|
ソニー・スティット(SONNY STITT)の「ソニー・スティット・プレイズ」(SONNY STITT PLAYS)、ROOSTのオリジナル盤になります。もちろんモノラルです。レコード番号は、LP2208。
盤には結構なスレキズが見受けられますが、モノラル・カートリッジで聴く分にはそれほど気にはなりません。何せ古いものですから、それなりのプチパチはあります。しかし音自体は粒立ちがよく、溌剌なアルトが楽しめます(と思います)。正に50年前の録音なんですが、ピアノもギターも立派に鮮明な再生が可能です。
余談ながら、ROOSTはこの数年後にROULETTEに買収されて、後年は例の目の回りそうなルーレット・レーベルになってしまいますが、このオリジナルでは嬉しい青レーベルです。こっちの方がやっぱり落ち着きますね。
ジャケットは、残念ながら天がほとんど割れており、若干のヤケとスレも見受けられます。遠目には普通に見える程度とご理解ください。また、敢えて割れの補修はしませんので、ご購入者様のご判断で補修していただければ幸いです。
パーソネルは、アルト・サックスにソニー・スティット、ピアノにハンク・ジョーンズ、ギターにフレディ・グリーン、ベースにウェンデル・マーシャル、ドラムスにシャドウ・ウィルソンというメンバーで、フレディ・グリーンはA面のみに参加しています。
このレコードは1956年の9月に録音されたもので、ROOSTでは、あの有名な「From The Pen Of Quincy Jones」の次にリリースされました。この後が「With The New Yorkers」になりますが、メンバーは本アルバムとほとんど一緒で、フレディ・グリーンが入っている分、こっちの方がエラそうです。
収録曲は、A面に「There'll Never Be Another You」、「The Nearness Of You」、「Biscuit Mix」、「Yesterdays」の4曲、B面に「Afterwards」、「If I Should Lose You」、「Blues For Bobby」、「My Melancholy Baby」の4曲、計8曲になります。このうちあまり聞いたことのない3曲「Biscuit Mix」、「Afterwards」、「Blues For Bobby」がスティットのオリジナルになります。「Blues For Bobby」のボビーって誰か気になるところですが、案外ボビー・ティモンズかなと思います。この翌年の「Personal Appearance」で珍しくもボビー・ティモンズと共演してますからね。
このレコードは1956年の9月に録音されたもので、ROOSTでは、あの有名な「From The Pen Of Quincy Jones」の次にリリースされました。この後が「With The New Yorkers」になりますが、メンバーは本アルバムとほとんど一緒で、フレディ・グリーンが入っている分、こっちの方がエラそうです。
ソニー・スティットといえば、若い頃にあまりにもパーカーに似ていると言われて拗ねたのか、パーカーが亡くなるまでテナーを吹いていた、いわゆる「スティット、暫くアルトを止めてテナーにする事件」で有名ですが、このアルバムはパーカーの死後に吹き込まれていますので、「俺っち、やっぱりアルトだもんね」とでも言うがごとく、屈託なしのブリブリ・プレイが聴けます。「Pen Of Quincy」のプレイどころではありません。拘束なしのワン・ホーンが大変よく似合う名手なのでした。
恥ずかしながら、私は学生の頃からスティットのファンでして、最初に聴いたレコードはATLANTICの「Stitt Plays Bird」だったと記憶します。一時期はスティットのコンプリートを目指すという暴挙にも出ましたが、あまりの多さに呆れたのと、スティットはもしかしたらマンネリかもしれないという邪念に捕われて諦めました。
大体、生涯を通じて劇的な変化をしなかったスティットですから、「何を聴いても同じだよーん」という人も居られるのですが、実は偉大なるマンネリをちょいと超えたところに彼は居たんだろうと私は思います。80年代に来日したときは是非聴きに行きたかったのですが、こき使われる会社に勤めていたもので機会を逃してしまい、そのままスティットは死んでしまいました。当時は結構後悔したものです。
パーソネルを眺めていると、ハンク・ジョーンズ以外はすべて故人になってます。と言うか、ハンク・ジョーンズってまだ生存しているのです。1918年生まれだそうですから来年は90歳です。去年だったかに来日して演奏していたと言いますから、恐るべき生命力ですな。二人の弟も既に故人だというのに…。
この録音の数年後にはフリーになってスタジオ・ミュージシャンの嚆矢みたいになり、70年代中盤まで隠れて活動していたのが、結局は長生きの秘訣だったのかもしれません。このアルバムの録音時に、既に「おら、フリーでのんびりやるだ」と思っていたかどうかは不明です。ここでは最早端正ながら力感を感じさせるプレイで、出来上がっているタッチを聴かせています。
A面にフレディ・グリーンが参加しているのがこのアルバムの一つのキモではあります。生涯リズムしか刻まなかった彼ですが、彼の居ないC.B.が気の抜けたビールみたいになるのと同様、彼が入ると自然にスイングするから不思議です。A面を通じて鮮明に聴こえますから、グリーンのファンにも儲けものの1枚に違いありません。
ベーシストのウェンデル・マーシャルは、知らなかったんですがジミー・ブラントンの従兄弟で、かのブラントンから手ほどきを受けたそうです。50年代にエリントン楽団で有名でしたから、やはりここでも目立ちませんが、それなりのプレイを聴かせてくれます。ブラントンが夭折したのに比べて、彼は2002年まで生きながらえました。
ドラムスのシャドウ・ウィルソンは、何だか影武者みたいな名前ですが、この後、モンクやコルトレーンとファイヴ・スポットに出演して話題を呼んでいます。で、その後あっけなく死んでしまいました。生きていたらどうなっていたか、それは誰にも分かりません。
パーカー・トーンも垣間見え、溌剌プレイが身上のスティットですが、パーカーのような破滅型ではなかったが故に聴いていてどことなく安心感があり、癒しの面も感じさせてくれるから、やっぱり止められませんねえ。もう一度コンプリートを目指しましょうか…。
ところで、ジャケットの写真ですが、紫煙のたゆたう中にスティットが横アングルで写っています。見ようによってはネアンデルタール人にも見えないことはなく、このくらい強そうな顎でないとサックスを自由自在に吹きこなせないのかなと思わないではいられません。名アングルの1枚です。
スティットが好きなもので、長々と綴りましたが、持ってて損はない1枚です。ホントは手元に置いておきたかった1枚なのでした。このビッグ・ネームをオリジナル盤でいかがでしょうか?
●中古ジャズレコードをお探しの方は、こちらもご覧ください。
『GOODチョイス!通販』 http://www.blue-p.co.jp/shop/59.html
|