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デイヴ・ブルーベック(DAVE BRUBECK)の「エンジェル・アイズ」(ANGEL EYES)です。COLUMBIAのオリジナル盤、モノラル仕様になります。「guaranteed high fidelity」ラベルですので多分オリジナルでしょう。レコード番号はCL2348。
盤にはスレキズが見受けられますが、再生にはそれほど問題はありません。ただ、若干盤がそっています。針飛びを起こすようなひどいものではなく、当方の再生装置では普通に再生できました。ジャケットには、若干のスレとヤケがあり、エッジも少々のヤレがありますが、底抜けや割れはありません。まあまあ普通の中古盤程度かと思います。
パーソネルは、ピアノにデイヴ・ブルーベック、アルト・サックスにポール・デスモンド、ベースにユージーン・ライト、ドラムスにジョー・モレロというお馴染みのブルーベック・クァルテットです。収録曲は、A面に「Let's Get Away From It All」、「Violets For Your Furs」、「Angel Eyes」の3曲、B面に「Will You Still Be Mine?」、「Everything Happens To Me」、「Little Man With A Candy Cigar」、「The Night We Called It A Day」の4曲、計7曲です。
このアルバムは、1962年と1965年に録音されたもので、いわゆる美女ジャケの一つとしても有名です。「DAVE DIGS DISNEY」がヒットしたことを受けて、2匹目のドジョウを狙いつつ作曲家別のソングブックなるものを、この頃のブルーベックはリリースしていました。これもそのうちの一つで、マット・デニスの作品集になります。他にはコール・ポーターとリチャード・ロジャースの作品集がそれぞれ「ANYTHING GOES」、「MY FAVORITE THINGS」として発売されていましたね。
B面の「Little Man With a Candy Cigar」を除いた他の曲は、マット・デニス自身が「PLAYS AND SINGS」で自作自演を達成していますので、これと聴き比べるのも一興ですか。原盤のライナー・ノートはマット・デニスが書いていますので(サイン入り)、お読みいただくことをお薦めします。私は英語が苦手ですので、内容に関してはよく分かりません、あしからず。
冒頭の「Let's Get Away From It All」はアップテンポで結構グイグイ迫ります。デスモンドのプレイが中々にスリリングで楽しめます。オマケに(?)ブルーベックもスィングしてますよ。スィングしないピアニストと評したのは誰だったんでしょうね。
2曲目の「Violets For Your Furs」は、邦題「コートにすみれを」でして、最初にこの邦題を見たとき、テニス・コートにすみれを飾るんかいなと思いましたが、実は羽織るほうのコートでした。しかも「furs」だから毛皮ですね。動物愛護団体からのクレームはこの頃なかったようで…。出だしからブルーベックが頑張ります。こういう構成はブルーベックの得意とするところかなと思います。
3曲目の「Angel Eyes」なんぞは、原曲からして名曲で、ここでの構成も先のと同じようで、解釈はデスモンドを含めて最高じゃないでしょうか? ヘタにブリブリ・スィングするよりも好感が持て、何でもかんでもノリノリがよいわけではないことの証明ですな。デスモンドの音色が実に雰囲気を醸し出してくれます。ああウレシイ、何を隠そう結構デスモンドが好きな私でした。
で、B面の1曲目ですが、これも快速調の「Will You Still Be Mine?」でして、何故かレッド・ガーランドの「GROOVY」を思い出しました。冒頭からデスモンドが吹いてますから全然違うんですが、ピアノ・トリオでの名演がガーランドのそれですから、真っ黒けと比べるのも興趣をそそりますよ。ブルーベックのスウィングも実にお楽しみです。
2曲目の「Everything Happens To Me」は、まあまあそれなりのプレイ。途中のブルーベックは彼ならではの変態性を垣間見せてくれます。これぞスウィングせずに袋小路に入った彼の一例のようです。
3曲目は「Little Man With A Candy Cigar」でして、ちっこいオッサンがシガー・チョコでも咥えているんでしょうかね。何ともケッタイな曲名です。ジョー・スタッフォードが歌っていたレコードがありましたけど、詳細は忘れました。メロディは、らしい雰囲気があってデニスっぽいとは思えます。ごく当ったり前の展開が安心理論なんでしょう。
最後の「The Night We Called It a Day」も、タイトル曲に劣らず原曲からしていいですね。まずはデスモンドのテーマ演奏からスタートし、軽々とアドリブする秀逸さを見せつけ、難解なフレーズは要らないよっと身をもって教えてます。それに比してブルーベックはちょいと泥沼に入ってますが、この辺の対比がブルーベック・クァルテットの真髄だということで、理解しましょう。最後の終わり方はちょっぴり欲求不満が残りそうな感じ。それがいいのだ、という声も聞こえそうですが、演出過多が滑ってるような気もしないではありません。
時期的に、フリー・ジャズが台頭してきた頃で、COLUMBIAも何をどうすべきか迷っていたのかもしれません。見ようによっては安易な制作姿勢が批判されそうな企画ものですが、それを補って余りある好盤に仕立てたのは、ハードなブルーベックとソフトなデスモンド、そして名手ジョー・モレロの蓋し音楽性です。全然バカバカしくないのが見事でした。プロデュースが、あのテオ・マセロでっせ。
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