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建築の世界に足を踏み入れてからもうじき丸16年。
その間に大学で学び、海外留学をし、設計事務所に勤め、独立して現在に到るわけですが、ここ最近「建築家って???」と自問自答していたことと、「建築系図書日和」の記念すべき第1回目にふさわしいかなと思って本書を選んでみました。
日本建築家協会(JIA)の創設20年を記念して刊行された本です。「建築家」とはどういう人なのかを一般の方々にも知ってもらうことが大きな目的のハズなのですが、内容的には気合の入った会報っていう感じ。内輪ネタ的というか、一般ウケはしなさそうです。
しかし本書を読めば、欧米では社会的に確立されている「アーキテクト」という職能を「建築家」という呼び名に置き換えて、なんとか日本にも浸透させようと尽力した先輩達の苦闘の歴史がよく分かります。そしてその歴史が同時に、日本では欧米的な意味での「建築家」という存在が全く認知されていないという証明でもあるところが泣けますっ・・・ToT
日本で認知されない理由として本書では、伝統的に設計・施工一貫生産を行う「棟梁(大工)」の存在と戦後の高度成長期に生まれた「建築士」という資格を持つ技術者の存在を挙げています。確かに制度の問題や社会的背景が、欧米から輸入した「建築家」という職能の普及を妨げた一因だと思いますが、別のところにも原因があるように感じました。本書に書かれている「建築家」をまとめるとこうです↓
建築に関する高い専門性と豊富な知識や経験を持ちつつも日々研鑽に努め、社会に対する強い責任を持ち、社会から信頼され、未来に対して持続可能な創造を行って報酬を得る人
ナルホドっ!納得です。僕もそうありたいと日々努めています。でも、建築業界以外の方々にちゃんと伝わっているのか疑問です。本書が一般ウケしなさそうと書いた理由は、「建築家」という言葉の“辞書的な意味”の説明に終始しているように感じたからで、要するに、カタ過ぎるんです。明治維新以降、130年以上の歳月をかけても「建築家」の輸入に失敗している理由がこの辺りにあるのでは?と思いました。
ここ数年、一般向けの雑誌やテレビでも「建築家」という言葉を見聞きするようになりました。そう言えば、以前、代理店系の仕事をしている知人が、「世間的に建築家と言えば、(建物の)デザイナーと捉えられている」と言っているのを聞いて、ショックを受けたことがありました。世間では既に「プロデューサー」とか「ディレクター」と呼ばれる人達が、JIAの言う「建築家」の役割に近い地位を得つつあるのかもしれません。
これは建築を愛してやまない我々には受け入れがたい現実です。もはや一刻の猶予もないという感じです。言葉の普及に努めている間に、肝心の職能を奪われてしまいそうです・・・orz
そのまんま「アーキテクト」って言えばいいんじゃないでしょうか??
まぁどう表現するかは置いといて、日本の社会に真の意味での「建築家」が受け入れられる為には、今までの活動を一歩進めて、一般の方々にも理解しやすい「建築家のブランディング」が必要だと感じました。
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