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ベヴァリー・ケニー(BEVERLY KENNEY)の「シングズ・ウィズ・ジミー・ジョーンズ・アンド・ザ・ベイシーアイツ」(SINGS WITH JIMMY JONES AND "THE BASIE-ITES" )です。ROOST原盤のスペイン:FRESHSOUNDによる復刻盤になります。レコード番号はLP2218。
盤にはほとんどキズもなく、全編快調に再生できます。
ジャケットも、若干のヤケとスレが認められますが、総じて良好で、ボール紙ではないもののビニールコーティングの施された綺麗なものです。
パーソネルは、ヴォーカルにベヴァリー・ケニー、ピアノにジミー・ジョーンズ、トランペットにジョー・ニューマン、テナー・サックスとフルートにフランク・ウェス、ギターにフレディ・グリーン、ベースにエディ・ジョーンズ、ドラムスにジョー・ジョーンズというメンバーで、タイトル通り、ジミー・ジョーンズ以外はベイシー・バンドから借りてきたような面子です。というよりそのまんまですか。
収録曲は、A面に「Nobody Else But ME」、「The More I See You」、「Old Buttermilk Sky」、「I Never Has Seen Snow」、「A Fine Romance」、「Who Cares What People Say」の6曲、B面に「Makin' Whoopee」、「The Charm Of You」、「Isn't This A Lovely Day」、「Mairzy Doats」、「My Kind Of Love」、「Can't Get Out Of This Mood」の6曲、計12曲です。聴き進めていると、あっという間に終わってしまいます。事実、収録時間は40分くらいなんですが、それよりも「エーッ、もう終わっちゃったの?」という名残惜しさの方が本音であります。
このレコードは、1956年に録音・リリースされたもので、もう50年以上前になるんですね。彼女は1932年生まれだそうですから、このときは23歳か24歳くらいです。大学出たての新入社員てなもんですか。ジャケットのお顔も可愛いような美形なような、ちょいとミステリアスな雰囲気ではあります。イアリングはしてますが、マニキュアを塗っておらず、小指でさえも短くカットされた爪が初々しいような印象ですね。まさかこの時代、作為的所業ではないでしょう。
ベヴァリー・ケニーは生涯で6枚のアルバムしか作っておらず、3枚はROOST、あと3枚はDACCAからのリリースになります。このアルバムはROOSTでの最後に相当し、有名なデビュー盤「SINGS FOR JOHNNY SMITH」はジョニー・スミス・クァルテットで、2枚目の「COME SWING WITH ME」はラルフ・バーンズ・オーケストラがバックを務めていますから、バッキングだけ見るとこのアルバムの面子が最も優秀な気がします。何せベイシー・メンバーで、フレディ・グリーンが入っているだけでも儲けものじゃありませんか? 結局、デビュー盤とDECCAでの最後の録音(すなわち生涯最後の録音)になる「LIKE YESTERDAY」が殊更評価される彼女ですが、私としてはこのアルバムも捨てがたく、一応強力にプッシュしておきましょうか。
彼女をご存知でない方のために少し説明しておきますと、彼女は1932年生まれで、没年月日は不明なんですが、最後のDECCA盤が1959年の録音ですから、おそらくは30歳前に亡くなっています。美人薄命を地で行ったような生涯ですが、亡くなったのは寝タバコが原因のホテル火災に巻き込まれての事故死だそうで、しかも日時や場所は全く不明のようで、一層ミステリアスに包まれた生涯です。案外どこかでひっそりと暮らしているのかもしれませんね。「あの人は今!?」に出演してほしいものです。
さて、20歳頃からプロ活動を始めたらしく、1955年(22、3歳)にはドーシー・オーケストラの専属歌手になったそうですが、4ヶ月で退団しています。彼女の歌唱が個性的なためドーシー楽団に合わなかったというのが通説ですが、果たして事実はそうなんでしょうか? トミー・ドーシー、ジミー・ドーシーの兄弟楽団をご存知でしょうか。奴らはどう見てもスケベ親父の集まりみたいに見えます。想像するに、親分も含めて楽団の連中が彼女を尻を追い掛け回したんじゃないでしょうか。どうしても彼女の贔屓をしておきたい私なんぞは、今で言うセクハラに遭ったため、早々に退団したんじゃないかと邪推しているのですが、皆さんはどう思われます?
そして、その後すぐにデビュー盤を吹き込んでいることになります。とにかく年齢もあるんでしょうが、月並みながらキュートな歌唱が心に響きます。世のオヤジさんの好みにピッタリで、近くで聴いた暁には脳溢血ないしは頓死状態をも招きそうな危険ヴォイスの一つです。と言ってロリータを売り物にしているわけではないので、例えばリサ・エクダールなんぞのアホたれヴォイスは彼女を聴いて反省する必要がありますな。すみません、私リサのCDを1枚持ってました。
彼女自身が語ったところによると、ビリー・ホリデイとスタン・ゲッツに影響を受けたそうですが、それはホントかな? そういう影響とはちょいと別のところにいるんじゃないかと勝手に解釈しておきます。
ちなみにご存知でしょうが、大変よく似た「ベヴァリー(べヴ)・ケリー」というお名前の歌手もいらっしゃいますので、くれぐれもお間違いなきよう。べヴ・ケリーさんはまだご存命中のようです。
生粋カマトト・ヴォイスとは一線を画した彼女の声と一流どころのバックを堪能するには、実はこのアルバム辺りが最適ではないでしょうか。今回は残念ながらオリジナル盤ではないですが、彼女の表情が最も素直に現れたジャケットだけでも買いかもしれません。
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