のとnoノート(JAZZ編)

超!長文の♪ジャズレコード評♪ですが、ジャズ好きの方にはお楽しみいただけると思います。

全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

イメージ 1

アンドレ・プレヴィン(ANDRE PREVIN)の「キング・サイズ!」(KING SIZE!)です。CONTEMPORARYのオリジナル盤、モノラル仕様になります。レコード番号、M3570。

盤には多少のスレキズが見受けられますが、音にはそれほど問題ない程度です。普通に再生できます。ジャケットにはややスレが見受けられますが、ヤケやシミなどはなく、かなり良好な程度かと思います。ヌケや割れはありません。

パーソネルはピアノにアンドレ・プレヴィン、ベースにレッド・ミッチェル、ドラムスにフランキー・キャップで、以前に出品していた「A TOUCH OFELEGANCE」あたりと同様のメンバーになりますね。この当時はこのメンバーでレコーディングしていたようです。

このレコードは1958年に録音されたもので、もしかしたらプレヴィンの最も有名なジャズ・アルバムではないでしょうか。クラシック界やポップスの編曲などでも有名で、西海岸でマルチ・キャリアを培ったプレヴィンですが、ここではすっかりジャズに浸った演奏を聴かせてくれます。故に最も有名なジャズ・アルバムの一つなのでした。

プレヴィンは後年にレイ・ブラウンらと組んだピアノ・トリオ盤をテラークからリリースしますが、コンポラではこのへんが最上なのかもしれませんね。例のシェリー・マン名義になる「MY FAIR LADY」もこの頃の作品になります。

収録曲は、A面に「I'LL REMEMBER APRIL」、「MUCH TOO LATE」、「YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO」の3曲、B面に「IT COULD HAPPEN TO YOU」、「LOW AND INSIDE」、「I'M BEGINNING TO SEE THE LIGHT」の3曲、計6曲です。どちらの面も真ん中にプレヴィンの自作曲を挟んだ構成です。

プレヴィンの演奏をして「ウェスト・コーストならではの洒落た感覚でござんす」的な批評はよく耳にしますが、B面2曲目の自作曲辺りでは、幾分の計算を感じつつも、中々のブルース・フィーリングたる黒いものを聴かせています。「クラシックやポップス編曲の名手による余技」では収まりきらないスケールを垣間見せてくれる好例でした。

場合によると、バド・パウエル風アプローチやハンプトン・ホーズあたりを髣髴とさせるフレーズもあるようなないような…。要はかなり研究した後の計算が後ろで働いているような気はするのですが、それをそんなに感じさせないのが彼の優秀なところで、騙されても損はありません。聴いてて快適です。

出自はよく知らないのですが、このアルバムをして、かの有名な一関「ベ○シー」のS氏が「録音の凄さをまざまざと知らしめられた」などと仰ることになったそうです。でもね、それはホントかな? と実は思っています。何でも、粋な上にドッシリと腰が据わっており、ピアノの低音域がゴロンゴロンと鳴る、A面ラストの「You'd Be So Nice To Come Home To」が良いそうな…。

CONTEMPORARYといえば「Sound By Roy DuNann」というクレジットが有名でして、彼の録音こそがCONTEMPORARYサウンドの真髄とされています。確かに東の「ルディ・ヴァン・ゲルダー」に比較されて、彼の録音は西海岸での最上とされています。で、私もロイ・デュナンの録音は嫌いではなく好きな方です。ところが何と、このアルバムのサウンド・プロデューサーは件のロイ・デュナンではなく、ハワード・ホルツァーとかいうお方なのでした。

それ故かどうかは知りませんが、コンポラにしてはやや低域が強調されたような録音かと思わないでもありません。ピアノの低音域がゴロゴロ鳴るとか、レッド・ミッチェルのベースがブンブンうなるとかが、録音が凄いと言わしめる要因だそうですが、はてさてそれはホンマかいな…。

甚だ勝手な私見で申し訳なのですが、あくまでロイ・デュナンの録音をニュートラルなものと捕えた場合、ちょいと違う感じがあります。スピーカーによっては、やや引きずりそうな印象が残るような気もします。

「ベ○シー」のS氏が絶賛した背景には、非常に優秀なオーディオ装置の存在が間違いなくあるわけで、一般家庭の装置では少々異なった印象を持たれるかもしれません。とは言え、殊更に奇妙な録音というわけではありませんので、誤解のなきよう。

このアルバムもいまだに何度もCDによって再発されていますが、ジャケット・デザインの秀逸さを理解するにはLPしかないかなと思います。ロバート・グイーディによるドローイングは、おそらくクレヨンが主体になったもので、その筆致(?)はCDサイズではよく分かりません。巷間とは違った意味での「ジャケ買い」に該当しそうなデザインじゃないですか。

しかし、アルバム・タイトルの「キング・サイズ」は一体ナニを意味しているのでしょう? 真相をご存知の方がいらっしゃったら、是非ご教示ください。いずれにしても、モノラル仕様でのオリジナルLPは、今や案外レアかもしれません。 


●中古ジャズレコードをお探しの方は、こちらもご覧ください。
『GOODチョイス!通販』 http://www.blue-p.co.jp/shop/59.html

イメージ 1

カウント・ベイシー、フランク・シナトラ(COUNT BASIE, FRANK SINATRA)の「イット・マイト・アズ・ウェル・ビー・スィング」(IT MIGHT AS WELL BE SWING)です。REPRISEのオリジナル盤、ステレオ録音になります。

盤には、輸入盤特有のスレが若干ありますが、目立つキズはありません。まずは快適に再生できます。ジャケットもほんの少しスレが認められますが、目立つようなヤレはなく、かなり良好な状態を保っています。

タイトル通り、カウント・ベイシー・オーケストラをバックにシナトラが歌ったアルバムで、主なパーソネルは、ピアノにカウント・ベイシー、ギターにフレディ・グリーン、ベースにジョージ・カトレット、ドラムスにソニー・ペイン、トランペットにハリー・エディソン、ジョージ・コーン、アル・アーロンズ、ウォーレス・ダベンポート、ドン・レイダー、アル・ポーキノ、サックスにフランク・フォスター、チャールズ・フォークス、マーシャル・ロイヤル、フランク・ウェス、エリク・ディクソン、トロンボーンにヘンリー・コーカー、グローヴァー・ミッチェル、ビル・ヒューズ、ヘンダーソン・チェンバース、ケニー・シュロイヤーとなっており、その他数名によるストリングスが引っ付いています。

このレコードは1964年に録音され、結構な強力メンバーによるベイシー楽団とシナトラとの共演盤、REPRISE第2作になります。シナトラのセルフ・レーベルだったREPRISEには3枚の共演盤があり、もう二つは「SINATRA-BASIE」と「SINATRA AT THE SANDS」です。

アレンジと指揮をクインシー・ジョーンズが担当しており、彼ならではの洒落つつ迫力のある音楽をもたらしています。いつの時代でもクインシーは中々のやり手で、楽しませてくれます。金儲けに専念しているところもありますから、一部からはバカにされていますが…。

REPRISEは、CAPITOLとの契約が終了間際になったシナトラによって1961年にパーソナルあるいはセルフ・レーベルとして設立されています。当時の所属アーティストには、娘のナンシー・シナトラ、ディーン・マーティン、サミー・デイヴィス・Jr.などがいます。1963年にはワーナー・ブラザーズ・レコードの子会社になり、1967年には親会社ごと売却されて、セブンアーツの傘下になったのですが、不思議とREPRISEのレーベルはそのまま残っています。今もロックのアルバムを中心にリリースしており、ワーナー・ブラザーズ・レコードのサブ・レーベルとして健在のようです。

閑話休題。何故にシナトラがベイシーとの共演を好んだのかは分かりませんが、相性はバッチリのようです。どちらかと言うとカンサス仕込みの田舎風スウィングが身上のベイシーと白人・おしゃれ系スウィングのシナトラとの邂逅は、結果として非常に洒落たスウィング形態を生み出したようですな。

収録曲は、A面に「Fly Me To The Moon」、「I Wish You Love」、「I Believe In You」、「More」、「I Can't Stop Loving You」、B面に「Hello, Dolly!」、「I Wanna Be Around」、「The Best Is Yet To Come」、「The Good Life」、「Wives And Lovers」の5曲、計10曲です。それぞれ3分くらいのナンバーが続きますので、両面で30分未満という短めのレコードですが、物足りなさは感じません。あっという間に終わるものの、満足感は一入かなと思います。なんせ両者ともウマイもんねえ。

A面のトップが「Fly Me To The Moon」、B面のトップが「Hello, Dolly!」、多分に意図的なんですが、この構成は見事です。CDの連続再生では知り得ないゾクゾク感がここにはあります。
初っ端の「Fly Me To The Moon」は、正しくシナトラお誂え向きの曲。ジメジメ感は全くなく、変な情感も加えずにストレートに歌っているんですが、それこそがこの曲の真髄かもしれません。文字通り月まで吹っ飛んで行きそうです。

片やB面トップの「Hello, Dolly!」はお馴染みのミュージカル・ナンバーで、サッチモによる名唱が有名ですが、ここでシナトラは殊更ハッピーに歌っており、ちょいとサッチモを意識したようなフレーズも交えています。元々明るい曲ですから、こういう解釈が妥当なのかもしれません。

ところで、ジャケット表面にはシナトラとベイシーの、ちょいとピンボケで切り抜きミエミエの顔写真が載っていますが、シナトラの下にある「FRANK」は分かるとしても、ベイシーの下に書かれている「SPLANK」は何なんでしょうね? 一応英和辞典や英辞郎なんかも調べてみましたが、こんな単語は出てきません。「SPLANG」なら「辛辣な言葉」という意味で、「PLANK」ならアホ、バカ、マヌケみたいな意味なんですが…。一体ナニを意味しているのか、ご存知の方がいらっしゃったら是非教えてください。


●中古ジャズレコードをお探しの方は、こちらもご覧ください。
『GOODチョイス!通販』 http://www.blue-p.co.jp/shop/59.html

イメージ 1

キャノンボール・アダレイ(CANNONBALLADDERLEY) の「フィドラー・オン・ザ・ルーフ」(FIDDLER ON THE ROOF) です。CAPITOLのオリジナル盤、ステレオ仕様になります。レコード番号はST2216。

盤には若干のスレが見受けられますが、目立つようなキズはなく、再生に影響のあるダメージはそれほど見当たりません。一部プッツンを感じますが、概ね快適に再生できます。ジャケットも概ね良好な程度を維持しており、小口部分に少しヤケが認められるくらいで、スレやヌケや割れはありません。まずは良質な中古盤です。

パーソネルは、アルト・サックスにキャノンボール・アダレイ、トランペットとコルネットに弟のナット・アダレイ、テナー・サックスとフルートにチャールズ・ロイド、ピアノにジョー・ザヴィヌル、ベースにサム・ジョーンズ、ドラムスにルイス・ヘイズで、「IN NEW YORK」のメンバーからユゼフ・ラティーフが抜け、代わりにチャールズ・ロイドが加わったという構成になります。

このレコードは1964年にニューヨーク(!)のキャピトル・スタジオで録音されたもので、録音年月日の前後はあるものの、CAPITOLへ移籍してからセクステットとしての初アルバムになるようです。

収録曲は、A面に「Fiddler On The Roof」、「To Life」、「Sabbath Prayer」、「Chavalah」の4曲、B面に「Sewing Machine」、「Now I Have Everything」、「Do You Love Me」、「Matchmaker」の4曲、計8曲です。

アルバム・タイトルの「Fiddler on the roof」とは、すなわち邦訳「屋根の上のヴァイオリン弾き」ということで、演奏曲は件のミュージカルに題材を求めたものになります。大体、このミュージカルのブロードウェイ初演が1964年とされていますから、その同じ年に録音しているわけで、「My Fair Lady」の前例があるとは言え、中々流行に敏感なCAPITOLの姿勢が窺えますな、良きにつけ悪しきにつけ。

題材がミュージカルなんですが、そこはキャノンボール、決してオリジナルらしきアレンジがミエミエの演奏にはなっていません。はっきり言って、毎度おなじみイケイケ路線で行きたくてしようがないといった趣きを感じさせてくれる好演です。つまりは抑えようとしても抑えきれない血が騒ぐんですね、この方は。

何でも、この録音前にはフィラデルフィアへツアーに出ており、ツアー中に幾らかリハーサルしたのみでこの録音に臨んだといいますから、そんな極端に原曲のアレンジなんぞを尊重した演奏ができるはずもありません。と言うか、そうでなくて良かったんじゃないすかね、結果としては。

1964年にテナー・サックスがユゼフ・ラティーフからチャールズ・ロイドに交代しましたので、例のアジアン・フレーヴァー(抹香くさいともいいます)は姿を消し、モダン調に変化した時期に相当します。このアルバムでもロイドのフルートがフューチュアされていますが、ちょいと吹きだしそうな印象を覚えるのは私だけでしょうか…。おもろいでっせ。

しかし、ジョー・ザヴィヌルは相変わらず好調なようで、欧州人とは思えないファンクさを現していますし、ベースのサム・ジョーンズも図太い音でビンビン迫ります。

キャノンボールなんですが、渾名というか通称というか芸名なのは、よくご存知でしょうが、本名は「ジュリアン」ですから笑わせますね。しかしあの巨体に「ジュリアン」が似合わないのは当ったり前で、芸名にしといてよかったね。

ジャズに興味をもちだした頃に、何処かの雑誌でこんな文章を目にしました。「ブルーノートのキャノンボールのサムシンエルスのマイルスのオータム・リーブスは傑作だ」、普通の人が普通の知識でこんな文章を初見で理解できるわけがない。「青い冊子の砲弾の何かのマイルス…」にしかならんよね。
とまあ、いろいろ話題に事欠かないキャノンボールではありました。


●中古ジャズレコードをお探しの方は、こちらもご覧ください。
『GOODチョイス!通販』 http://www.blue-p.co.jp/shop/59.html

イメージ 1

エロル・ガーナー(EROLL GARNER)の「コンサート・バイ・ザ・シー」(CONCERT BY THESEA)です。COLUMBIAのオリジナル盤、6EYESになります。ちょいとジャケットの異なった種類も出回っていますが、これがオリジナルの写真です。レコード番号は、CL883。

盤には割りとスレキズが見受けられ、目立つほどのキズはありません。しかしクリーニングは施しましたが、案外にダストかなと思われるノイズが聴き取れ、こういうノイズに神経質な方にはお薦めしません。音質自体は50年前の録音とは思えないほど、立派な再生が可能だと思うのですが、この辺は個人差があるということでご容赦ください。モノラル・カートリッジの使用をお薦めします。

ジャケットは、結構良好な程度を維持しています。経年によるヤケが少々感じられますが、目立つようなスレはなく、底抜けや割れもありません。このジャケットがオリジナルで、最近目にするCDなんぞでの写真は全く別物です。

パーソネルは、ピアノにエロル・ガーナー、ベースにエディ・カルホーン、ドラムスにデンジル・ベストというトリオです。◆収録曲は、A面に「I'llRemember April」、「Teach Me Tonight」、「Mambo Carmel」、「Autumn Leaves」、「It's All Right With Me」の5曲、B面に「Red Top」、「April In Paris」、「They Can't Take That Away From Me」、「How Could You Do A Thing Like That To Me」、「Where Or When」、「Erroll's Theme」の6曲、計11曲です。

このレコードは1955年にカリフォルニアのカーメルで録音されたライブ盤です。演奏会場が教会だったとかで、ライブにしては当時では相当優秀な録音だろうと思います。快調な演奏を楽しめる1枚で、エロル・ガーナーはこういう雰囲気でますますノッテいくエンタの一人なんでしょうね。そこいらで「ウーアー」と唸っていますから、よほどご機嫌だったんでしょう。どこかで聴いたようなフレーズを始めとして、どんどん湧き出るフレーズは正に彼の真骨頂で、エキサイト振りを如実に感じさせてくれます。

エディ・カルホーン(キャルホーン?)という人は他でも聞いたことがないのですが、その昔には「ヘイスタック・カルホーン」というプロレスラーがいました。「人間空母」とかいう異名で、オーバーオールを着込んだ風体で、力道山や馬場と対決していたのを思い出します。得意技は「フライング・ソーセージ」とか「ヒップ・ドロップ」だそうで、要は倒れた相手にそのまんま体で圧し掛かるとか、相手の上からお尻で潰そうとする圧迫技なのでした。

体重は280kgほどあったそうですから、ハーレー・ダヴィッドソンが体の上にこけてきたようなものですね。そりゃ大変だったでしょう。体重300kgのハッピー・ハンフリーとの対決は伝説だそうで…。で、件のベーシストのエディ・カルホーンについての詳細は不明です。なんのこっちゃ。

閑話休題。いずれにしてもガーナーのレコードでは、このアルバムは横綱級に位置するもので、これ1枚で事足りるとされる向きも多いようです。ガーナーのプレイが好きになれば、逆にこれは入門用でもあります。この後は「MISTY」や「MOST HAPPY PIANO」辺りでお楽しみください。


●中古ジャズレコードをお探しの方は、こちらもご覧ください。
『GOODチョイス!通販』 http://www.blue-p.co.jp/shop/59.html

イメージ 1

ラムゼイ・ルイス(RAMSEY LEWIS)の「ジ・イン・クラウド」(THE IN CROWD)です。ARGOのオリジナル盤、ステレオ仕様です。レコード番号はLP−757。

盤には、若干のスレキズはありますが、目立つようなキズはありません。年代からすれば良好な程度かと思います。大体快調に再生できる程度です。
ジャケットには割り合いにスレが見受けられ、裏面は角から一部剥れが認められます。ヌケや割れはありません。

パーソネルはピアノにラムゼイ・ルイス、ベースとチェロにエルディー・ヤング、ドラムスにレッド・ホルトの、おなじみシカゴ三人衆です。ジャケット裏面に3人の写真が載っていますが、いやあ若いですね。ジョージ・ベンソンじゃないですが、ラムゼイ・ルイスも後年になっても老醜を知らず、若い頃と似たような雰囲気を維持していた稀有な例です。努力のほどが窺えますな。

このレコードは、別に殊更の説明も必要ないような有名盤で、1965年に録音され、その年だったか翌年だったかにグラミー賞を受賞しています。このアルバムの直後にリリースされたのが同時に出品している「HANG ON RAMSEY」になります。これもいいレコードです。

しかし、日本語発音でタイトルを聞いたら「寺院・蔵人」じゃないですかね。何だか有りそうなフレーズでしょ? 昔の寺院に蔵人が居たのかどうかは知りませんが(私は世界史選択者)、居たのかもしれないなと思わせるのが思わせぶりな傑作タイトルでした。

この頃のラムゼイ・ルイス・トリオは正に全国的ブレイク時だったんでしょうね。聴衆と一体となった熱気がビシバシと伝わってきます。シカゴではなくワシントンでのライブ盤でこれだけの声援ですから、ほかの土地でも推して知るべしでしょう。

収録曲は、A面に「The In Crowd」、「Since I Fell For You」、「Tennessee Waltz」、「You Been Talkin' 'bout Me Baby」の4曲、B面に「Spartacus」、「Felicidade」、「Come Sunday」の3曲、計7曲です。

聴けばその場でピタリと当たる「ライブ盤なんや、これ」という典型的なアルバムでして、注意力のある方なら、ジャケットの下の方に「RECORDED LIVE AT THE BOHEMIAN CAVERNS / WASHINGTON, D.C.」 とありますから、聴かずとも実は分かります。ボヘミアンの巣窟とか訳せる「BOHEMIAN CAVERNS」、要するに何処かの(ってワシントンD.C.ですが)レストランかクラブかにおけるライブなんですな、これが。

ジャケットの写真がその店だとすれば、いかにも「高級」を絵に描いたような風情なんですが、これはきっと違うでしょう。店頭にたむろする群集のショットを何処かから拝借しただけのように思います。車種は分かりませんが、こんな高級車が出入りするような場所に当時のラムゼイ・ルイスが出演したとは思えません(失礼!)。

それはさて置いて、1曲目がタイトル曲の「ジ・イン・クラウド」なんですが、文字通り群衆の真っ只中という雰囲気が噴出してまして、とにかく賑やかな周囲を露骨に感じさせます。で、演奏の方もノリノリで、拍手や手拍子なんぞも聞かれて、何ともアメリカ的エンタを満喫させてくれます。

エルディー・ヤングも曲の途中でスラム・スチュアートを真似た「ウィーン、ベンベン」一人二役攻撃をかましますし、それに呼応している聴衆の様子も結構リアルに分かります。終わりそうで終わらないエンディングの聴かせ方も、聴衆を見つつウケを狙っているという軽薄さ(周到さ)が感じられて微笑を誘います。こういう楽しいのはアメリカで流行るエンタですよね。

ところで、アルバム・タイトルは「THE IN CROWD」で、裏面の曲目紹介にある1曲目のクレジットは「THE 'IN' CROWD」なんですが、気付かれてました? 「’’」が付くと「流行の群集」みたいな意味になるはずで、ちょいと変化してるようですが残念ながら真相は不明でした。

ラムゼイ・ルイスは、ちっちゃな頃から悪ガキで〜というチェッカーズの歌じゃなくて、ちっちゃな頃からクラシックをまともに学習していた学究派だとの説がありまして、ホントらしいのですが演奏を聴く限りでは信じられません。きっとクラシックを勉強したものの肌に合わず、シカゴニアンの血が騒いだんでしょうね。体に染み付いたブルース・フィーリングを抑えきれず「オラは、これでいくだ」と決心したであろうことが窺えます。

それ以来、どっちかというと硬派ジャズ・ファンからは「真っ黒けだけれど、正味下品なノータリン・ピアニスト」とバカにされた人なるんですが、そう断じるのはあまりにも偏狭に過ぎるんじゃないでしょうか。

最近、とある本で、かのT島氏とかいうお方がこのアルバムをお取り上げになり「昔は純粋ジャズ・ファンを標榜していたのでバカにしていたが、最近聴き直したら強靭なブルースに出会えたので、嬉しい再発見…云々」みたいなことを書かれていましたが、単に昔は純粋で狭隘な精神しかお持ちじゃなかったということじゃないですかね。まあ、年中無休で宗旨替えみたいですから、こういう文章が横行しても今更驚きもしませんが、お里を知れて楽しませてくれます。

閑話休題。2曲目はガラッと変わってバラード(T島氏言うところの強力バラード)です。「俺っち、ノリノリだけじゃないもんね」とでも言いたげなムードで進行しまして、凡百のケーハク野郎ではないところを示そうと足掻きます。中間を過ぎた頃からやっぱり我慢できなくなって、根っからの気質を表してくれるのも可愛げがあっていいですね。おそらくはここでも聴衆の反応を横目で睨みながら演奏していたはずで、ウケ狙いの芸人根性が天晴れなんで、座布団1枚進呈しましょう。この曲におけるヤングのベースが中々にエゲツナイ音で迫ります。ゴーン、ゴーンと有名な日産の会長じゃなくて、そう言うが如き音を奏でています。スピーカーが壊れたわけではありませんので、ご心配なく。

3曲目ではヤングがチェロをギターの如くかき鳴らし、ビェーン、ビェン、ベンとあたかも琵琶法師です。演奏と一緒に歌ったり吠えたりし、これも聴衆のウケ狙い路線で、芸人魂炸裂です。でも、楽しくていい気分になるから許しましょう。これが許せないと聴く気が失せてバカにせざるを得なくなります。ああ、可哀相に…。

4曲目は、正に面目躍如たる真っ黒けサウンドです。ブラックそのまんまなんですが、変に暗さを感じる陰鬱な雰囲気にはならず、ノリノリに終始します。皆さん聴衆を喜ばす術を心得たエンタさんに違いありません、イェーイ…ということで。

長くなりましたが、もう1曲だけご紹介すると、B面冒頭の「スパルタカス」。これなんぞは、映画の「愛のテーマ」だそうで、随分落ち着いた出だしで何か違うものを予感させといて、いつの間にかおなじみのファンキー・コテコテ・プレイに転じていき、また最後だけシミジミ路線に戻るという常套手段で、これも笑わせてくれます。生来の根性は中々変えられないもんじゃと、またしても実感させられます。表題曲もいいんですが、こっちも聴きものですから、決してA面だけで終わらないようにされた方が賢明です。曲名のまま「スパルタはカス」とでも言わずにおられません。いや、お粗末。

ということで、純粋ジャズ・ファン(何なんだよ、このフレーズは?)からはケーハクの一語でバカにされる性を背負ったアルバムですが、実は非常に楽しめる好盤だったのでした。長々と綴った背景には、私が結構好きなことの表れでして、何卒ご容赦願います。

今風のイケイケ姉ちゃんにジャズを聴かせて手懐ける場合には、このアルバム辺りが向いているかもしれません。間違っても陰鬱情念アルバムを持っていかないように気を付けましょう。

いずれにしても、聴衆の熱気とともに非常に楽しめる演奏で、「HANG ON RAMSEY」と一緒に楽しむのも粋でござんした。そこが狙い目なんだと勝手に解釈しています。


●中古ジャズレコードをお探しの方は、こちらもご覧ください。
『GOODチョイス!通販』 http://www.blue-p.co.jp/shop/59.html


.
BLUEのと
BLUEのと
女性 / O型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

ブログバナー

検索 検索
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

CMで話題のふるさと納税サイトさとふる
毎日お礼品ランキング更新中!
2019年のふるさと納税は≪12/31まで≫

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事