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マイルス・デイビス(MILES DAVIS)の「スケッチズ・オブ・スペイン」(SKETCHES OF SPAIN)です。COLUMBIAのリイシュー盤と思われます。レコード番号はPC8271。
盤にはスレやキズは殆どありませんが、輸入盤特有の粗雑感はあります。ジャケットは、ややスレがあり、右下に折れ跡が見受けられます。中くらいの程度でしょうか。
このレコードはオリジナルが1960年にリリースされたもので、あの超名盤とされる「Kind Of Blue」の次に来るもので、マイルスとギル・エバンスのコラボレーションとして最も有名な作品です。
パーソネルは書き並べると膨大になりますので、トランペットとフリューゲルホーンにマイルス・デイビス、ほか大勢ということにしておきます。パーカッションにエルヴィン・ジョーンズが参加していることだけ付け加えておきます。
両者のコラボとして有名なのは「Miles Ahead」、「Porgy & Bess」、そしてこの「Sketches Of Spain」の3枚とされており、とりわけ世評の高いのが本アルバムA面の「アランフェス協奏曲」であり、これをもってコラボの最高傑作とする御仁が多いのは皆さんご存知の通りです。
ところが一方で、クラシックの曲をジャズメンが採り上げる際に、この「アランフェス協奏曲」は完全で最高な安全パイたる題材だそうで、この曲が入っていれば大体はヒットするという「おまじない」のような効果があるそうです。
本アルバムでも「アランフェス協奏曲」をして最高傑作と評価する風潮に殊更異論を呈するつもりはありませんが、元々ロドリーゴが作曲したこの曲自体が永遠不滅の輝きを有している代物であることも、また事実のように思います。それらの相乗効果で「マイルスのアランフェスこそ最高」という評価を得たように感ずるのは、ちょっと捻くれた感性でしょうか…。随分昔にFM放送で「アスペクト・イン・ジャズ」という番組がありました。今は亡き油井正一氏がDJを担当しておられたこの番組では、各ジャズメンの半生を追うみたいな企画があって、当然ながらマイルスもここで特集されました。
マイルスを紹介するにはかなりの時間が必要なのですが、件のアルバムも必然的に紹介され、その回をたまたま私は聴取していました。まだ若かりしジャズ小僧の時代です。ここで油井さんが「Sketches Of Spain」を紹介するために流された曲は、確かB面の「Saeta」や「Solea」だったと記憶します。時間の関係があったのかもしれませんが、決して「アランフェス協奏曲」ではなかったのです。
あまりにも有名な「アランフェス」ではなく、LPしかなかった時代にB面の曲を紹介する辺りに、油井さん独特のレトリックを感じ、さらに今更にして極めて真っ当な正しい選択を為されたのではないかと、その慧眼に敬服する
次第です。
確かにA面1曲目の「アランフェス」で只者でないところは認知されます。そして当時のリスナーはおそらくA面だけ聴いて満腹になっていたのだと思います。しかしB面の最後まで聴いていくと、マイルスとギルによるコラボの肝は、蓋しB面であろうことが理解されるはずです。特に最後の2曲「Saeta」と「Solea」が秀逸で、このどちらの作曲もギル・エバンスによるものです。ここまで聴いて最初の「アランフェス」をもう一度聴いてみると、実はやや散漫な印象を持ってしまいます。
決して「アランフェス」が劣悪なわけではありませんので誤解のなきよう願いますが、やはり自ら作曲した作品にこそ果実が実る、また実らせるべきだと私は思いますし、事実ギル・エバンスもそれを望んでいたのではないでしょうか。最後の高揚感を体験していただきたいと思います。
ところで、このアルバムを紹介する日本語表記には「スケッチ・オブ・スペイン」が大半を占めています。これはどう見ても「スケッチズ・オブ・スペイン」だと思いますので、私は敢えてこう表記しています。リイシュー盤ですから廉価でご提供いたしますが、ペラペラの盤質ではありませんから、案外にお買い得かもしれません。オリジナルに拘らない方には是非お薦めします。
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