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ハイ!皆さまお待ちかね/お待ちかねじゃない方も公平に
強制的に読んでもらいましょう。
没になった小品、(Based on a true story)です。
「龍馬のひみつ」
会社勤めをしている間は犬を飼いたくても長時間留守番を強いられる
犬の立場を考えるとなかなか飼えなかったのですが、退職するやいなや
小犬を我が家へ迎える事を決定♪。
片手の中に収まる小さな赤ちゃん犬を連れ帰った日の感動は忘れられません。
さて、この先は犬君自らが語ります。
ボクはPBGB犬(Petit Basset Griffon Vendeen)、フランス生まれの猟犬です。
生後8週間のボクがマミーの家へ来たのは7年前の9月半ば、
マミーとパパそれに沢山の玩具がボクを温かく迎えてくれたのです。
マミーが付けてくれたボクの名は「龍馬」そうですあの坂本龍馬の龍馬です。
最初の一週間は自由にトイレが出来るようにとボクの犬小屋の廻りには
白いマットと新聞紙が敷いてあったのを覚えている。
しばらくすると散歩に出られ朝晩のトイレは外で出来るようになったんだよ。
散歩にも慣れボクがしっかり歩けるようになるとマミーはトレイナーを雇って、
躾けの基礎訓練が始まりました。ボクだけの訓練ではなく、
マミーもボクと一緒に勉強を始めたのです。
ボクの散歩は道行く人達の邪魔にならないようにマミーに寄り添って歩く、
これが犬族の散歩の基本らしい。マミーはその散歩の基本やその他の躾けを
ボクに指導する方法や命令に服従させる方法を学ぶ訳です。
つまりマミーは命令を出す人、ボクはそれに従う小犬ということで
親コ一緒に勉強をし始めたのです。
マミーと遊びながらの訓練はとても楽しかったんだぁ〜。
パパが帰宅するとマミーの話題はボクの事ばかり。
「龍馬は賢いから一度教えればキッチリ覚えてくれるので嬉しいわ♪」と
褒めてくれたり「自立心が旺盛で頼もしいわ!」とか
「道行く人が龍馬を可愛いと褒めるのよ」とマミーはボクの自慢話しに
毎夜花を咲かせていたのです。
それを聞くパパはニコニコしながらボクの良き遊び友達に徹していました。
ボクはとっても幸せな子犬だったのですよ。
実はPBGB犬は賢い犬種と定評があるんです。
マミーの云う通りボクの訓練は順調に進んでいました。
でも賢いPBGB犬のボクも完璧ではありません。
ボクには知られたくない欠点、秘密がありました。
ボク達犬族の習性としてあり得ない事、それをボクは毎日繰り返していたのです。
さて、そのボクの秘密とは、、、、
じつはぁ〜、、、犬小屋の中でオネショウをしてしまう事なのです。
それでもしばらくはそれをうまく隠していたのですが、
ある朝とうとうマミーに見つかって仕舞ったのです。
その経過は、、、
早起きのボクはオネショウで濡れたタオルをマミーが起きて来ないうちにソッと
犬小屋から出すんですね。そして空気乾燥させ、
乾いたら犬小屋の中にオイチョッと戻す。これを毎日せっせと繰り返していたの。
ボク、学びましたよ。隠し事はなかなか続かないものだと云う事をですね、、。
ある朝、マミーが用意してくれた朝食をボクは夢中で食べていたんですよ。
マミーの声:「アラッ、またタオルで遊んでいるの?ね」とタオルを戻そうと、、
ボク:「ハッ!まだ乾いてないッ!」朝ご飯どころじゃない!。
ボクは慌ててそのタオルの上に勢いよく飛び乗りましたよ。
でも遅かったんだよね。ボクの秘密がとうとうバレてしまったんです。
母<そうなんです、秘密がバレた瞬間の慌てようがチョット面白かったですよ♪>
どうやら、タオルが毎朝外に出ている事をマミーも気がついていたらしい。
だけど、いつも元通りにボクのお部屋の中に戻っていたので、
毎日タオルと遊んでいるのだろうと、思っていたらしいんだ。
「あらあら龍馬、犬は犬小屋の中でおしっこなんかしないのよ」と、
マミーは風邪でも引いたのかコンコン咳をしてチョッピリ怖い顔をしていたんだ。
その夜、マミーは「名は態を表すっていうけど本当ね」
「龍馬なんて命名するべきではなかったわ。オネショウまで龍馬なみよ」
と、笑ってパパに報告。「ボク、なんとも面目ないワン!、、、」。
もう失敗をしないようにとても気をつけていたんだけど、
朝起きるとタオルが濡れている。
マミーは咳をしながら小言も言わずに濡れたタオルを毎日取り替えてくれました。
マミーの咳がどんどんひどくなり、パパが心配している様子が
部屋の向こうから聞こえてきます。ボクの心配はいうまでもありません。
オネショウ発覚以来マミーは犬に関する本を何冊も読み、
トレイナーにも相談したのでしょう。1日6回の散歩が日課となりました。
朝一番の散歩、朝食後に散歩、お昼に散歩、おやつの後4時に散歩、
夕食後8時に散歩、そして就寝前に散歩。
ボクの食事の用意も犬小屋の掃除も全部マミーがしてくれます。
それにオネショウで濡れたタオルのお洗濯も追加です。
お昼はボクと遊んでくれるし、訓練にも一緒に参加してくれています。
トレイナーも「龍馬はとても幸せね」って言ってました。なもんで
マミーが病気になるとボクは本当に困るんですよ。
「オネショウが止まないね。困った坂本龍馬だね」というその朝のマミーの声は
咳のためかかすれていて、喉がひぃ〜ひぃ〜鳴っていてとても苦しそうだった。
「今からお医者に行って来るからいい子にしていてね」と、
いつもなら一緒に遊ぶ時間なのですが、ボクは犬小屋の中でお留守番、
マミーは出掛けて行きました。
その日からマミーは毎日沢山のお薬を飲むようになったのです。
毎日規則正しい生活が続きマミーの咳も少し治まったので親戚のお家へ
皆で出掛けました。その家には伯父さん、伯母さんそして男の子二人がいて、
おまけに「タッド」という名のラボ犬もいました。
タッドはボクより2歳年上のお兄ちゃん。ひと目で友達になれましたが
タッド兄ちゃんは「ワンワン!ワンワン!」とよく吠える。
ボクの敏感な耳が痛くて仕方がないので思わず
「うるさいッ!ワン」と文句を言って仕舞いましたよ。
タッドと遊んでいると、マミーがおいでおいでとボクを呼ぶのです。
駆け寄ったボクの頭を撫でながらマミーは泣いていました。
ボクは鼻先でマミーの腕をチュンチュン突いて「どうしたのん?」と見上げると、
「どうやらタッドとも仲良く出来そうだから安心だわ」
「今日から龍馬のお家は此処なのよ。マミーは犬アレルギーだからね、
龍馬とは一緒に生活出来ないの。ゴメンネ」。
ボクには難しいことは何も解らないけれど、コンコン咳をしながら
マミーが泣いていたことが、ボクにはとても悲しかったのを憶えています。
こうしてボクはそのままパパの親戚のお家に養子として迎えられました。
名前も呼び易いように「リモ」と改名されました。でも、
マミーが付けてくれた坂本龍馬の「龍馬」、コレがボクの本名。
大好きな名前なんです。
4ヶ月間住んだマミーのお家と違いこの家は規則がない。
遊びながらできる楽しい訓練も無い。いつでも好きなように食べて
家の中でかけっこが出来る。ソファーの上に乗っても叱られない。
マミーの居ない生活の中で一番嬉しかったことは優しいタッド兄ちゃんが
毎日遊んでくれたことでした。
月日は流れてあれから早くも7年が経ち、人間でいうとボクは49歳、
もう立派なおっさんです。
マミーが去勢手術は生後6ヶ月をメドにお願いしますと頼んでいたのに、
つい最近ボクはその手術を受けたんです。手術後のホルモンのバランスが
崩れたのか、それともおっさんになったからかやたらと肥る。
我ながら犬というより豚君に近い。体が重くて以前のように早く走れない。
今日もボクを訪れたマミーは「龍馬、また肥ったのね」ってビックリしていた。
マミーが来ると「龍馬、いい子にしてた?」とボクの目を見つめて
しばらくの間お話しをしてくれる。
そういう時のボクは生後4ヶ月の子犬の気分に戻って、マミーの優しい手の
感触を楽しみながらマミーのお家で規則正しく生活したかったなぁ〜なんてね、
うつらうつら思うんだぁ〜。
マミーは犬のマッサージが上手なのでね、マミーが来るとタッド兄ちゃんと
ボクはついついマミーの取り合いになってしまう。
アレルギ−体質のマミーとは一緒に暮らせないボクだけど、
マミーは頻繁に会いに来てくれるので、あまり淋しい思いをした事が無いんだよ。
ただね、こんなに肥ってしまってもう猟犬とは云えないんだよね。
マミーもボクの太り過ぎを心配してたしね、、。
子供の気分に戻ってまた運動でも始めよっかな!って思ってんだ。
「エッ?なぁに?、ああ、オネショウですかぁ〜?、、、。それはぁ〜、、、??、
あぁ〜、、、、、、何と言うかぁ〜、、、、、」
「あぁ〜、ファイナル〜アンサ〜、、、、
、、、、皆さんご存知の坂本龍馬さんはですね、いつも袴の裾をですね
濡らしていたって云いますからね、同名のこのボク、、へへッヘッ!、、
、、、皆さんのご想像にお任せしますよ、、、ワンッ!」
おわり
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