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小児難治性固形腫瘍に対する同種造血幹細胞移植の安全性・有効性に関する第I/II相臨床試験
難治性固形腫瘍と呼ばれるものに横紋筋肉腫や神経芽細胞腫、脳腫瘍などがあります。こうした腫瘍に対しても、大量化学療法や放射線照射を組み合わせることで治療成績の向上には目覚しいものがあります。しかしそれでもなお、生命の危険にさらされているこどもたちがいるのも事実です。こうした子どもたちに親御さんやご兄弟の骨髄、骨髄バンクドナーさんの骨髄、あるいは臍帯血バンクの臍帯血を用いた移植を行うがん免疫療法です。大量化学療法や放射線照射など種々の強い治療に対し反応しなかった、ないしは再発してしまった子どもたちが対象です。治療はそれまでに使われなかった抗がん剤(ブスルファン、ハイカムチン、フルダラビンなど)を用いてできるだけ腫瘍を小さくし、適切なHLAを持った方から骨髄ないしは臍帯血をいただき移植します。その後、いただいた骨髄・臍帯血から正常なリンパ球がでてきて、がん抗原をもった腫瘍を認識し攻撃することで抗腫瘍効果を得る方法です。抗がん剤を使うので白血球が減少し感染が生じやすくなったり、貧血になり赤血球の輸血が必要であったり、血が止まりにくくて血小板の輸血が必要なこともありますが概して多くはありません。ただし以前の治療が強くて思わぬ副作用がでることもあり注意が必要です。より詳しい情報がお知りになりたい方はこちらまでどうぞ。

胚細胞性腫瘍

胚細胞性腫瘍
胚細胞性腫瘍とは生殖細胞 (精子、卵子など) のもとになる細胞 (原始生殖細胞) が腫瘍化 (悪性) したもので、多くは性腺 (精巣、卵巣) から発生します。ところが性腺以外からも発生するものもあり、これは胎生期(お母さんのお腹の中にいる胎児の時期)に原始生殖細胞が体の他の部位に迷い込んだところから発生すると考えられており、頭蓋内から尾骨付近まで、とくに体軸のまんなか、すなわち頭蓋内(頭の中)であれば松果体、下垂体付近、頭蓋外(頭の外)では縦隔(胸の中)、後腹膜(お腹の中の後ろの方),仙尾部(おしり)に好発します。ここでは脳に発生する頭蓋内胚細胞性腫瘍以外のものについて解説します。

分類
原始生殖細胞は体中のあらゆる細胞に分化(成熟)する能力 (多分化能) を持っています。そのため、それが腫瘍化した胚細胞性腫瘍の分化度・組織型(肉眼あるいは顕微鏡でみたときの見え方)は多彩であり、(1) 精巣に発生するセミノーマや頭蓋内のジャーミノーマなど生殖細胞のみから構成されるもの、(2) 生殖細胞以外の細胞で構成される絨毛がんや卵黄嚢がん、未熟奇形腫など、(3) 毛髪、軟骨などほぼ完全に分化した組織からなる成熟奇形腫、さらにこれらの成分が混在しているものもみられます。組織型により悪性度が異なり、(3) は最も良好な経過をとり、(1) と(2) は悪性腫瘍ですが抗癌剤に対する感受性が異なります。

症状
症状は発生部位によりさまざまです。縱隔や腹部の場合には腫瘍がある程度大きくなるまで症状が現れないことが多いようです。また、新生児にみられる仙尾部奇形腫では、胎児期の超音波検査などで出生前に見つかることがあります。

診断
診断は画像検査、腫瘍マーカーとしてアルファフェトプロテイン (AFP)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン (HCG) があります。AFPは卵黄嚢がんで、HCGは絨毛がんの成分がある場合に上昇します。

治療と予後
進展度、組織型により異なります。成熟奇形腫は切除のみで治癒することがほとんどです。セミノーマやジャーミノーマには化学療法と場合により放射線療法がおこなわれ、予後 (治り易さ) は比較的良好です。その他の胚細胞性腫瘍では、その進行度に応じて、手術治療や化学療法、放射線療法を組み合わせた治療を行います。発生部位による予後の違いも知られており、縱隔に発生するものは予後不良とされています。また、一般に腫瘍がもとの発生部位から離れたところに転移している場合は難治性で、強力な治療を行う必要があります。

治療の現状
悪性腫瘍の予後 (治り易さ) は5年後に生存している確率(5年生存率)で表されます。日本小児外科学会によると成熟奇形腫の5年生存率は95%以上で、悪性胚細胞性腫瘍の5年生存率は全体で85%と比較的良好です。しかし、発見時転移のある症例では59.1%といまだに不良であり、更なる改善が望まれます。

主な小児脳腫瘍の治療

ここでは、主な小児脳腫瘍について述べます。
脳腫瘍の症状・診断等については小児脳腫瘍の項をご覧ください。

髄芽腫
髄芽腫は手術ですべてを摘出できても、原発部位(腫瘍が最初にあった場所)のほか脳室や脊髄にしばしば再発します。このことは髄芽腫では全中枢神経系への転移が最初から存在することを示しています。そのため、手術で腫瘍を摘出(または生検)した後、化学療法と放射線治療による治療が必要です。放射線照射は原発部位だけでなく全脳と全脊髄に行われ (予防照射)、画像検査または髄液検査で転移がない場合は、18~36Gy(グレイ; 放射線量の単位) の線量が照射されます。低年齢のお子さんでは放射線の後遺症が懸念されるため、最近では照射量を下げる傾向にあります。ただし、その場合は化学療法の併用が必須となります。はじめから脊髄や脳室など脳の他部位への転移が存在する場合は、全脳全脊髄への照射線量を最大量である36Gyに増やすか、より強力な大量化学療法 (自家造血幹細胞救援)を併用して治療強度をあげることが必要です。一方、腫瘍が存在していた部位へは、たとえ全摘出ができたとしても、同部位(局所と呼ぶ)への局所照射が必要です。これは通常50~54Gyの線量を要します。発症時3歳未満では放射線による障害が強く出るため、放射線を全く用いない治療法が選択されることが一般的ですが、この場合も大量化学療法を併用するなど化学療法の強化が必要です。一般に髄芽腫に対して化学療法は有効で、画像検査でも腫瘍が縮小する様子が確認できます。

グリオーマ
グリオーマは周囲の正常な脳との境界がはっきりしないことが多く、手術で全てを摘出することが難しい腫瘍です。悪性度により大まかに2つに分けると、グレード1, 2の低悪性度(low-grade) とグレード3, 4の高悪性度 (high-grade) に分けることができます。概して抗がん剤に感受性が高いとはいえませんが、腫瘍の増大を遅らせることができる可能性はあります。したがって、低悪性度グリオーマでは、まず手術と化学療法をおこなってみて腫瘍の増大を抑え、何らかの症状が出た場合に放射線照射も考慮します。急激に増大する腫瘍ではないので、強力な化学療法を短期間に集中するより、強度が弱く副作用が少ない治療を長期間にわたっておこなう方がよいと思われます。高悪性度グリオーマのうち膠芽腫と呼ばれる腫瘍は最も悪性度が高く、化学療法や放射線の効果も部分的で症状を和らげる可能性はありますが、完治できる可能性はきわめて低いといわざるを得ません。

頭蓋内胚細胞腫
組織については胚細胞性腫瘍の項を参照してください。頭蓋内胚細胞腫はジャーミノーマとそれ以外のもの(非ジャーミノーマ)に分けることができます。ジャーミノーマは化学療法や放射線治療がよく効く腫瘍ですが、非ジャーミノーマはそれに比べると化学療法や放射線療法がやや効きにくく強力な治療を要します。非ジャーミノーマの一部はAFPやHCGというたんぱく質を分泌しており、これを腫瘍マーカーとして測定することができ、治療効果の判定に用いることができます。髄芽腫ほど高頻度に転移することはありませんので予防的に全脳全脊髄に予防照射をする必要があるかどうかについては議論のあるところです。

小児脳腫瘍

1. はじめに
脳腫瘍は小児期において2番目に多い悪性腫瘍 (小児がん) です (一番多いのは白血病)。ひと口に脳腫瘍といっても様々な種類があり、その種類によって治療法や予後 (治りやすさ) が異なります。

2. 小児によく見られる脳腫瘍の種類
グリオーマ; 神経膠 (こう; にかわの意) 細胞から生じる一群の腫瘍。神経膠腫(しんけいこうしゅ)とも呼びます。グリオーマはさらに、星状神経膠細胞、乏突起神経膠細胞などに分類され、組織学的悪性度によってグレード1から4に(数字が大きいほど悪性)分類されます。 
髄芽腫(ずいがしゅ); ほとんどが小脳から発生しますが、まれに大脳半球にも発生することがあり、この場合は(テント上) PNETと呼ばれます。
胚細胞性腫瘍: 松果体、下垂体、大脳基底核に発生し、病理組織により胚細胞腫と非胚細胞腫に分けられます。病理組織学的に卵黄嚢がんの成分を含むものは血清や髄液中のアルファフェトプロテイン (AFP) が上昇し、絨毛がんの成分を含むものはヒト絨毛性ゴナドトロピン (HCG) が上昇します。
その他; 頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)、上衣腫など。

3. 脳腫瘍の症状
脳圧が上昇することによって生じる、頭痛、嘔吐、意識障害などの症状 (頭蓋内圧亢進症状) や脳の一部分の障害による運動麻痺のほか、痙攣もしばしば認められます。下垂体付近の腫瘍では、思春期早発や大量の尿が出る尿崩症(にょうほうしょう)などの内分泌症状がみられることがあります。 

4. 脳腫瘍の診断法
診断には症状から診断する臨床診断、MRIやCTスキャンなどの機器を用いる画像診断、腫瘍の一部を採取 (生検) してその組織像をみる病理診断という方法があります。

5. 脳腫瘍の治療
治療手段は、手術、放射線治療、化学療法があります。それぞれ長所と短所があり、腫瘍の種類や発生部位、転移の有無により用いる治療法を決定します。手術は、腫瘍をまるごと摘出できる可能性があり、小脳星細胞腫、脈絡叢乳頭腫、上衣腫の一部などは手術により全部摘出できれば治癒します。また、病理診断用の標本を採取するためにも必要不可欠な手段ですが、画像に映らないような小さなものについては手術は無効で、複雑な手術では脳を傷つける可能性もあります。放射線治療は強力な治療手段で、照射部位からの再発を抑えるにはかなり有効な方法ですが、低年齢のお子さんに予防的に全脳照射を行った場合は知能障害、全脊髄に照射した場合は低身長などの後遺症 (晩期障害) を残す可能性があります。

一方、化学療法は原発部位だけでなく転移した腫瘍細胞にも効果がありますが、放射線に比べると一定の限界があります。特に脳には血液・脳関門と呼ばれるバリアーがあり、血液中の抗がん剤が腫瘍に届きにくいという問題があります。小児脳腫瘍によく使われる抗がん剤には、アルキル化剤に分類されるシクロホスファミド(エンドキサン)、イフォスファミド(イホマイド)、植物アルカロイドのビンクリスチン(オンコビン)、白金製剤のシスプラチン(ランダ)、カルボプラチン(パラプラチン)、エトポシド(ラステット、ベプシド)などがあります。

脳腫瘍の治療には通常上記の3~4剤を組み合わせた化学療法を4~5週間隔で行います。抗がん剤には嘔気・嘔吐、脱毛、骨髄抑制などの共通した副作用と各抗がん剤に特徴的な副作用があります。たとえばシクロホスファミドとイホスファミドによる出血性膀胱炎、ビンクリスチンによる末梢神経炎、シスプラチンによる腎障害、聴力障害、エトポシドは使用方法によっては1~2年後に二次性の白血病を誘発することが知られています。一方、化学療法を強化するひとつの手段として、別項で述べるように抗がん剤を大量に使う大量化学療法(自家造血幹細胞移植併用)という方法があります。

主な小児脳腫瘍の治療については主な小児脳腫瘍の治療の項をご覧ください。

6. 小児脳腫瘍に対するチーム医療
上述したように小児脳腫瘍の治療には脳神経外科医、小児科の腫瘍専門医、放射線治療医の協力が不可欠です。強力な化学療法を行う場合は中心静脈栄養カテーテル (IVH) を小児外科医に作成してもらう必要があり (栄養管理の項参照)、そのほかにも組織診断を行う病理医やホルモン補充療法を行う小児内分泌専門医などの協力が必要です。このように小児の脳腫瘍は多数の専門医がかかわる体制ができた施設で治療を行われるべきですが、日本にはこのような理想的な施設は多くありません。また、現状では小児脳腫瘍に対する標準的といえる治療法はなく、新たな治療法を開発するため多数の施設が共同研究グループをつくり治療法を統一してよりよい治療を行うことがこれからの課題といえるでしょう。(臨床研究の必要性)。

化学療法

化学療法とは、抗がん剤を使用して悪い細胞をやっつけることです。

人間の体は、たくさんの細胞のかたまりで形成され、その細胞は日々生まれ変わっています。髪の毛がのびたり、爪がのびたり、体を洗ったら垢がでるのも古い細胞がなくなり、新しい細胞が作られている証拠です(いわゆる新陳代謝です)。がん細胞も日々生まれ変わっていますが、正常の細胞との違いは、その増殖のスピードが速く、無秩序なことです。

抗がん剤は、この増殖する力を邪魔することよって、がん細胞をやっつけます。この作用は正常の細胞にもおこるので、抗がん剤を使用すると髪の毛が抜けるのです。しかし、がん細胞の方が増殖する力が強いので、正常細胞よりも抗がん剤の影響を強く受けて、がん細胞が死んでいきます。髪の毛などの正常の細胞は体から抗がん剤がぬけてしまえば、大抵の場合また生えてきます。

それでは抗がん剤と、風邪薬の違いはなんでしょう? それは、副作用の重篤さ(強さ)です。薬の副作用の出かたには個人差があります。風邪薬を飲んで眠たくなる人もいれば、ならない人もいますよね。抗がん剤も同じです。抗がん剤を使用しても、吐き気が強く出る人もいれば、平気な人もいます。ほとんど誰にでも起こる副作用としては、脱毛と骨髄抑制があります。骨髄抑制とは、ばい菌をやっつける白血球や、酸素を全身に運んでくれている赤血球や、出血を止めてかさぶたを作ってくれる血小板が少なくなることです。赤血球が減りすぎると、いわゆる貧血の状態になり、全身に十分な酸素をとどけることができなくなります。血小板が少なくなると、鼻血などの出血がとまりにくくなります。ですから、ある程度赤血球や、血小板が減った時には輸血で補充してあげないといけません。しかし、白血球は輸血で補充してあげることができません。白血球がないとばい菌をやっつけることができませんから、感染には十分気をつけないといけません。手洗いやうがいをしたり、マスクをしたりして感染を予防します。ばい菌をやっつけるために抗生物質を使うこともあります。体から抗がん剤がぬけると血をつくる骨髄も回復(=白血球、赤血球、血小板が造られて増えてくる)してきます。また脱毛は多くの抗がん剤の副作用として、ほとんどの方に起こりますが、抗がん剤が体からでていってしまえば、髪の毛は生えてきます。

抗がん剤の副作用は、他にもたくさんあります。薬の本を見るとたくさん書いてありますよね。しかし、この副作用が全て起こるわけではないですし、先ほども書いたように非常に個人差があります。また、吐き気などの副作用を抑える薬もたくさんあります。

抗がん剤はがん細胞が耐性(薬が初めは効いていてもやがて効かなくなること)を持たないように通常数種類を組み合わせておこないます。組み合わせは腫瘍の種類によって変わります。
抗がん剤の多くは注射で投与されますが内服のお薬もあります。
数種類の組み合わせによる治療が終了すると骨髄機能が低下し、やがて回復したら次の化学療法を開始する、といったことを通常数回繰り返します。
それぞれの抗がん剤に特徴的な副作用があるので、その事に気をつけながら治療することが非常に重要です。ですから小児血液腫瘍科医による治療が受けられる専門病院での治療が必要です。

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