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このエッセイは、音声読み上げソフトの音声でお聴き頂く事が出来ます。
MP3音源(約7分)
http://www.geocities.jp/arata_tokyo_jp2004/essay-12.mp3


「美しいこととキレイなことについて」


私は若い頃に、岡本太郎の芸術論を沢山読みましたが、その中に、
芸術は、「キレイであってはならない」、「上手くあってはならない」、「心地よくあってはならない」という言葉がありました。

芸術は、美しいものであって、キレイなものではない。
私にはこの言葉の意味が良く分かりませんでした。
美しい作品とキレイな作品、美しい人とキレイな人とは、どう違うのでしょう。



また、心理学者の森田しょうまの本の中に出ていた話ですが、
精神病院の患者の中に、一人の白痴の女性がいて、この人が非常にキレイな人だったそうです。
ある時、森田しょうまは美術関係の人達を招いて、この女性を見せたそうですが、皆その顔立ちのキレイさに驚いたようです。

森田しょうまは、皆と別れる時に一言、「くれぐれもこのような作品を創らないように」と言ったそうです。
「魂の無い人形のような作品」というような意味だと思います。
この話も若い頃に読んだ話ですので、細かなところは忘れてしまいましたが、だいたいこんな内容だったと思います。

若い頃に知ったこの二つの話、芸術家と心理学者の話が、実は全く同じ内容のものである事を知ったのは、それから数十年もあとになってからの事です。

白痴の女性は、いくら顔立ちがキレイでも、美しい人には絶対になりえないのです。
美しい行為も、美しい心も、美しい言葉も、そこには全くないからです。
そこにはなにかを「育て上げる」という行為がありません。
感動という言葉も全く縁がありません。
「仏作って魂入れず」という言葉がありますが、この言葉も同じ事を言っているのではないかと思います。

この事は、芸術家だけの問題ではありません。
一般の人達も考えなければならない問題を含んでいると思います。

世の中を見渡すと、そこにはキレイなものやキレイな人、キレイな言葉が満ち溢れているようです。
美しいものや美しい人、美しい言葉は僅かです。
人が感動するのは、美しいことに対してであって、キレイなことに対してではありません。



話は変わりますが、特に若い女性は容貌の美醜について悩む事が多いと思いますが、若い頃のキレイな顔立ちやキレイな姿というものは、親が作ったものであって、自分で育てあげたものではありません。
親が作ってくれたものに対しては感謝すべきであって、自信を持つようなものではないと思います。
また、これらの外見的なものは、年を取るに従ってだんだんキタナクなってしまうものです。
これはどうしようもない事実です。
美しさというものは、自分で育てあげるものなのです。

「キレイになりたい」という気持は分かりますが、「美しくなりたい」という気持も、もっと大切にして欲しいと思います。
外見的にはキレイでなくとも、美しい輝くものを持っている人というのは、とても魅力的なものです。
自分の身の回りを見ても、キレイになりたいという人はいますが、美しくなりたいという人は稀です。
若い頃はキレイなものに惑わされてしまうのです。

世の中には、ヤミクモに高級品を買い漁って、ブランドもので身を固めているような人達がいますが、下手をすると、失礼な言い方になってしまうかも知れませんが、先ほどの白痴美女のようになりかねません。
仏作って魂入れずです。
そこには感動させるものは何一つありません。
もちろん芸術家になりたい人達ではないのですから、美しさよりもキレイさにひかれるのは、仕方のない事ではありますが・・・。

本来オシャレというものは、服やバッグや靴の問題ではなく、生き方の問題だと思います。
「生き方がオシャレか」という事が大切な事だと思います。
芸術も同じで、上手い絵を描けば芸術家というわけではなく、「生き方が美しいか」という事が問題なのです。
日本には「心のオシャレ」という言葉がありますが、心と外見を分けて考えるような、日本人のオシャレというのは本来おかしいのです。

フランスでは、一般の人達は、シャネルなどのブランドものは着ないそうです。
シャネルは貴婦人が着るものであって、例えお金は持っていても、自分には相応しくないと考えて買わないそうです。



以前、電車の中で十代の男の子が、上から下までブランドもので身を固めているのを見かけた事があります。
バッグは確かレノマだったような気がします。
如何にもこれから「彼女とデート」という感じでしたが、よく見ると、その子が夢中になって読んでいるのは、少年マガジンだったのです。
レノマと少年マガジン・・・。
正直といえば正直ですし可愛いといえば可愛いのですが、彼女とデートというわけで服やバッグや靴をレベルアップしてオシャレしたのなら、そういう時くらいは読む本も少しはレベルアップしても良いのではないかと思いました。

美しいこととキレイなこととは、芸術家だけの問題ではなく、我々一人一人が一生考えなければならない問題ではないかと思います。

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