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 沖縄の会議から帰ってきました。おいおい詳しい話を書くけれど、今回はチョコレートの話。
 泊まったホテルのパソコンを借りて、19世紀後半に活躍したヴィシーの自動人形がたくさん出たオークションにビッドをいれた。もちろん、荷物はほったらかしのまま。というのも、入札締め切りが近かったからだが、なにしろヴィシー作品といえば自動人形コレクター垂涎のまと。年収を全部はたかないと落札できそうにない、お高いものだ。それで、迷っていたのだが、沖縄の暑い空気をかいだら、一気に勇気が出て、ドン・キホーテの屋上から絶叫マシンで飛び降りるような覚悟で、大枚を入札。
 やっと落ち着いたら、なにか食べたくなった。隣りのショップを覗いてみると、なんと、泡盛をいれたウィスキーボンボンを発見! これは、ちゃんとしたグラニュー糖の糖衣に泡盛が封じ込まれたものかどうか確認しニ、レジへ走った。10個いり1050円と、けっこう高価だ。最近は、チョコレートの中に直接ウイスキーなどの液体をいれたものが「ウイスキーボンボン」として売られており、いつもだまされるので、『この中はジャリジャリした砂糖の器になってるのでしょうね』、と念を押した。ぼくはこの糖衣のジャリジャリ感がたまらなく好きなのだ。ところが最近はこれがない!一時、北欧の製菓会社が出しているウイスキーボンボンを取り寄せて食べていたが、生産中止になった。依頼、この手ノボンボンにお目にかかれぬ日々がつづいていた。絶滅に近づくお菓子のひとつなので、みつけたら何をおいても買しかない。とくに、ウイスキーボンボンの沖縄バージョンときては、見過ごすわけに行かぬ。
 買ったその場で銀紙をあけ、一口かじってみた。ジャリッと来る!! ほんもののウイスキーボンボンだ。涙ぐむ。あっという間に10個完食。アルコールは一滴も飲めないのに、これだけはいくら食べても大丈夫。うれしくなって、もう一箱買って、部屋にはいった。
 寺田寅彦は、コンペイトウがどうやってできるのかを科学の秘密としてエッセイに書いた。この短編は傑作で、ぼくのお気に入り科学エッセイになっている。でも、これを読んだ小学生のころから、ボクには寺田におけるコンペイトウに相当する「謎の菓子」を自分でも持っていたわけだ。ウイスキーボンボンはどうやって固いボトル形の糖衣の中にウイスキーを封じ込めるのだろうか、と。この大疑問は誰に聞いても答えてくれなかった。近所のお菓子屋の大将に聞いたら、砂糖でボトルの形をつくり、その口をあけて液体を流し込むんじゃねーーーのか、と適当に言った。でも、子供心に『絶対そんな単純なモンじゃない。コンペイトウの謎よりもっとすごい秘密があるにちがいない」と直感したぼくは、おじちゃんのバカ、と言って立ち去ったような記憶がある。
 あーー、それにしても、ロアルド・ダールの『チョコレート工場の秘密』があのころ読めたら、ぼくは寺田のエッセイと一緒にきっと熟読したにちがいない。ティム・バートンとジョニー・デップの怪人コンビがそれを原作にして作った新作映画『チャーリーとチョコレート工場』があのころ公開されてたら、ボクは近所の板橋区大山にあった洋画専門「ピース劇場」にはせ参じたはずだ。チョコレートと秘密との取り合わせは、まさにウイスキーボンボン自体のように神秘な味がある。だが、そんなチョコレート工場の秘密は長い間解けなかった。やっと、50歳過ぎて答えがわかった。こどものとき直感した「もの凄い秘密」はほんとうだったのだ!!
 ウイスキーボンボンは、砂糖を固めた容器に穴を開けて液体を注ぎこむのではなかった。なんと、砂糖
を熱で溶かし、そのあと砂糖液のなかにお酒を流し加える。その混合液を、コーンスターチとかそういう
土台に型のくぼみをあけ、そこに流し込んでゆっくりと冷やすのだ。すると砂糖液が冷えて外側から殻(糖衣)をつくって分離していく。やがて、まんなかには、ウイスキーと砂糖の混合液体が残る、という仕掛けだ。こうして、糖衣のなかに液体が閉じ込められる。物質の魔術だ。あーーーら、不思議やな、フシギやな!! 後は、その上にチョコレートをコーティングするだけ。これを、チョコレート工場の秘密といわずしてなんといおう。
 と、泰子さんに説明して、3函めを買いに行こうとしたら、「いい加減にしろよ!!」と、ピシャリ。われに返って、沖縄家庭料理のお店にでかけた。いろいろ内閣府の人と打ち合わせもして、帰り際、屋根にとってもキュートなシーサーがいたので、おもわず激写。6年ぶりの那覇はどんどん都会にかわってきている。明日は海に潜りにいこう。

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