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「肝芽腫」は、子どもの肝臓に発生する小児がんのうち約8割を占める、最も頻度の高い病気です。まれに、大人の肝臓にできるのと同じタイプの「成人型肝がん(肝細胞がん)」ができることもあります。最近、 日本での研究により、低出生体重児(特に出生体重1000g未満)で生まれたお子さんに、肝芽腫が発生しやすいことがわかってきました。 症状 肝芽腫は、小さいお子さんにできることが多く、お腹がはったり、お腹(とくに右上)が前にでてきたりといったことで気づかれることがほとんどです。また、熱が出たり、お腹を痛がることもあります。腫瘍が小さいうちは、症状はほとんど出ません。 診断 診断のためにはまず画像検査と血液検査が必要です。画像検査としては、腹部超音波検査、腹部CT検査、腹部MRI検査を主におこないますが、肺に転移を起こしやすいので、胸部CT検査もおこないます。血液検査として、血液中のアルファ・フェトプロテイン(AFP)の上昇は、診断にも、治療経過をみる際にも重要な検査です。 肝芽腫や成人型肝がんの細胞はこのAFPを産生しているからです。 最終的なしっかりした診断には、腫瘍の一部を切り取って(生検といいます)顕微鏡で詳しく調べることが必要です。この生検は、手術室で全身麻酔をかけた状態で、小児外科医がおこない、顕微鏡の検査は専門の病理医が担当します。 以上の検査から、腫瘍の種類(顕微鏡でみた腫瘍の顔つき)、腫瘍の広がり(肝臓の中でどれぐらい広がっているか、肝臓の外に顔を出しているか、肝臓の外のリンパ節に腫瘍が広がっているか、肺などの臓器に転移しているか)を判断して、治療方針を決めます。 治療 抗がん剤による治療(化学療法)、手術療法を組み合わせた治療をおこないます。一般的には、化学療法によってある程度腫瘍を小さくしてから、手術によって腫瘍を摘出します。腫瘍が小さく、肝臓の中での広がりも限られていれば、より多くの正常肝組織を残すことができ、より安全な手術をおこなうことができます。したがって、化学療法の強さや化学療法の期間は、腫瘍の広がりぐあいによって異なります。場合によっては、放射線科医により、腫瘍につながる動脈から抗がん剤を投与したり、その動脈を詰める(塞栓術)ことをおこなうこともあります。 この腫瘍は、手術で取りきることが治癒に一番近づける方法です。腫瘍の広がりによって、手術の仕方(術式)は変わってきます。腫瘍が大事な血管に及んでいたり、肝臓全体に広がっていると手術ができない場合もあります。最近では、通常の手術で腫瘍を取りきれない場合に、肝臓移植(どちらかの親をドナーとする生体肝移植が一般的です)という選択肢も考慮されます。 肺転移など肝臓から離れた場所に転移がある場合、根治は難しくなりますが、原発巣である肝腫瘍および転移巣を化学療法(大量化学療法を含む)でコントロールした上で、手術で摘出できれば、治すことも可能です。抗がん剤を大量に投与する大量化学療法は、進行性・難治性の腫瘍に対しておこなわれることもあります。 いずれにしろ、小児腫瘍を専門にした小児科医と小児外科医、加えて病理医や放射線科医の協力がしっかりとれている専門病院で治療をおこなうことが不可欠です。
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神経芽細胞腫は小児がんの中では脳腫瘍とともに白血病についで多く発生し、腹部悪性固形腫瘍のなかでは最も数が多い腫瘍です。年齢、病期(どれくらい転移しているか)、発生部位によって治療、予後が異なりますが、最近では、基礎研究も積み重ねられ飛躍的な治療成績の向上がみられます。 神経芽細胞腫の発生頻度は10000~13000人に1人の割合と推定されています。 つい最近まで生後6か月時のマススクリーニングがおこなわれ、約8000人に1人の割合で神経芽細胞腫が発見され、発生数そのものが増加していました。しかし、マススクリーニングで発見された症例の中には自然に治癒してしまうものもあります(特に1歳未満で発見された症例には自然治癒の可能性があります。)このような症例に手術や化学療法などの治療をするのは当然不要です。よって、マススクリーニングのあり方については現在さまざまな議論があります。例えば、大阪市以外の大阪府では1歳6か月時に現在もマススクリーニングを施行しています。1歳6か月時のマススクリーニングで発見された症例に関しては、基本的に手術を施行することになります。(おそらく今後は全国でも1歳6か月時にマススクリーニングを施行する方向になると思われます)また、マススクリーニングによって発見されない症例もあります。 症状・検査 腹部の腫瘤(かたまり)で発見されることや、顔面蒼白、貧血、食欲不振、眼球突出、歩行障害、下肢痛で発見されることもあります。診断は血液検査(NSEという腫瘍マーカーが上がっていることが多い)や、尿検査(VMA,HVAという腫瘍マーカーが上がっていることが多い)をし、手術で腫瘍を摘出、または生検(一部だけを摘出する)をすることによって決定します。 予後と治療 予後は病期や年齢、組織型によって異なります。一般に年齢が高いと予後は不良です。また腫瘍細胞にN-mycという遺伝子異常が多いと予後が悪いと言われています。病気の予後は病期によっても異なります。病期について簡単に言うと、病期1、2は手術で腫瘍が完全に摘出できる症例。病期3は転移はないが、手術で完全に摘出できない症例。病期4は転移がある症例です。病期が進んでいる(病期3、4)と予後は不良です。小児血液腫瘍医の出番は主に病期3、4です。 病期3であれば、まず診断のために腫瘍を生検し、診断確定後、化学療法を施行します。化学療法で腫瘍を小さくしてから、手術や場合によっては放射線治療も考慮します。
病期4でもまず診断のために生検し、診断確定後、化学療法を施行します。しかし病期3と同程度の化学療法では高率に再発するため、病期4に関しては4~5回の強力な化学療法を施行した後、当科ではアルケラン、テスパミンという抗がん剤を大量に使用する「大量化学療法」を施行します。その後、手術で小さくなった腫瘍を摘出します。場合によっては、放射線治療を併用することもあります。このように当科では、病期3,4の治療に関して、小児血液腫瘍医、小児外科医、放射線治療医が協力して治療にあたっており、一般的に予後不良といわれる病期4の治癒率も改善しています。 |
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