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再生不良性貧血

再生不良性貧血 は、血球を作る「もと」になる細胞「造血幹細胞」に障害が起こって引き起こされる病気です。障害が起こる場所は、硬い骨(骨皮質)の中のゼリー状の「骨髄」という臓器で、普段はさかんに血球を作っているところです。血球には、赤血球、白血球、血小板の3種類があって、いずれの血球も造血幹細胞から作られており、これらの3種類の血球が作れなくなる病気です。

原因 として、ある種の薬剤(抗生剤や鎮痛薬、抗けいれん薬の一部)の他、肝炎やウイルス感染に引き続き起こる場合(続発性)もありますが、多くは原因不明(特発性)です。

症状 としては、白血球数減少、中でも細菌感染に対して抵抗力を発揮する好中球数が減少することによる感染症(発熱を伴います)、赤血球減少に伴う貧血、血小板減少に伴う出血があげられます。この中で、感染症は重症になると生命の危険を伴います。感染症の危険は、好中球数が500/マイクロリットル (1マイクロリットル(1立方ミリメートル)中に500個)以下で起こり,特に、好中球が200/マイクロリットル 以下ではその頻度は増します。赤血球は酸素を運ぶ役割をもっており、貧血になると、顔色が悪くなり、動悸、息切れなどの症状が出ます。これらの症状は、ヘモグロビン値が6~7g/dl(1デシリットル中に6~7グラム)以下で出現しやすくなります。血小板は、出血した際にまず血管の傷を固めて出血を止める役割をもっており、血小板減少に伴って、皮下出血(点状出血)や打ち身のあとの青あざ(紫斑)が出やすくなりますが、これらの皮膚の出血症状は生命を脅かすものではありません。鼻血(鼻出血)が出た際に出血が止まらなくなる症状も現れます。まれですが、頭部を打った際に頭の中に出血(頭蓋内出血)を起こし生命に関わることもあります。これらの重症の出血症状は血小板数が1~2万/マイクロリットル 以下で起こりやすくなります。

病気の 重症度 は、大きく3つに分けています。好中球数500/マイクロリットル 以下、血小板数が2万/マイクロリットル 以下、網状赤血球数が2万/マイクロリットル 以下のうち、少なくとも2つを満たす状態を重症、好中球数1,000/マイクロリットル 以下、血小板数が5万/マイクロリットル 以下、網状赤血球数が6万/マイクロリットル 以下のうち、少なくとも2つを満たす状態を中等症、それ以外を軽症に分類します。重症の中でも好中球数が200/マイクロリットル 以下の場合に最重症と呼びます。重症度は患者さんによってまちまちです。 ちなみに、正常値は、好中球2,000/マイクロリットル 以上(年齢によって若干異なります)、血小板数15万~40万/マイクロリットル 、網状赤血球3万~10万/マイクロリットル です。なお、赤血球数は350~500万/マイクロリットル 、ヘモグロビンは12~15g/dl(乳幼児は低めです)。網状赤血球というのは、作られたばかりの若い赤血球で、内部の形が網目状になっていることからこう呼ばれ、赤血球造血の良い指標となります。

診断 は、通常の血液検査で白血球数、赤血球数(網状赤血球数)、血小板数を測定し、骨髄穿刺(針を腸骨という骨盤の骨に刺して骨髄液を採取する検査)をする必要があります。再生不良性貧血と区別が難しい病気に、血液の悪性腫瘍である白血病と骨髄異形成症候群と呼ばれるいわゆる「白血病の前段階あるいは白血病への移行段階にある病気」があります。これらと区別するために、骨髄細胞の染色体検査を同時におこないます。区別が難しい場合もときにあり、何度か骨髄穿刺を繰り返すことが必要になる場合もあります。場合によっては骨と骨髄を一緒にわずかに削り取る骨髄生検も必要になります。また、区別を要する病気に、先天性あるいは遺伝性の再生不良性貧血もあります。この場合は、血液以外の症状も現れることも多く、さらに必要な検査を必要とする場合があります。

治療 は、重症度によって異なります。
軽症では、無治療で経過をみることがほとんどです。
中等症や重症では、治療が必要になってきます。
治療には、感染症に対する治療、貧血・血小板減少に対する輸血といった対症療法と、造血幹細胞移植や免疫抑制療法などの根本的な治療(根治療法)の二つがあります。

対症療法
感染症'に対する治療
実際に感染症を併発している場合は、抗生物質(抗細菌剤、抗真菌剤)による治療が中心です。G-CSFという好中球を増やす薬を使うこともあります。
赤血球輸血
輸血歴が少ない程、骨髄移植の成功率(骨髄生着率)が高いことと、体内での鉄の蓄積を防ぐために、できるだけ赤血球輸血は最小限におさえます。
したがって、症状が強くない場合は、ヘモグロビンが6~7g/dl 以下になった場合に輸血します。
血小板輸血
血小板輸血も数多くなると、血小板に対する抗体が出現して効き目が弱くなることがあり、必要最小限にとどめます。
鼻出血などの出血症状が続いたり、血小板数が1~2万/マイクロリットル 以下で重症な出血の恐れがある場合に血小板輸血をおこないます。

根治療法
免疫抑制療法 造血幹細胞移植 (骨髄移植、さい帯血移植)の二つがあります。

中等症に対する治療 は、免疫抑制療法がまず選択されます。これは、再生不良性貧血が一種の自己免疫機序(免疫が異常に働いて、自分の細胞、この病気の場合は造血幹細胞を破壊するという理屈)で発症していることに基づいています。この免疫抑制療法は、主にATG(抗リンパ球抗体:ウサギやウマに作らせたヒトのリンパ球に対する抗体)やサイクロスポリンと呼ばれる薬を使い、G-CSF(好中球増加因子)を加えて治療するものです。この治療がうまくいかない場合は、HLA一致ドナー(HLAは白血球の型のことで、同胞(兄弟姉妹)間で一致する確率は4分の1です)からの造血幹細胞移植をおこなうか、もう一度免疫抑制療法を試みます。

重症に対する治療 としては、HLA一致ドナーがいる場合は造血幹細胞移植が選択されます。HLA一致ドナーがいない場合は上にあげた免疫抑制療法がおこなわれます。免疫抑制療法がうまくいかないときは、骨髄バンクからの移植をおこなうか、もう一度免疫抑制療法を試みます。

再生不良性貧血の小児に対する 骨髄移植 の成績は大変良好で、80~90%以上の確率で成功し病気は根治します。ただし、移植前に輸血が多くおこなわれている場合には、生着がうまくいかず(移植された骨髄が拒絶される)失敗に終わる可能性が増します。また、移植自体の副作用が強く出る可能性もあります。これには、急性のもの(粘膜障害、感染症、急性GVHD)、慢性のもの(慢性GVHD、感染症)、後遺症(成長障害、性腺障害、ホルモンの障害、がん)があります。

免疫抑制療法 については、5~6割の患者さんで有効ですが、途中で再び病気が再燃することがあります。また、のちに白血病を発症する危険性も若干あります。病気が再燃してしまった場合は、もう一度免疫抑制療法を試みるよりも造血幹細胞移植をおこなった方が良いと報告されています。

いずれにせよ、中等症や重症の場合は、造血幹細胞移植をする、しないは別にして、まず移植ドナーを探すことが必要です。その理由は、移植ドナーさんを探すことは時間がかかり(特に骨髄バンクドナーについては)、すぐに移植できない場合がほとんどだからです。

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