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男は明日はくためだけの靴を磨く


夕暮れの街並みが 少しずつ暗くなってゆく
ひとりの男が 今日も坂道を降りてくる
アパートのドアを開け 手さぐりで灯りをつけた時
今日一日が ふと目の前を通り過ぎる
ひとり暮らしは気楽と言えばいい


過去のことは思い出さず これからのことは解からない
男は明日はくためだけの靴を磨く
その日暮らししていても ほらこんなに幸せだと
大きな声で笑える日も いつかはくる
時の流れに身をまかすのもいいさ



やさしい女が どこかにいたような気がする
そんな気持ちに たとえ答えられなくても
男なら恋心を さりげなくポケットに入れて
そのあとでそっと どこかで取り出してみたとき
熱い思い出が静かに消せばいい


男なら夢のひとつ くつがえすこともできるし
夢からさめたら また新しい夢を見ればいい
窓辺で枯れてゆく 一輪ざしの花でさえ
この部屋の中で 精一杯に咲いていた
そんな小さな生きざまを見つけたい



― 作詩/作曲 伊勢正三 ―

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 「パーキンソン病」と聞いて病態が頭に浮かぶ人は少ないと思います。
病名は聴いたことがあるものの、実際の症状は殆ど知らない人が多いのではないでしょうか。
私もそうでした。自分がこの病気になるまでは・・・。

 はじめて病名を告げられたとき、ショックというより何で?という思いのほうが
強かったかもしれない。パーキンソンと聞くと、「震え」くらいの認識しかなかった。
自分の身にふりかかってはじめて知った様々な症状。
「いずれ寝たきりになる」というフレーズは忘れられない。
にも拘らず、何故か私はずっと「治る」と思い続けている。
もちろん、今も。

 はじめの症状は右手の僅かな震えだった。
そして、微妙な動きに違和感を覚えるようになった。
ピアノの連打ができない。 字をスムーズに書けない。
歩くときに右足がひっかかる・・・・・等。

  そして、時間の経過とともに症状も増えていった。
肩の凝り、首のこり(硬直感)、足のもつれ、身体の震え、力が入らない、
動作が遅い、言葉のもつれ、声が出しづらい、飲み込みにくい、めまい、
立ちくらみ、後ろへ倒れそうになる、等など・・・・・・・・・。
 症状は沢山ある。それに加えて薬の副作用も沢山ある。
これらの症状を集約するなら「力が入らない」の一言かもしれない。
力が入らないから、歩きにくい、字も書きづらい、動作も遅くなる。
 普通では考えられないことができない。
プリントをそろえる、とかきちんとものを片付けるとか、洗濯物をたたむ、とか。
もちろん包丁を使って切るなんて、至難の業だし、卵をかき混ぜることもできない。

 こういう状態から普通の人間になるべく手助けをしてくれるのがL−ドーパ という薬だ。
これを飲むと、30分くらいで力が湧いてくる。そしてあたかも普通の人のように
動けるようになるのだ。
でも、効いているのは2〜3時間、一日3回の服用となるとやっぱり相当不自由だ。
しかもこの薬の副作用は結構辛い。
 無意識のうちに身体が勝手に動いてしまうのだ。
傍から見ていると、何事かと思われるに違いない。
この副作用を抑えるためには L−ドーパ の服用量を減らすしかない。
でも、減らすと動ける時間がなくなっていく・・・・。

 そんな葛藤を日々繰り返しているのです。
ゆっくりと止まるように歩いていた人間が、突然スタスタと歩き出しても
変な人だと思わないで下さいね。 薬が効き始める瞬間の変化は自分でも
まだ楽しんでいるのですから・・・。

転載元転載元: いのちの歌

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