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≪ダイジェスト≫
前節で既にリーグ優勝を決め、勝ち点差ではダブルスコアの差をつけられている名古屋を相手に臨む第32節。前節でのココロ折れる敗戦から、中2日でどれだけ反発できるかに注目した試合は序盤、東京のペース。トップ下に配置された梶山と左サイドで先発の座を掴んだリカルジーニョのコンビネーションから名古屋のDFラインを崩しに掛かると27分、連続したセットプレーのチャンスから、こぼれ球を梶山が拾うと最後は大黒がコントロールショット。GK楢崎の頭上を抜き、先制に成功します。これで流れを掴んだ東京は梶山を基点に次々とチャンスを得ますが、追加点を奪うには至らず。するとロングボールを主体に押し込んでくる名古屋へとゲームの主導権は流れていきます。それでも東京は森重・今野の身体を張った守備と、献身的に中盤で相手を潰しながらDFラインへのフォローも怠らない米本の闘志溢れるプレーでゴールを死守。終盤にはDF闘莉王をFWに上げて強引なパワープレイに出る名古屋に対し、前線からGKまで集中力高く対応しきった東京は、最後まで虎の子の一点を守り切りタイムアップの笛。残留に向けての非常に価値の高い勝ち点3を、アウェイでもぎ取ることに成功しました。
≪選手評価≫
SYSTEM 4-5-1
GK 権田 (5.5)
…チームの課題である「1−0」の試合をやっとモノにして見せた。セービングでは見せ場となるシーンはなかったが(←これは褒め言葉ね)、この試合で一番重要となったハイボールの処理に関してはノー・ミスの内容だったと思う。ただリスタートの部分で選択ミスがあったのは反省点。
DF 椋原 (6.0)
…非常に強気な姿勢を貫き、必要以上に守りに入らないで90分間最後までアップダウンを繰り返した。肝心なクロス精度などには課題があるが、怖がらずに前に出ることで相手を封じ込んでいた部分は高く評価。
DF 森重 (6.0)
…本当に“ギリギリの闘い”をDFラインの中央で繰り広げていた。フィジカル勝負となった相手の放り込みサッカーに対し、今野と共に粘り強く対応しきったと思う。決勝点にも絡み、前節での悔しさからみごとに「反発」してみせた。
DF 今野 (6.0)
…身長差のあるFWケネディと対峙。空中戦では苦しんだし、ポストワークの部分ではある程度やられてしまったが、最後まで周囲との連携を取りながら決定的な仕事だけは許さずに90分間を封じ込んで見せた(むかし同じ豊田スタジアムで、FWヨンセンを封じ込んだ藤山の姿をちょっと思い出した)。ホームでの借りをしっかり返せたね。
DF 北斗 (6.0)
…少しバタついた感はあるが、セットプレーでのセカンドボールの拾いを含め、要所要所でボールに絡んでいたと思う。3トップ採用の相手に対し、バランスを崩さず粘り強く対応していた。FW玉田のシュートミスには助けられたね。
MF 徳永 (6.0)
…前節の“守備的MF2枚が同時にボールや相手に寄せてしまう”反省点を踏まえたかのようなプレー内容。米本が自由に動き回る分、中盤のバランスを崩さないようようスペースケア。目立たないが、ボールのないところで効いていたと思う。
MF 米本 (7.0) ⇒ MVP!
…「何点、防いだよ?」という鬼気溢れるプレーで見事な完封勝利をチームにもたらした。前半41分のFW小川の決定的なシュートをゴールライン上でかき出したスーパープレーも凄かったが、90分間落ちない中盤でのハイプレッシャー、最後まであきらめないボールへの喰い付き、最終ラインへの献身的なフォロー&プレスバックetc…と、その勝利への貢献度は計り知れない。ロスタイムに見せたFWケネディのシュートを足に当ててCKに逃れたシーンには涙が出そうになった。すばらしい。文句なくMVP。終了後に足が痙攣してピッチに倒れこむ姿は美しさすら感じさせる。
MF 石川 (6.0)
…主導権を掴んだ前半はサイドでボールを引き出しながら丁寧にプレー。1トップ採用によりフィニッシャーが少なくなるゴール前にも、運動量多く鋭い侵入を繰り返していたと思う。押し込まれる時間の増えた後半は攻撃面で目立たなくなったが、守備への関与を含めて悪くない出来だったと思う。追加点、欲しかったね。
MF 梶山 (6.5)
…不在の平山に代わって「前線のボールの納まりどころ」になった。横浜・川崎戦と不調だったが、最初からトップ下にポジションを上げたことで守備の負担が減った分、梶山らしいボールキープと足技が発揮されたと思う。リカ・大黒・石川と3つあったボールの散らし場所も的確な選択が多く、不用意なパスカットからカウンターを受けるシーンもなかった。あとはゴールがあれば文句なし。
MF RICARDINHO (6.5)
…梶山との絡みから何度も左サイドを突破し、前半の主導権を握ってみせた。その時間帯の中から生まれた決勝ゴール。本人にとっても嬉しい勝利だったと思う。4−5−1採用のウイングで、あれだけボールを前に運べれば合格点。あとはシュートやクロス、ラストパスといった部分での精度を求めたい。
FW 大黒 (6.5)
…試合後の本人コメントにもあるように「狙った」というより「感覚」で流し込んだループシュートは点取り屋らしい見事な一撃。そんなゴールシーンも素晴らしかったが、屈強な名古屋2CBに対して「スペースを突く動き出し」を続けることでチャンスを作り出した部分を評価。正直、1トップでは厳しいのかなと思ったけれど、あれだけ前線で引っ掻き回してボールを受けられのならば文句なし。
〜・〜・〜
MF 達也 (5.0)
…嬉しい復帰戦も、内容的には反省の多いプレーが多かった。スコアを考えればもっと丁寧にボールを扱って欲しかったし、ロスタイムでのシュート選択はリスクヘッジの部分で“やってはいけないプレー”。ストライカーなら許すけど、この試合で達也に与えられた仕事は別に合ったはず。
MF 重松 (-・-)
…サイドからの相手クロスを封じる役割を良く理解していたと思う。本当は前線に置きたいが、与えられたミッションをしっかりこなすのも大事な仕事。
FW 前田 (-・-)
…FWなら強引に仕掛けたいであろう場面でも自重し、チームのためにしっかり時間を削ってくれていたと思う。短い時間だったが、与えられた仕事はきっちりとこなしてくれた。
≪point!≫
多摩川クラシコでのココロ折れる敗戦からどこまで「反発できるか」に注目した試合ですが、選手達は中2日とは思えない緊張感と高い集中力でしっかりと戦い抜いてくれました。地持ちの伝わるプレーがスタジアムで観られたことには素直に感動。名古屋の置かれたレギュレーション(簡単に言えば「消化試合」)に助けられた部分も確かにあるのかもしれませんが、逆に言えばメンタル的なプレッシャーのないなかで、伸び伸びとサッカーをしてくる可能性もあったと思います。東京は決して完璧ではないものの、ボールに対する当たりの強さであったり、対人プレーであったり、スローイン一つに対するケアであったりと、「サッカーの本質」の部分で戦う姿勢を体現していたと思います。その一番手が米本でしたね。すばらしかった。
名古屋に関してはピクシーが就任して以来、対角線を意識したサッカー(サイドチェンジ主体の戦術)をしている印象がありましたが、いつの間にかロングボール主体の“縦ポン”なサッカーになっていました。城福監督の目指したビルドアップから丁寧に作り上げていくサッカーからすると、ロングボールの放り込みで簡単にチャンスを作れてしまう名古屋のサッカーが結果を出したことは…なんとも言えない気持ちにされてしまいます。もちろんDF闘莉王の精度の高いフィードは素直にすごいと思いますし、仮にFWケネディが東京にいたとしてもタイトルに絡めたかは別。スタジアムの相手ゴール裏に掲げられた【WE ARE THE CHAMPION!】の文字を見させられた悔しさは、東京というクラブの苦い経験として未来への糧にして欲しいです。我々も、いつか必ず…!
で、その東京は梶山を高い位置に配した4−5−1が機能。追加点を奪えなかったことや、ロングレンジでのカウンターが仕掛けられないなど問題点はありますが、今いる選手たちの状況を踏まえながら、この大事な試合に臨んだ大熊采配が当たったと思います。選手交代の部分で「?」な部分もありますが(達也のことね)、梶山をボールの納めどころと割り切った上で、縦に勝負できるリカルジーニョを先発起用したことにも納得。平山がいなかったこともありますが、不調の梶山を一列上げた事で10番に掛かる守備の負担を減らしたことも即効性があったと思います。不器用ながら身体を張り続け、スペースケアに尽力した徳永のボランチ起用も「米本に自由を与える」という狙いがあったはず。その米本は…まぁ、とにかく凄かったです。もちろん梶山が本来の仕事(アンカー)をこなせれば、中盤の底からの組み立てにも更に期待出来ますが…そこら辺は今後への課題。1トップとして相手の嫌なところを狙い続けた大黒も良かったと思います。
さて次節はホーム最終戦。勝てば(事実上の)残留が決まりますが、この勝利をサッサと忘れて今シーズンの悔しさからの「反発」を継続できるかに注目。まだ東京は何も成し遂げてはいません。前回の観戦記でも書きましたが、これで気持ちのテンションを保てないようなら、東京は落ちてしまった方がいい。「イーブンなボールを自分達のモノに出来るか」を問われてるのが、今の東京だと思う。
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