号と1718号決議に違反
■人工衛星と弾道ミサイル打ち上げの技術はほぼ同じであり、発射実験による北朝鮮のミサイル
技術の向上は地域の不安定要因になる。
■国際社会が強い措置をとらなければ、似た行動が繰り返される。日米両政府が国連安保理の
緊急会合を求めたのは当然。
■安保理が北朝鮮の行動に対する外交包囲網をつくるのに失敗すれば、冒険主義を助長する。
■安保理に求められるのは、それを封じ込め、あの国に政策転換を迫る行動である。
■効果的なのは、例えば金正日氏など北朝鮮要人の海外口座に絞った金融制裁。
珍しく妙にキツかったのが日経。まあ、せっかく日経平均が上がっているのに直撃くらったら
ご破算でしたしね。
北朝鮮の行動は冒険主義であり、封じ込めや制裁による圧力…具体的に金融制裁まで言及している。
MDに関することは特に無し。
社説:北朝鮮ミサイル発射 「ルール破り」は明白だ【毎日社説】
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090406k0000m070110000c.html
■この「発射」を容認することはできない。
■日米韓3国政府の一致した見解を改めて支持する。
■北朝鮮のこれまでの振る舞いは、「全人類の共同の利益」や「相互理解」「友好関係」
に全くそぐわない。
■ミサイル関連技術輸出規制(MTCR)の参加を中国は受け入れたのに北朝鮮は無視。
■拒否権を持つ中国やロシアが、北朝鮮への厳しい対応に消極的な姿勢
■日米韓も今後の対応について冷徹な判断が必要になる。
■北朝鮮の暴挙は容認できないという認識を堅持しつつ、6カ国協議や米朝交渉を通じた
事態打開といった選択肢も冷静に考慮すべき。
■北朝鮮に核計画を放棄させることを最優先する
■日本は米国と連携し、中国やロシアとの溝を埋める努力をすべきだ。
で、変態新聞なのですが、意外とキツめです。読んでいるうちに方向転換したのかしらと思い
ましたが、よーく読むと、冷静、冷静と繰り返して強い外交を望んでいないかのようだ。
制裁やMDに関する言及は無し。
ついでに言うと、話し合いで核廃絶のような甘いことを夢見すぎているようだ。
北朝鮮ミサイル―国際結束で脅威を抑えよ【朝日社説】
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1
■この発射はとうてい容認できない。
■安保理が出した北朝鮮への制裁決議の再確認をすべき。
■しかし、まともに決議を実行している加盟国が少なく、実効があがっていない。
■第一に、北朝鮮に国際ルールを守らせるための硬軟両様のダイナミックな外交
■第二に「核のない世界」をつくるための軍縮、不拡散の努力だ。
■無法な行動を抑え込む現実的な手段は外交しかない。
■そのための舞台は米朝交渉であり、6者協議。
■北朝鮮を交渉のテーブルにつけることだ。
■クリントン国務長官が、今回の発射と6者協議を切り離し、6者合意の実行を追求すると
語っているのは正しい。
■おととい、政府が誤って飛翔体発射を発表し、5分後に取り消す失態があった。危機管理上、
ゆるがせにできない問題だ。
■あたかも日本が攻撃されるかのような浮足だった議論もあったが、国民は冷静だった。
差別新聞社説…他の社説と同様、容認できない。制裁決議の再確認は同じなのですが、
とにかく理想に走りすぎて甘い。「現実的な手段は外交しかない。」って他にもあるのである。
キツいのが。
そして、六者会談を主としてアメリカと話をさせろという。これは北朝鮮のオーダーを聞いてやれ
ってこと。
毎日と朝日以外は六者会談の枠組みに頼る気がないのが読み取れるのにまだ執着しているのである。
そりゃあ、国連安保理で制裁決議より六者で気ままに時間稼ぎするほうが北朝鮮の利益に
かないますからね。
それと、5紙で一番、MDと誤報に対してキツいです。
浮足だった議論って、国際ルール、ガン無視のキ○ガイ国家相手にしているのです。
もしものことは想定しますよ。平和ボケですか?
まあ、マスコミは「あたかも日本が攻撃されるような議論はやめろ」と言いつつ、攻撃されたら
政府のせいというだけだから気が楽かもしれませんが、政府は責任を負っているのです。
それと「国民は冷静だった。」そりゃあ、迎撃準備までしてリーダーシップを取り続けていましたからね。
その辺を勘違いしては困る。
北のミサイルが飛んできます。政府は何もしません。では冷静ではいられなかっただろう。
朝日の社説で納得できることは唯一正しく政府広報の通り、「六者」と表現していることくらい。
【主張】北ミサイル発射 断固たる制裁を加えよ 抑止可能な防衛力の整備を【産経社説】
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090406/kor0904060312002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090406/kor0904060312002-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090406/kor0904060312002-n3.htm
■北朝鮮が「衛星打ち上げ」を名目に長距離弾道ミサイル発射を強行したのは、世界の平和と
安全に対する重大な挑戦である。
■国際社会の総意として厳しい制裁措置を講じるよう、あらゆる外交努力を結集すべきである。
■自衛隊と米軍の連携に不可欠な集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈改定を急ぐべきだ。
■自衛権の発動として北のミサイル施設を先制破壊する能力を持つかどうかも含めて国政の場
で積極的に論じる必要がある。
■決議1718の厳しい経済制裁の大半が履行されていない背景には6カ国協議の進展が期待
された事情もある。
■北は「安保理で取り上げただけでも6カ国協議は無効となる」としているが、
脅しに屈してはならない。
■与党の対策本部が求めるようにMDのさらなる整備が必要だ。
■日本の防衛力整備は「専守防衛」を基本にしてきたが、これは攻撃された後の対応でしかない。
■日本政府は独自の対応として追加制裁を早急に定める必要がある。
■大量破壊兵器関連物資やぜいたく品に限っていた輸出の全面禁止や外為法による送金規制強化
に加え、朝鮮総連の資産凍結も含めて検討すべきだ。
一番明確で、一番キツいのが産経。予想通りに。
そもそも六者会談にまったく期待していない。安保理の制裁だけでなく、日本の安全保障にまで
言及している。(MD込みで)
また、日本独自の制裁も具体的であり、送金規制強化、朝鮮総連の資産凍結まで言及している。
さて、同じテーマであるのに、新聞社によってこのような違いがでるわけです。
同じ論調なのが、
■北朝鮮の行いは看過できない。
■安保理制裁決議の再確認は当然
までで、MDに言及する、制裁にまで言及するなどはバラバラ。
新聞屋に言わせると異なる価値観の云々となるが、普通新聞は家庭に一つしか取らないので
異なる価値観を見ることはない。やろうと思ったら5紙とも買ってこないと。
インターネットだからこそできる読み比べと評価です。
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