|
■ 頑固オヤジのレコード評 ■ 盤には目立つキズもなく、ほぼ新品同様かと思います。聞かれた形跡がほとんどなく、プチパチ・ノイズなども感じられません。 ジャケットは、天に若干の当たり跡が見受けられますがヌケや割れはありません。どうもデッドストックだったようで、小口に少しのヤケが認められる程度で、その他は良好です。 ●この商品は 『GOODチョイス!通販』をご覧ください(2009.02.15現在)●『GOODチョイス!通販』はこちら⇒http://www.blue-p.co.jp/shop/87_583.htmlパーソネルは、テナー・サックスにワーデル・グレイ、トランペットにアート・ファーマー、ピアノにハンプトン・ホーズ、ベースにジョー・モンドラゴン、ドラムスにシェリー・マンで、中々に興味深いメンバーでの演奏です。一説によるとギターも加わっていたそうですが、よく聴こえませんし、LPのクレジットにも記載はありませんので、クインテットということにしておきます。 収録曲は、A面に「The Squirrel」、「Taking A Chance On Love」、「Jackie」の3曲、B面に「Donna Lee」、「Pennies From Heaven」、「Get Happy」、「Bernie's Tune」の4曲、計7曲です。録音は1952年9月9日です。 さて、A面の1曲目はタッド・ダメロンの「The Squirrel」です。普通に訳すと「リス」ですね、あの駆け巡る「リス」です。「かけめぐる青春」じゃないでしょうが、すばしっこい「リス」をタイトルにした割りには適度なテンポでプレイしてます。「かけめぐる青春」が分かる方は、ビューティーな中々の中年か女子プロファンですねっ! 彼女らは今どうしているんでしょう?「あの人は今」に出てほしいものです。演奏の方は極めて普通に進行します、って手抜きかいな。 2曲目が「Taking A Chance On Love」、アート・ファーマーがいませんね、トイレにでも行ったのでしょうか。あるいは曲のタイトル通り、チャンスを見つけて走り出したんでしょうか? ホーズの、ぎこちないようでいて落っこちる寸前で器用に踏み止まっているソロが堪りません。もしかしたらホーズもトイレに行きたかったのか、ファーマーに抜け駆けされて悔しかったんですかね。グレイは我関せずのマイペース・プレイで終始してますから、流石でした。 A面最後は「Jackie」、初っ端から何だか低音で迫りますので、違う楽器を吹いているように聴こえます。ハンプトン・ホーズ作のブルース・ナンバーです。「Jackie」って誰のことでしょうね? まさかジャッキー・マクリーンじゃないでしょうし、ジャクリーン・ケネディも未だ出て来てないでしょうし、きっとホーズのGFか何かでしょうね。グレイのソロがスムーズに進んで、乗ってきたところでアート・ファーマー登場。後年のソフト・トーンとはちょいと違った、ややズッコケながらのソロが続きます。ほんで、ホーズがまたもやの危なげな展開です、GFでも思い出していたようですね。「これが済んだら、あの子とデート!」ってなもんで…。と思ったら、そのまま終わっていました。 B面の1曲目が、ご存知「Donna Lee」です。パーカーに負けず劣らずの急速調で始まります。相変わらずのスムーズなソロで、もう少しエグさがあってもいいかも。ですがレスター直系のようなアドリブの展開に代え難いものがあるのも事実です。続くファーマーもブラウンほどではないにしても、当時のマイルスよりは些か流麗じゃないでしょうか。ホーズも速いテンポに頑張って合わせて、パウエル風のフレーズも交えつつ快演でした。と、曲に敬意を表してまともなご紹介。 2曲目は「Pennies From Heaven」、ミュージカルに挿入されていた曲だそうで、いかにも気持ちよいテンポで進みます。「空からお金が降ってくる」という脳天気な曲でして、傘を逆さに差してたらお金が溜まるそうで、この不況のご時世にそんな傘があるなら欲しいですね。演奏ですが、最も妥当で最適な調子かなと思います。熱気バリバリでもなく、クールでもない中庸さが心地よくノッテて、うーんワンダフル。ちょっと冗長かなと思わないでもないですが、快適だから許しましょう。またファーマーがいませんね。今度はトイレじゃなくて何でしょう? グラス片手に口説いてんじゃないだろうな。 3曲目が「Get Happy」です。今度はファーマーもいます。上手く口説けて「ゲット・ハッピー」ってか? 前曲よりはやや速めで、淀みないグレイのソロが洒脱で、ファーマーもソフト・メロメロではないソロで応戦しています。続くホーズもメリハリの効いたソロで盛り上げています。ほんの少しだけ珍しくマンがソロっぽく叩いています。といいことばかりのようですが、相変わらずベースは堅実バッキングに徹していて、あんまり面白くないぞ。誰だったっけベースは? そうそう「縄文ドラゴン」ですね。縄文時代に竜がいたのかどうかは知りませんが、今回は目立たない存在でした。しかしファーマーの吹っ切れたようなプレイはどうでしょう? 休憩してる間にナニかあったんかい、おい。 最後の曲が「Bernie's Tune」、バーニー・ミラーが1940年頃に書いたリフ・ナンバーです。この出だしを聴くだけでノッテしまうのは、ジャズ聴きの性でしょうか。そのくらいよく採り上げられた曲ですね。この曲でふと思い出すのが、ソニー・スティットとアート・ペッパーが共演したアルバム「Groovin' High」です。日本企画のアルバムだったんですが、スティットとペッパーの共演はこのときだけで、両者のバトルを満喫できる楽しいアルバムでした。ご興味のある方はCDでも出てるようですので、お試しあれ(内緒ですが、私はスティットの隠れファンです)。 閑話休題。ライナーによりますと、このギグのほんの1ヶ月ほど前(8月16日)にジェリー・マリガンがチェット・ベイカーとこの曲をプレイしており、「The Genius Of Gerry Mulligan」に収録されています。まさかそのときのプレイを聴いていたわけではないんでしょうが、結構意識したような演奏になっているのが笑えます。つまりマリガン・ベイカーのは所謂ピアノレス・クァルテットで一種独特な響きを醸し出しますが、この当時はゲテモノ扱いされていたはずです。グレイらは対照的に普通のクインテットでプレイし、「こっちの方が正統だもんね」的な展開をしてくれるのが笑かしよるのです、今となっては。最後の方でマンとの小節交換が聴けます。 ワーデル・グレイには、デクスター・ゴードンとのバトルで有名な「The Chase And The Steeplechase」というレコードがあり、「The Chase」は1952年2月2日にパサデナで収録されたライブ盤です。この「Live In Hollywood」は同年9月9日にウィルシャー・ブールバードの「Haig Club」で収録されていますから、「The Chase」から7ヵ月後の演奏です。 この後はゴードンとタッグを組むこともなく、1953年以降はウェスト・コースト・ジャズの隆盛から演奏機会がほとんど無くなっているようです。で、1955年に事故死していますから、このレコードは案外に貴重なものかもしれません。ただし、録音の程度はそれなりですので、ご承知おきください。 当時の「Haig」で、「Haig Unit」とも呼べる存在が、このホーズのピアノ・トリオです。まったく同じ日、1952年9月9日に録音されたトリオでのレコードも、XANADUから世に出ていました。ホーズもこの翌年の夏から兵役で2年間ほどブランクがありますから、1952年の録音は押さえておきたいところかもしれません。 |

- >
- エンターテインメント
- >
- 音楽
- >
- 音楽レビュー



