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その微笑みで救われました。
ありがとうございます。
そして、私なら…


しばらく前の雨の日、ほぼ満員の電車に乗り込みました。
一番端の座席の前に立って、書類の一杯詰まったカバンを網棚に上げようとしました。
その時、電車が大きく揺れたため、バランスを崩して倒れそうになりました。

右足に力を入れると同時に、濡れた傘を持っている右手で吊り革を握ろうとしましたが、
私の右横には、小学生のちっちゃな女の子がいます。

その子を危険な目に合わさないようにと、傘を真っ直ぐ大きく上にあげて、吊り革をようやく握りました。

その際に、その濡れた傘のしずくが、前に座る若い女性の服を濡らしたのです。
左手は、未だ重いカバンを網棚にキチンと置けていません。

そこで、再び電車の揺れがきましたが、右には小学生がいます。
傘先を座席側に向けないと仕方ありません。

不安定な姿勢ですから、座席方向を向いた傘先は、ゆらりゆらりと揺れ、
二度三度と座席に座る女性を濡らしたのです。

一度ならず二度三度、服を濡らしてしまったのです。

ところが、その彼女、「くすっ」と笑ったのです。

当然、不機嫌な顔で睨みつけられることを想定していましたから、
意外な思いで、「ごめんなさい」と謝りました。

ところがその彼女は、不快な顔をするどころか、「いえいえ」と微笑んでくれたのです。

私はその笑顔に、本当に救われた思いでした。

そして、彼女は、何事もなかったように日経新聞に目を落としています。

その後、ある駅で彼女は席を立ち、私の横を通って、降車ドアに向かう際、
私を気遣ってのことでしょう、会釈までしてくれました。

私は胸一杯になりました。

私だったらどういう態度を取っていたのだろうか…。

まだ、梅雨入り前の肌寒さが残る日のことでした。





[ 天邪鬼のひとり言 ] 嵐風人

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その日暮らししていても
ほらこんなに幸せだと
大きな声で笑える日もいつかはくる
時の流れに身をまかすのもいいさ
― 伊勢正三 ―


時の流れに身をまかせることも
時にはいいのかも知れません…
どんなに小さなことでも、
「生きている」と感じる日まで…
― 嵐風人 ―






男は明日はくためだけの靴を磨く

― 作詩/作曲 伊勢正三 ―

夕暮れの街並みが 少しずつ暗くなってゆく

過去のことは思い出さず これからのことは解からない






[ 天邪鬼のひとり言 ] 嵐風人

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