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主な小児脳腫瘍の治療

ここでは、主な小児脳腫瘍について述べます。
脳腫瘍の症状・診断等については小児脳腫瘍の項をご覧ください。

髄芽腫
髄芽腫は手術ですべてを摘出できても、原発部位(腫瘍が最初にあった場所)のほか脳室や脊髄にしばしば再発します。このことは髄芽腫では全中枢神経系への転移が最初から存在することを示しています。そのため、手術で腫瘍を摘出(または生検)した後、化学療法と放射線治療による治療が必要です。放射線照射は原発部位だけでなく全脳と全脊髄に行われ (予防照射)、画像検査または髄液検査で転移がない場合は、18~36Gy(グレイ; 放射線量の単位) の線量が照射されます。低年齢のお子さんでは放射線の後遺症が懸念されるため、最近では照射量を下げる傾向にあります。ただし、その場合は化学療法の併用が必須となります。はじめから脊髄や脳室など脳の他部位への転移が存在する場合は、全脳全脊髄への照射線量を最大量である36Gyに増やすか、より強力な大量化学療法 (自家造血幹細胞救援)を併用して治療強度をあげることが必要です。一方、腫瘍が存在していた部位へは、たとえ全摘出ができたとしても、同部位(局所と呼ぶ)への局所照射が必要です。これは通常50~54Gyの線量を要します。発症時3歳未満では放射線による障害が強く出るため、放射線を全く用いない治療法が選択されることが一般的ですが、この場合も大量化学療法を併用するなど化学療法の強化が必要です。一般に髄芽腫に対して化学療法は有効で、画像検査でも腫瘍が縮小する様子が確認できます。

グリオーマ
グリオーマは周囲の正常な脳との境界がはっきりしないことが多く、手術で全てを摘出することが難しい腫瘍です。悪性度により大まかに2つに分けると、グレード1, 2の低悪性度(low-grade) とグレード3, 4の高悪性度 (high-grade) に分けることができます。概して抗がん剤に感受性が高いとはいえませんが、腫瘍の増大を遅らせることができる可能性はあります。したがって、低悪性度グリオーマでは、まず手術と化学療法をおこなってみて腫瘍の増大を抑え、何らかの症状が出た場合に放射線照射も考慮します。急激に増大する腫瘍ではないので、強力な化学療法を短期間に集中するより、強度が弱く副作用が少ない治療を長期間にわたっておこなう方がよいと思われます。高悪性度グリオーマのうち膠芽腫と呼ばれる腫瘍は最も悪性度が高く、化学療法や放射線の効果も部分的で症状を和らげる可能性はありますが、完治できる可能性はきわめて低いといわざるを得ません。

頭蓋内胚細胞腫
組織については胚細胞性腫瘍の項を参照してください。頭蓋内胚細胞腫はジャーミノーマとそれ以外のもの(非ジャーミノーマ)に分けることができます。ジャーミノーマは化学療法や放射線治療がよく効く腫瘍ですが、非ジャーミノーマはそれに比べると化学療法や放射線療法がやや効きにくく強力な治療を要します。非ジャーミノーマの一部はAFPやHCGというたんぱく質を分泌しており、これを腫瘍マーカーとして測定することができ、治療効果の判定に用いることができます。髄芽腫ほど高頻度に転移することはありませんので予防的に全脳全脊髄に予防照射をする必要があるかどうかについては議論のあるところです。

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