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ジェリー・マリガン、スタン・ゲッツ(GERRY MULLIGAN , STAN GETZ)の「ジェリー・マリガン・ミーツ・スタン・ゲッツ」(GERRY MULLIGAN MEETS STAN GETZ)です。VERVEの再発でのオリジナル盤、モノラル仕様になります。レコード番号は、V−8535。
盤は、キズもなくほぼ良好で、もちろん快適に再生できます。ジャケットには、ややスレが見受けられ、ビニール・コーティングが小口からほんの少し剥れ気味になっています。ヌケや割れはなく、全体的には上の部類かと思います。
パーソネルは、テナー・サックスとバリトン・サックスにジェリー・マリガンとスタン・ゲッツ、ピアノにルー・レヴィー、ベースにレイ・ブラウン、ドラムスにスタン・リーヴィーという2サックスのクインテット構成です。
このレコードは、1958年頃に録音・リリースされたものの焼き直しで、1963年にMGM−VERVEからリリースされたモノラル仕様になります。元々はMGV−8249の「Getz Meets Mulligan In Hi-Fi」で、途中でMGVS−6003の「Gerry Mulligan Meets Stan Getz In Hi-Fi」になり、そして本アルバム「Gerry Mulligan Meets Stan Getz」と変遷した経緯でした。ここまで適当に変化させられると、グランツのやりそうなこととは言え、何が何だか分からなくなりますね。
しかし、最初はゲッツの名前が先頭にきていたのに、後ではマリガンが優先されています。何だか曰くありげに思いませんか?このアルバムでは、パーソネルの項に書きましたように、二人でテナーとバリトンを持ち替えています。A面ではゲッツがバリトン、マリガンがテナー、B面でゲッツがテナー、マリガンがバリトンになります。要するにB面が普段通りの楽器で、A面はお互いに楽器を入れ替えたことになるのです。で、結果はどうだったか…。
誰の発案かは分かりませんが、おそらくはこんな感じだったかなと想像します。「マリガン君、ここは一つグランツさんの手前もあるから、お互いの楽器を交換して演奏してみないか?」、ゲッツがインテリ風に見える華奢で鼻持ちならないマリガンに提案します。「それはいいですね、きっと面白いものになりますよ」とマリガン。ゲッツの狡猾な企みなど、こっから先も気にしていないマリガンが二つ返事でOKします。
さて1曲演奏して、ゲッツの思いはガラガラと崩れてしまいました。自信たっぷりだったはずのゲッツがバリトンを持て余したというのが事実でしょう。アドリブの達人、ゲッツをもってしてもバリトンは思いのほか往生する楽器だったわけです。
A面を聴いていますと、マリガンはテナーを持っても普段通りの出来で極めてスムーズな演奏を聴かせます。それに比してゲッツのバリトンは、フガフガ言ってるのが聴き取れるほど荷が重そうです。音色も意識してるのかしてないのか少々濁り気味で、決して快心の出来ではないでしょう。
この後、ゲッツがバリトンを吹いたという話しは聞きませんから、よっぽど堪えたんでしょうね。バリトンは難しいそうで、この楽器をスムーズに吹き鳴らすマリガンは、やっぱり凡人では及びもつかない存在だったんですね。
まあ、B面になると、それぞれの楽器を元に戻していますから、流石のゲッツを楽しめます。正に淀むことを知らないソロでゲッツが飛ばしまくります。A面の仇討ちをB面で…というところでしょうか。
その他のメンツですが、ベースのレイ・ブラウンだけが黒人で、後は白人のオンパレード。さぞかし肩身の狭い思いをしたかと思いきや、相変わらずの絶妙サポートを披露しています。既に名手の域に達していたレイ・ブラウンは振られることもなく、マイペースでござんした。
ピアノのルー・レヴィーはウェストきっての名手だそうで、一時はエラやペギー・リーの伴奏もしていたそうです。 ドラムスのスタン・リーヴィーは白いマックス・ローチとでも呼ぶべき存在で、やや控え目ながら聴き応えがあります。歯切れのよいショットを効かせてくれ、彼もエラやペギー・リーの伴奏をしていました。何かの因縁ですかね…。
元来のステレオ盤は、サックスがRチャンネルに押し込まれ、リズムがLチャンネルから聴こえるという普通では有り得ないステレオ録音だったそうですが、このアルバムは普通のモノラル仕様ですから、そういう違和感はありません。お陰で快適に楽しめる好盤です。
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