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ポール・デスモンド(PAUL DESMOND)の「テイク・テン」(TAKE TEN)です。RCAのオリジナル盤、ステレオ仕様になります。レコード番号は、LSP−2569。
盤にはややスレキズが見受けられますが、音にはほとんど影響ありません。40年以上前の録音でも立派に鮮明な再生が可能です。
ジャケットは、やや角当たりがありますが、スレやヤケはほとんどなく、ヌケや割れもありません。まず上々の程度かと思います。
パーソネルは、アルト・サックスにポール・デスモンド、ギターにジム・ホール、ベースにジーン・チェリコとジーン・ライト、ドラムスにコニー・ケイというピアノレス・クァルテットです。ジーン・ライトはタイトル曲のTake Ten」にのみ参加しています。
このレコードは1963年にニューヨークのウェブスター・ホールで録音され、リリースされたもので、ステレオ初期の商品ですからモノラル仕様もありましたが、この商品はステレオ仕様です。
ジャケットには「RCA VICTOR YNAGROOVE RECORDING」のクレジットがあり、新しい録音方式を誇示しています。各社いろいろな名称を付けて録音方式を謳っていた頃になりますね、中々優秀な録音だと思います。何せ「His Master's Voice」ですから悪いわけはありません、ニッパー犬も納得です。
収録曲は、A面に「Take Ten」、「El Prince」、「Alone Together」、「Embarcadero」の4曲、B面に「Theme From "Black Orpheus"」、「Nancy」、「Samba de Orfeu」、「The One I Love」の4曲、計8曲です。
デスモンドと言えば、デイヴ・ブルーベックとお神酒徳利でしたから、まず最初に思い出すのが例の名曲「Take Five」です。それをモジったのが本アルバムのタイトルであることは誰でも分かりますね。
デスモンド独特のアルト・トーンは正に唯一無二の存在なんですが、熱血ジャズファンからは「根性なし」とか「黒くない」とかいった誉め言葉をいただく格好の素材でもあります。彼は白人ですから黒くなくて当たり前、根性は確かになさそうな顔付きですけど、演奏は格好いいと思うのは私だけでしょうか?
このアルバムは、ブルーベック・クァルテットに在籍しつつ、RCAに吹き込んだピアノレス4部作と言われているものの第1作に当たるもので、その他には「Bossa Antigua」、「Easy Living」、「Glad To Be Unhappy」があります。どれも同じようなパーソネルで吹き込まれていますが、やっぱり最も有名なのは、本アルバムです。
ポール・デスモンドとジム・ホールは割りとよく共演してますが、実に合いますね。流石はポールとホールてなもんで…。既にジム・ホールはこの頃から頭髪が無いに近く、インテリ風のデスモンドもかなり頭髪の後退した様子が裏ジャケットに明らかです。「俺たちインテリだもんね、文句あっか?」といった風情が感じられて微笑ましくもあります。単なる禿げコンビとも言えなくはないですが…。
さて、アルバム・タイトル曲の「Take Ten」ですが、誰でも分かる曲名からも明らかに「Take Five」の2番せんじに他なりません。刻まれるリズムもほとんど同じ、曲のメロディも大体同じじゃないですか。
デスモンドのソロでは、どういうわけか抹香くさいアジアン・フレーズが出てきて笑かしてくれます。本家「Take Five」に比べて短い演奏ですから、まずは挨拶代わりの左ジャブといったところでしょうか。
2曲目の「El Prince」も名前がラテン調のわりにはデスモンドのオリジナルで、得意の(?)ボサノバ・リズムを用いたプレイで好きな人には堪りませんね。3曲目はお馴染みの「Alone Together」で、ジム・ホールには後年同名のアルバムがあったように記憶します。この曲が好きなんでしょうな。
4曲目の「Embarcadero」ですが、何と読むのでしょうか、「エンバカデーロ」ですかね? 真ん中にバカを挟んだ興味深い曲名です。これもデスモンドの作曲で、どうも彼はこういう言い回しが好きなんでしょう。作曲者としての資質にも頷かざるを得ない1曲かと思います。
B面にも、黒いオルフェのテーマとかスタンダードの「Nancy」とかが収録されていて、全く飽きさせません。見事な構成でまたもや脱帽です。最後の曲は「The Man I Love」ならぬ「The One I Love」で、一体ナニが好きだったのか教えてほしいところです。
全編を通じてコニー・ケイのドラム・ワークも聴きもので、MJQでお馴染みのチャカポコ・リズムが相性バッチリでした。どこかでシンバルを落としたらしいのですが、それは聴いてからのお楽しみということで…。 ブラシとスティックを持ち替える、よくある裏技も用いており好感が持てます。
ボサノヴァに加えて、普通の4ビートも披露してくれて、このアルバムは蓋し名盤なのでした。普段よく聴かない、箪笥の肥やし的名盤も世には沢山あれど、こういうよく聴くだろう盤こそが私的な隠れた名盤じゃなかったですか?
長々と綴ってしまい、申し訳ありません。実は恥ずかしながら私はポール・デスモンドが好きなのでした。こんなトーンのサックス奏者は絶対ほかにはいません。オンリー・ワンの名演が好きですねえ。ジム・ホール名義ですが、「Concerto」もよく聴く座右の盤だったのです。失礼!
イージー・リスニングという範疇では括りきれないジャズを、オリジナル盤でいかがでしょうか? 決して損はしませんよ…。
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