爺さんの時事放言

世の中の出来事をマスコミとは違った視点で語っていきます。

全体表示

[ リスト ]

 普天間基地の異説問題に関連して、自民党の石破氏が、先日の予算委員会では普天間基地に駐留している米海兵隊の抑止力を強調し、その後出演したテレビ番組では、軍事バランスが崩れると戦争が起きる、と発言していました。これに、わたしは強い違和感を覚えました。

 かれは、中国と日米との軍事バランスが崩れると戦争が起きることを理由に普天間基地、すなわち米海兵隊の沖縄駐留が必要であると発言しています。軍事力こそが戦争の抑止力であると言わんばかりです。
本当にそうなんでしょうか。
 なぜ、戦争が起きるか、中国の古典(孫子の兵法)に「戦争によって得るものと失うものを比較し、得るものが大きいとき、戦争が起きる」と示されています。軍事力のバランスという表現はありません。これが真実でしょう。

 戦争によって得るものと失いものとは、どのようなものなのでしょうか。中世ヨーロッパでの十字軍は、聖地をめぐるキリスト教とイスラム教の戦いです。宗教や宗派の違いによる戦争や紛争は、現在でも世界の各地で見られます。
 帝国主義全盛の時代では。国の経済を支える植民地の獲得をめぐって、数々の戦争が起きています。また、東西冷戦の時代は、ソ連を中心とする共産主義と、欧米を中心とする自由主義というイデオロギーが、ベトナム戦争などを引き起こしています。このような時代においては、軍事力のバランスが抑止力として機能していました。

 では、現代の世界情勢はどうでしょうか。強大な軍事力や経済力を持たない新興国や発展途上国の発言力が年々強くなっています。経済がグローバル化し、単純に領土を広めることが国を成長させるという論理は成立しません。
 また、国際的な文化・スポーツ・人などの交流が盛んになり、国益だけを追求した戦争を支持する人たちも少なくなりつつあります。このため、国民の支持を得ない戦争を引き起こせば、政府の存続自体が危うくなります。
 このように、戦争によって得るものと失うものが多様化し、あらゆる分野に及んでいます。言い換えれば、戦争によって失うものが、経済やイデオロギー、宗教といった単一的なものではなくなっているということです。したがって、戦争の抑止力とは、軍事力だけによって支えられているものではなく、政治・外交・経済・文化などさまざまな分野が総合的に機能し、働いていると考えるべきでしょう。

 普天間の米海兵隊の戦争抑止力に関しても、東西冷戦時代とは大きく異なっています。米海兵隊は、敵に占領され、あるいは敵の領土に、海上から進攻し、その攻撃の拠点を作るのことを使命とする部隊です。海軍に所属し、もっとも危険な任務を負っていますから、海軍の精兵によって編成されています。 
 このような海兵隊が、わが国の防衛に機能するのは、たとえば北海道や九州、あるいは周辺の島など日本の領土が他国によって占領された場合に限られます。
 たとえ、他国が日本にミサイルを発射したとしても、当該国の領土に進行することは、わが国の憲法によって禁止されています。したがって、もし北朝鮮と戦争になっても、米海兵隊の力を借りて相手国に侵攻できませんから、わが国が勝利することはできないでしょう。
 では、もし日本の領土が他国に占領されたならば、ただちに武力によって奪還しようとするでしょうか。まず、外交努力を行うのではないでしょうか。ならば、外交交渉の間に、米海兵隊を所定の場所に移動できますから、沖縄に駐留しなければならない必然的な理由がありません。普天間基地の存在価値も薄れます。
 また、平時から有事に一瞬にして変わることもないでしょう。双方の緊張関係が続き、段階的に有事にいたるものです。この間の時間を考慮すれば、平時と有事の部隊の配備を区分して検討することも必要です。
 要するに、わが国の安全保障に関し、普天間基地に駐留する米海兵隊の抑止力には疑問があるということです。この点をまったく議論することもなく、これを強調し、普天間基地の移転先を固定的に考えるのは、防衛大臣を経験した政治家として、いかがなものかと考えます。
 
 「国を守る」ことに関しては、さまざまな意見や主張が見られますが、ただひとつ決して忘れてはならない真実は、絶対に戦争を起こしてはならないとの信念の下に、あらゆる努力を惜しまないことです。それは、軍事力だけではなく、政治・外交・経済・文化などあらゆる分野を通じて実施されるものです。
 改めて言います。軍事バランスが保てないことをもって戦争が起きるという主張は、東西冷戦以前の古典的な考え方です。現代社会では、このような考えは排除すべきでしょう。

 なお、中国の軍事費が突出していることに危機感を持つ人も多いようですが、同国の経済成長率(軍人の人件費や物価の高騰などによる経費の増大)や武器の近代化への莫大な経費を考慮すれば、これをもって、わが国に対する脅威が急速に高まったとするのは早計であり、防衛予算増額の根拠とすべきではないでしょう。むしろ、外交や経済、文化など軍事面以外による抑止力を高める努力が大切と考えます。

 
 
 

「爺さんの時事放言」書庫の記事一覧

閉じる コメント(5)

顔アイコン

石破氏の軍事バランス論は、冷戦終結後のアメリカの立場からすれば遣りたい放題になるはずだが、実際はイラク戦争だけに留まっており、しかも勝利を治めたとは言い難く、ベトナム戦争での敗走も鑑みれば、必ずしも正しいとは言えないでしょう。
一方で在日米軍の存在が、日本侵攻への抑止力に成っているのは事実ではないでしょうか。日米安保により本当に米軍が日本を守るかどうかは疑問視されていますが、彼等は駐留先の国家が侵攻される事に、プライドを傷付けられ行動を起こす事は容易に想像出来ます。世界最大の軍事大国相手に戦争を仕掛けるという判断は、かなりの勇気が必要でしょうから、充分な抑止力には成っているでしょう。
四軍揃って米軍でしょうし、在日米軍の半数近くが海兵隊員ですから、海兵隊不要論は米軍には理解を得られないのではないでしょうか。

2009/11/8(日) 午後 2:01 [ 憂国烈士 ]

顔アイコン

普天間基地移設問題は、海兵隊の抑止力をどのように取り扱うか、言い換えれば、現在および将来においてわが国や周辺地域の平和を維持するために、海兵隊の抑止力が必要なのか否か、必要な場合にわが国に駐留する必要があるか否か、日本の防衛費(駐留米軍の経費を含む。)を含めて検討することからはじめなければなりません。
米海兵隊をわが国に駐留させる必要がるというのであれば、普天間基地の移転先は沖縄県内とならざるを得ず、まず、これを沖縄県民に説明し同意を得ることに専念すべきです。
鳩山総理は、前提条件を議論することなく、沖縄県民を無視し、米国との協議により、普天間基地の移転先を探そうとしたところに大きな間違いがあったということです。おそらく、沖縄県民の強い抵抗にあい年内に杭一本打つことができないのではないでしょうか。

2010/5/22(土) 午後 9:51 [ aoy**ama*iyama ]

顔アイコン

戦争の抑止は、単に軍事力だけではないということも考えるべきでしょう。国を守るとは、外交や文化交流、経済力など国力のすべてをもってなしえるものであり、これらを誤ったとき、軍事行動に至りますから、本当の抑止力とは、軍事力は必要だが、それ以上に軍事以外のものによって発揮すべきもののように思います。

2010/5/22(土) 午後 9:58 [ aoy**ama*iyama ]

顔アイコン

抑止力とは軍事力、経済、文化等複数のものから成り立つものであり、どれも欠かせないものであると考えております。そのため、軍事力だけが抑止力でないという意見には同意しますが、かといっていたずらに軍事バランスを崩すことがよいこととはとても思えません。
なぜなら軍事力も大切な抑止力のひとつなのですから。

2011/1/3(月) 午後 8:35 [ 通りすがり ]

顔アイコン

>軍事力だけが戦争抑止力ですか、石破さん?

そうだよバカが

ワイドショーばっか見てないで
国会答弁くらいみろ能無しが

2011/11/13(日) 午前 10:24 [ 通りすがり ]

開く トラックバック(1)


.
aoy**ama*iyama
aoy**ama*iyama
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

Yahoo!からのお知らせ

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事