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ルース・オーレイ(RUTH OLAY)の「オーレイ!」(OLAY!)です。MERCURYのオリジナル盤、ステレオ仕様になります。レコード番号はSR60085。
盤にはスレやキズもほとんどなく、かなり良好な状態です。もちろん快適に再生できます。ジャケットには若干のスレがありますが、ヌケや割れはなく、これもかなり良好です。ビニール・コーティングされた立派なジャケットです。
このレコードは1957年10月頃に録音され、1958年だったかにリリースされたもので、メジャー・レーベル(?)でのデビュー盤になります。最初のアルバムは別途出品している「IT'S ABOUT TIME (ZEPHYR)」です。その辺の経緯は「IT'S ABOUT TIME」の説明文を参照してください。
元々EmArcyのMG36125としてリリースされたアルバムですが、これはMERCURYでのオリジナル盤のようですので誤解のなきよう。大体マーキュリーもエマーシーも同じようなものですが…。要するにEmArcyではモノラル仕様で出したアルバムが、MERCURYではステレオ仕様も出したということでしょう。
プロデュースはピート・ルゴロにより、主なパーソネルは、ドン・ファーガクィストのトランペット、ミルト・バーンハートのトロンボーン、バド・シャンクのフルート、ハワード・ロバーツのギター、レッド・ノーヴォのヴァイブ、レッド・ミッチェルのベース、ドラムスにシェリー・マンとラリー・バンカー、その他ストリングス…というように、ウェストの有名どころが揃っています。中々にお金をかけたアルバムのようです。
収録曲の主なところでは、「Singin' In The Rain」、「Lover Man」、「Lucky Day」、「It Never Entered My Mind」、「I Let A Song Go Out Of My Heart」、「Love For Sale」、「I'm Glad There Is You」、「After You've Gone」、「I Wanna Be loved」などがあり、前作よりもジャズ寄りの選曲で、それぞれに個性的な歌唱を聴かせています。
有名な曲をアレンジを効かせた唱法で歌っており、それで楽しませてくれるのと同時に、入念に準備したと思わせるような丁寧で情緒溢れる歌唱も聴きものです。どっちかというと、後者のパターンが私にはヒットしました。で、お薦めはA面の「Lucky Day」、B面の「I Let A Song Go Out Of My Heart」、「I'm Glad There Is You」などになります。
彼女はあるとき、「あなたが好きな(敬服する)歌手は誰か?」と尋ねられて「I lovvvvvve Rosemary Clooney. I love her soul. (中略) I've always loved her. Of course, Lena.」と答えています。要するに「ローズマリー・クルーニーが一番だけど、もちろんリナも」ということで、多分ロージーとはプライベートでも交流があったからで、歌唱がより似通っているのは「リナ」、すなわち「リナ・ホーン」であるのは明白です。「After You've Gone」などの歌い方は正にその如実な現れに思います。
ところでアルバム・タイトルの「Olay!」ですが、おそらくはスペインの闘牛場なんぞで耳にする「Ole'!」に掛けています。このステレオ版ジャケットの裏面には、胡散臭く背中に槍が刺さった闘牛の絵が描かれていることからも明らかでしょう。
じゃあ、何で? 彼女は、ベニー・カーター楽団に居たときは「Rachel Davis」(安もんのAVスターみたいだな)と名乗っていたそうですが、苗字が「Olay」になったのは、最初の夫がスペイン人で「Olay」という苗字だったからです。それを含めて3回ほど結婚を繰り返した恋多き女性だったようですが、「Olay」への思い入れは相当強かったようですな…。
彼女の歌唱は、ブルース・フィーリングに根ざしたと思われるシャウトが粋で、通常のテンポをやや変化させて歌い込む懐の深さも聴かせてくれます。彼女自身はジャズ・シンガーであることを第一に考えていたようですが、この当時に流行だったフラット・トーンをわざと避けたような妙趣溢れるビブラートも実は聴きものです。
彼女のレコードとしては、おそらくはこの「Olay!」が唯一本邦に紹介されたアルバムだったと記憶します。1990年頃にLPで日本盤がリリースされましたが、残念ながらジャケット写真の鮮明度は落ちていました。
日本盤の写真では、彼女の着ている長袖ニット風ワンピースは単なる無地のスムーズなものですが、実はこのワンピース、襟とブローチの下側(襟から真下にベルトのバックル付近まで)には織り柄があるのです。画像では分かりにくいかと思いますが、絵の具を塗ったようなトーンに成り下がっている日本盤に比して、オリジナルの本盤では彼女の胸付近の微妙な陰影も認められます。こうなると、「やっぱりオリジナル盤ですかね」という論調にも頷首せざるを得ませんか…。
今回は程度の良いステレオ版でのご紹介ですが、確かモノラル仕様もありましたので、見つかったら後日掲載する予定です。
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