|
こんな偶然って世の中にあるのだろうか?と思うような事があった。 それは、高校3年の時に同じクラスだったTくんのこと。 2学期の途中まで、ほとんど口をきいた事のなかった間柄だった。 2学期の途中で突然、私たちのクラスは「毎週席替えをしよう!」ってことになって (3年生は大学受験の関係で3学期はほとんど登校しなくなるのが通例だったため、 毎週席替えをして、クラスみんなともっと交流しようってことになった。そういう事は 生徒が勝手に決めて取り仕切っていい、おおらかな高校だった)、窓側の一番前の席で Tくんと隣同士になったのがそもそもの始まり。 話してみると、意外にも私達は気が合って、大学でどんな勉強をしたいかをよく語り合う仲になった。 卒業後、私は大学進学で地元を離れ、Tくんは浪人生となり、当時はまだ携帯もメールもなく、 長距離電話も高くって、たまに手紙をやり取りするようになった。 気は合うんだけど、恋愛感情を持つ事もなく、大切な友人だった。 Tくんは少し回り道をして、ある分野での研究を極めたいと希望を持ち、2年浪人した後に 地元から通える大学に進学した。 そして、私が大学院を修了して就職すると同時に、彼は別の大学の大学院に進んだ。 その分野の勉強は相当していたらしく、大学院の入試では試験官に認められていることを 実感して合格を確信したことなどを私に話してくれた事はよく覚えている。 その分野の研究では国内トップクラスの大学の大学院へ進学した。 彼の進学先と私の就職先はまた結構離れていたけれど、たまに連絡を取り合う関係はしばらく続いた。 電話でその分野の最先端の研究の話を延々と語っていて、将来は研究者になりたいと言っていた。 彼のお兄さんも、分野は違うけれど研究者になったから、自分も頑張らないとというような話も 聞いた記憶がある。 というように、本当に細々とした付き合いだったけれど、私はTくんのことを大切な友人だったと 思っていた。 研究の話以外にも、色々楽しい話もしたし、彼に教えてもらったことも結構ある。 なのに、いつの間にか連絡を取る回数は減っていった。 Tくんも(本心かどうかは分からないが)私を大切な友人だと言ってくれていたけれど、 やっぱりお互い、自分の身近な生活に集中してしまったのだと思う。 毎年交換していた年賀状が来なくなり、私も出さなくなり、もう何年かは音信不通になってしまった。 Tくんの実家の住所は知っていたけれど、T君もお兄さんも離れてしまった実家は賃貸住宅だと 聞いていたし、ひとりで住んでいたお母さんがそこに住み続けているのかも定かではなく、 実家への連絡をしてみる勇気が出てこないまま時は過ぎ・・・。 転職した時、結婚した時と、連絡してみたいと思ったけれど、もう私はその術を知らなかった。 ネットで彼の名前を検索してみたことがあるのだけれど、数年前に例の大学院で博士号を 取得した以降の消息につながる情報は皆無。 きっとこのままずっと、音信不通のままで、時折もっと友人を大切にすべきだったという 後悔の気持ちとともにTくんを思い出すのだろうとあきらめていた。 そして、今日。 こども達のことをウリタにお願いして、お気に入りの美容室へ行くために電車に乗っていた。 途中で隣に座ってきた年配の女性が、何かの集会の資料を取り出して読み始めた。 盗み見するつもりは全くなかったのだけど、ちょっとしたはずみで一瞬、資料の一部が視界に入った。一瞬だったけれどそれは、死生観や終末期医療に関する集会の案内で、そこに、Tくんと よく似た名前を見て取ることが出来た。 びっくりして、申し訳ないと思いながらも、今度はしっかりと覗かせてもらった。 Tくんと漢字一文字違いの名前、ある大学に所属する研究者がその集会 の座長を努めると書いてあった。 かつてTくんから聞いた話、お兄さんは一度大学を卒業したものの、哲学や生命倫理を極めるために もう一度大学へ通って研究者になったという話と、その名前はぴったりと一致すると思った。 もしかして、その名前はTくんのお兄さんではないだろうか。 家に帰っても、こども達が寝るまでパソコンは使えない(すぐに寄ってきて収集つかなくなるため)。 とりあえず、Tくんにつながりそうな情報に出会ったことを伝えると、ウリタもTくんのお兄さんの 可能性が高いね、アラビアTくんに再会できるかもよ、と言う。 こども達が寝てから、電車の中で見つけた名前をインターネットで検索した。 すぐにヒットした。 略歴を見る。間違いない、Tくんから聞いていた、お兄さんの経歴とぴったり一致する。 年齢も同じだ。Tくんのお兄さんに間違いない。 そして、お兄さんの現在の所属は、なんと私の出身大学(学部は違うけど)だった。すごい偶然だ。 これで、お兄さんにコンタクトして、Tくんともう一度連絡が取れそうな可能性を見いだすことが 出来たわけ。 すごいなあ。もうずっと途切れていたけれど、また会える日が来るかもしれない。 こんな偶然ってあるんだなあと、しみじみ。 で、問題は、お兄さん(と思われる方)に何と切り出せばいいのでしょうか??
古い友人なんだけど出来れば連絡先を教えて頂けないでしょうか、なんて、突然言われたら 怪しまれそうだし。 古い友人なので私の連絡先を弟さんに伝えてください、なんていきなりお願いするのも妙だし。 だいたい、古い友人ってことを信用してもらうのも難しそうだ(私がそんなこと言われたら 警戒するだろうしなあ)。 あと、研究者を目指していたTくんの最近の業績がネット検索でヒットしないのも、 ちょっと不安を感じさせます。 というわけで、お兄さんに本当に連絡してみるかどうかはまだ分かりません。 今日は突然のことでちょっと気分が高揚していると思うので、もう少し気持ちを落ち着けて 考えてみるつもりです。 ああ、でもウリタやこども達も一緒でTくんに再会できたら面白いだろうなあ。 きっとTくんは「へえ! アラビアちゃんってこういう人(ウリタ)が好みだったんだあ、 僕知らなかったなあ」って言ってくれると思うんだけどな。 |
全体表示
[ リスト ]



