アサヒ ペンタックス Sシリーズ 博物館

少しずつUPします。ながーい目でお願いします。

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レンズ収蔵品第53番は、ウルトラアクロマチック タクマー 85mmf4.5です。

このレンズも前述のクオーツタクマーと同様、特殊撮影用のレンズです。クオーツタクマーは人工水晶と光学ガラスで構成されていましたが、このレンズは5群5枚構成のうち、前玉と4枚目が水晶で、2,3,5枚目は蛍石(○ほたるいし ×けいせき)で作られています。光学ガラスは一切使われておりませんし、変な干渉を防ぐためコーティングも施されていません。

クオーツタクマーが紫外線撮影専用であるのに対して、ウルトラアクロマチック タクマーは紫外(UV)・可視・赤外線(IR)撮影すべてに対応しています。これはすごい技術で、現在でもこのような35mm一眼レフ用交換レンズは、市販されていないと思います。

クオーツタクマー等の水晶レンズでの紫外線撮影は非常にやっかいでしたが、このレンズでは、紫外線〜赤外線までの収差の補正がなされていますので、撮影は非常に簡単になりました。といっても、紫外線撮影では、ピントの補正をする必要がありますが、専用フィルターを使えば、簡単に操作できるように考えられています。その方法はなかなかユニークで、このレンズは前から押すと少し後退するように作られています(2枚目写真のレンズ周囲の少し色違いの枠部分)、紫外線撮影用の専用干渉フィルターは、ネジ込んでいくとレンズ前枠に当り、少しまわしにくくなりますが、さらにネジ込むとピント補正分だけレンズエレメント全体が後ろへ下がり、複雑なピント補正が簡単にできるような仕掛けになっています。赤外線用の干渉フィルターでも、同様な機能を持っていましたが、このフィルター1枚29、000円というとんでもない価格でした。まあ、それを装着するレンズもとんでもない値段でしたが。

これらの専用フィルターは、全部で7種類用意されていましたが、7種全て揃ったセットには未だ遭遇したことがありません。また、製造初期には、専用のフードが別売りで用意されていました。しかし、これまた遭遇できていません。

追記:ウルトラアクロマチック タクマー85mmf4.5のようなレンズは、市販されていない、と記しましたが調べてみると、Coastal Optical System Inc.で2008年からニコンマウントで製造されているようです(チョット怪しいです、同じような前作があるのですが、試作品で終わったようです)。ニコンにもUVニッコールがありますが、近赤外(NIR)域までの対応となっています。またハッセルブラッドにはUV〜IRまで対応のレンズがありますよ。

追記供Юこ初の蛍石レンズはどれか?1969年発売のキヤノンFL-F300mm f5.6でしょ、という人が多いですが、これは間違いです。18世紀から蛍石レンズの特性は知られておりまして、希少な透明天然結晶が顕微鏡の対物レンズに使用されていました。ただ、透明な結晶は小型の物ばかりで、写真用レンズには使うことはできませんでした。その後1968年に、蛍石鉱石から大きな人工結晶を作ることに成功して(日本の光学ガラスメーカー)、写真用レンズに用いられ始めました。ウルトラアクロマチック タクマーは1968年発売ですので、このレンズこそ、世界初の一眼レフ用蛍石レンズということになります。

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おはようございます〜。
ふとした疑問なのですが、こんな特殊なレンズってどうしても高くなりますよね。いったいどんなユーザーの方が使うのでしょう。お星様を撮る方々なのでしょうか。でもそれだったら85mmってなんだか中途半端なような。う〜ん、謎です。

2009/4/23(木) 午前 6:06 [ ] 返信する

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このようなレンズは、鑑定作業に使われることが一番多いのではないかと思います。警察・美術館・博物館・研究所などでしょうか。たとえば、偽造された紙幣や文章・絵画などを撮影しますと、本物とハッキリ区別できます。

2009/4/23(木) 午前 10:30 [ aoco23102 ] 返信する

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当時のセットでの販売価格はいくらだったのでしょうか?

2017/1/16(月) 午後 10:28 [ pae*00*p*oto ] 返信する

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pae*00*p*oto様こんばんは。

昭和49年9月の資料では、レンズ9万円、フィルターが入る専用角型ケース4000円となっています。あと、専用のフィルター365mμ12300円、R62が1600円、R68も1600円で862mμが29000円でした。

合計138,500円で、これに別売りフードが1000円でした。しかしフードまで付いてる完全なセットはいままでに遭遇したことがありません。

2017/1/17(火) 午前 0:18 [ aoco23102 ] 返信する

こんにちはー
ブログ拝見しました。これほど詳しくアクロマティックレンズのことを書いた記事を初めて読みました!ごく稀に見ますが、どんな絵が撮れるのか、興味あります!

2017/3/24(金) 午前 8:42 [ はなはな ] 返信する

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はなはなさん、ご来館ありがとうございます。

このレンズはラボ用ですので、画質的には中庸です。潮解防止のコーティングが蛍石レンズにはされていますが、反射防止のコーティングはされていないので、コントラストも低めです。一般撮影に使用しても、ガッカリするでしょう。

ウルトラアクロマティックタクマーでは300mm f5.6のほうが実用的です。画質もかなり良く、タクマー300mm f4よりもずっとシャープな画が撮れますよ。こちらは、コーティングもされています(前期・モノコート/後期SMC)。

2017/3/24(金) 午前 10:23 [ aoco23102 ] 返信する

なるほど、85の方は、特殊用途なんですね!衝動買いしなくて良かった!また拝見します。引き続きよろしくどうぞ。

2017/3/25(土) 午後 2:18 [ はなはな ] 返信する

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こちらこそ、よろしくお願いします。人間、一人で出来ることは、限られてても、5人10人と集まれば、あ〜だ!こ〜だ!と言い合って、質・量ともに知識が増えていきますので。

2017/3/25(土) 午後 3:52 [ aoco23102 ] 返信する

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