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【関西の議論】「ゆるキャラ残酷物語」“大人の事情”に振り回されて…表舞台から消える一方で支援の手も
2017年1月9日 11時2分 産経新聞

 全国に数千体はいるともいわれ、さらに増え続けている「ゆるキャラ」。

 滋賀県彦根市の「ひこにゃん」や熊本県の「くまモン」などが全国的な人気を集める一方で、“大人の事情”に振り回されて厳しい境遇に立たされているゆるキャラも少なくない。大阪府河内長野市の植物園「府立花の文化園」のマスコットキャラ「フルル」と東京都足立区の「アダチン」は“リストラ”され、下田商工会議所青年部(静岡県下田市)の「ぺるりん」は公式の座を追われそうになる危機に陥ったことも。だが、ゆるキャラたちはそんな逆境に立たされても、いつもと変わらない愛嬌(あいきょう)を振りまいている。(藤崎真生)

「ビリキャラ」人気も“リストラ”の憂き目に…

 フルルは平成12年、花の文化園開園10周年を記念して誕生した花の妖精。24年の「ゆるキャラグランプリ」にエントリーしたことで、“脚光”を浴びることになった。この大会はひこにゃんやくまモンなどを輩出し、優勝すれば全国的な人気を獲得している。

 ところが、フルルはエントリーが遅れたことも災いして865体中の863位という散々な結果に終わった。このときの864位が浜寺ローズカーニバル実行委員会(堺市)の「浜寺ローズちゃん」、最下位が堺市都市緑化センター(同)の「ポピアン」で、くしくも府内の花をモチーフとしたキャラが、ワースト3を独占した。

 3体の関係者はこうした結果を逆手に取って“ビリキャラ同盟”を結成。「ビリキャラサミット」を開催したり、撮影会を開催したりして知名度アップに奔走。翌25年には、テレビ朝日系の深夜番組「タモリ倶楽部」に3体そろって出演を果たすまでになった。

 こうした功績が認められて、フルルは26年2月「南河内農とみどりのミュージアム大使」に就任。一躍、地域の人気者となり、河内長野市内の幼稚園児や小学生らが遠足で訪れた際にはフルルが出迎えることもあった。

 だが昨年4月、花の文化園の指定管理者が変わったことで、フルルは同園を“卒園”。実は、府は管理するキャラが増え過ぎたために、府の鳥・モズをモチーフにした広報担当副知事「もずやん」への一本化を進めているなかでの“リストラ”になってしまった。

 “職”を失ったフルルは同年10月、“ビリキャラ仲間”のポピアンの誘いで堺市都市緑化センターで行われたポピアン誕生日イベントに参加。多くの親子連れらに記念写真をせがまれるほどの人気を見せつけたが、その後の活動はまったくの未定だ。

 同園は「訪れた方々の笑顔が忘れられない。フルルに出会える機会をなくしたことは悲しく、みなさんには申し訳ない気持ちでいっぱい。何とかフルルの『第二の人生』を見つけてあげたい」と話している。

半年未満で“捨て犬”に「希望は捨てず」

 平成19年12月に東京都足立区の文化や芸術をPRする公式キャラになった「アダチン」も、苦難の道を歩んでいる。

 犬のチンをモチーフにしたアダチンは翌年3月に「契約期間満了のため」に公式キャラを外された。半年ももたなかったことに、生みの親のアニメーション作家、青木純さん(35)は「(行政サイドに)気に入ってもらえなかった」と理由を説明する。青木さんによると、イベントでアダチンが近藤弥生区長(57)に握手を求めようとしたが、無視されたこともあったという。

 “捨て犬”となったアダチンは、地元の防災フェアやラジオ体操などのイベントに積極的に参加。その一方でグッズ類の在庫がかさみ、アダチンの“中の人”については、ボランティアスタッフに頼らざるを得ない厳しい状況が続いている。

 現在では、こうしたきつい境遇に立たされていることを逆手に取り、「きつキャラ」の地位を獲得。「踏まれっぱなし」の厳しい環境に耐えて前を向いているアダチンの姿に共感したファンもおり、同区内のショッピングセンターや大型衣類販売店などから出演依頼が来るまでになっている。

 青木さんは「今年は誕生から10年の節目。何とか着ぐるみをリニューアルしたい。再び足立区のPRキャラになるか、商業的に自立できる売れっ子にしたい」と希望を捨てていない。

「偉人をちゃかしている」補助金カットの危機

 平成27年に下田商工会議所青年部が誕生させた「ぺるりん」も、“大人の事情”で危機的状況に立たされた。

 ぺるりんは、幕末のころにペリー提督が来航した地で知られる下田の歴史にちなんだキャラクターで、ペリーの故郷、米・ニューポート生まれのペンギンの妖精という設定になっている。誕生当初こそは地元のイベントを中心に精力的な活動を展開していたが、突然、窮地に立たされた。

 28年6月に就任した元陸上自衛官、福井祐輔市長(69)が「偉人をちゃかしているのでは」と指摘。活動資金となる年間約150万円の補助金の再検討を示唆した。このニュースはインターネット上でホットな論争を巻き起こし、一気にぺるりんは“時のキャラ”に。福井市長は「全国的に有名になった。独り立ちするまで支援する」と態度を軟化させるまでになった。

 同青年部によると、危機的状況に立たされた際には「ぺるりんのために寄付をしたい」という申し出もあったほか、ぺるりんの公式テーマソング「ぺるりん音頭」を「小学校の運動会で披露したい」と小学校に招待されたこともあったという。

 同青年部監事の高橋弘樹さん(50)は「厳しいこともあったが、今後も人々に愛されるキャラを目指したい。今回の騒動を好機ととらえ、下田の名を全国に広めたい」と意気込んでいる。

 平成22年から始まった「ゆるキャラグランプリ」では、ひこにゃんやくまモンなど優勝したキャラは全国的な人気を集め、計り知れない経済効果を地元にもたらしている。その一方で、ゆるキャラをめぐる悲喜こもごものドラマも展開されている。

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