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バッハ:ヴァイオリン&ヴォイス ヒラリー・ハーン
ちょっと前にヒラリー・ハーンのヴァイオリンを取り上げた。今回もそうであるが、単なる偶然だ。演奏がいいのかもしれないが、そういうことではなくて、選曲が抜群なのである。ほかにこういう曲を集めたレコードは知らない。以前から欲しかったのに手に入らなかったのだから、他にはないのだろう。
アナログのレコードを、カセットテープに録音して聴いていた時代には、このように対局の中から、お気に入りだけを集めて作ったことはもちろんある。有名名曲の要となるアリアなどではなくて、そんなに目立たなくて、深刻でもない曲だ。作曲家も、ちょっとした気分転換のために入れているのではないかと思う素敵な小品だ。
「この曲は、コンサートでよく演奏していますが、メインとなる曲なんですか?」と聞かれたYMOの細野晴臣(だったと思う)はこう返答した「いや、捨て曲です」 そ、そうだったのか。長丁場のコンサートでは、全曲を全力で演奏していてはしんどいから、時間つなぎの楽に演奏できる曲を、本気で演奏する曲の間に入れるようなのだ。
まさかバッハが、時間を引き延ばしたり、音楽的な手抜きをするわけがないのだが、曲の雰囲気はだいぶ違って、爽やかな風が吹き込むような曲だ。カンタータ、ミサ曲、受難曲などに1曲か2曲含まれている。コーヒーカンタータや農民カンタータのメインの、「きょうのうちにも」というソプラノのアリアや、「おん身の栄え」というバスのアリアのような本格的な歌ではない。
小さめのソプラノまたはバスとヴァイオリンのための協奏曲といったところです。再度言うが、ヒラリー・ハーンのヴァイオリンであるが、そのてん特に感想などない。私としては、ヨハネ受難曲に好きな曲があるのだが、残念ながらそれは入っていない。マタイ受難曲からの一曲目、マタイはレコードでも実演でも何度も聴いたけれど、ここのところは、テンションとかテンポ、それぞれの演奏が全く違っていて、そのたびに驚かされる。
クリスティーネ・シェーファー & マティアス・ゲルネ & ヒラリー・ハーン & ミュンヘン室内管弦楽団 & アレクサンダー・リーブライヒ & Rosario Conte & Kristin von der Goltz & 北谷直樹
1. マタイ受難曲 BWV244から 第51曲 アリア<私のイエスを返してくれ!>
2. カンタータ 第140番≪目覚めよ、とわれらに声が呼びかける≫ BWV140から 第3曲 二重唱<いつ来てくださるのですか、私の救いよ>
3. カンタータ 第204番≪私は自分の中で満ち足りている≫ BWV204から 第4曲 アリア<この広い大地の宝が>
4. カンタータ 第32番≪慕わしいイエス、私の願いよ≫ BWV32から 第3曲 アリア<ここ、父の住み家に>
5. カンタータ 第205番≪破れ、砕け、こぼて墓穴を≫ BWV205から 第9曲 アリア<心地よい西風よ>
6. ミサ曲 ロ短調 BWV232から <私たちはあなたを讃美します>
7. カンタータ 第157番≪あなたを離しません、祝福してくださらなければ≫ BWV157から 第4曲 アリア<そうだとも、私はイエスに固くすがる>
8. カンタータ 第59番≪私を愛する人は、私の言葉を守るだろう≫ BWV59から 第4曲 アリア<すべての王国をもつ世も>
9. カンタータ 第58番≪ああ神よ、いかに多き胸の悩み≫ BWV58から 第3曲 アリア<私は苦難の中でも満ち足りている>
10. カンタータ 第117番≪讃美と栄光がいと高き宝にあるように≫ BWV117から 第6曲 アリア<慰めと助けは、いつかは必ず欠ける>
11. カンタータ 第158番≪平安がお前にあるように≫ BWV158から 第2曲 アリアとコラール<世よさらば、私はお前に疲れた>
12. マタイ受難曲 BWV244から 第39曲 アリア<憐れんでください>
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