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モーツァルト/歌劇『フィガロの結婚』 〜庭師は見た!〜 新演出
(全4幕・字幕付 原語&一部日本語上演)
東京芸術劇場コンサートホール 2015年10月22日、24日、25日
【指揮・総監督】井上道義 読売日本交響楽団 新国立劇場合唱団
【演出】野田秀樹
『フィガロの結婚』は、他のオペラに比べて、日本人キャストでも(歌は)見劣りしない傾向があるように思う。オケだって、ウィーンフィルなんかと比べなければ、美しく心に響く演奏をする。(こともあるような気がしないでもない)
私は、一部のオペラを除いて、原語でなければ受け付けないというわけではない。特に『フィガロの結婚』においては、日本のアマチュアオケであろうと、外来引っ越し公演であろうと感動することにおいて差はほとんどないと感じている。二回ほど日本語のみの公演も聴いたが、それはとても良かった。レコードでも何組かあるし、ザルツブルグ音楽祭その他の、ドイツ語公演もすばらしいと思う。(実のところ、英語だとダメだと思うが)
『フィガロの結婚』ぐらいになると、原語でもおおよその意味はわかるし、日本語で歌われても、日本語だということは半分ぐらいわかるが、意味は素直に入ってこない。音楽に無理に合わせるために、映画の字幕みたいに、不自然な言葉になっている。ドイツ語と同じようなもので、いつも聴いているのと音が違って新鮮味は感じる。
このような超名曲の場合、舞台は見たって見なくったって、演奏だけでも感動する。ほとんど日本人だと、体型が子供っぽくて変だったり、ようするに舞台がうっとおしくて見ていられない可能性もある。かつて小林秀雄が、オペラを見に行ったって、俺は目をつぶってる、なんて書いていた。だからレコードの名演で十分なんだと、言いたかったのだろう。
あらすじも音楽も分かっていない初心者や、普通の舞台に飽き飽きした何十回も見ている人には、あるいは興味深いのかもしれない。このように予防線を張っておかなければ、演奏はともかく、演出やルックスにガッカリすることが多い。モーツァルトの音楽を台無しにしていないだろうか。(他意はないが、宮本亜門もやってるしな)と、見る前には心配していたのだ。
結果的に、最初に出た男声ケルビーノ。カウンターテナーのマルテン・エンゲルチェズのケルビーノは、男性的見かけはともかく、声としては興味深いお試しだ。伯爵夫人は、NHKのマッサンに出てた、シャーロット・ケイト・フォックスばっかり連想して見ていた。ほめているのだ。
東京芸術劇場でのオペラ経験はとても良かった印象しかない。この劇場は比較的狭いので声がよく聞こえるし、舞台に近い席で聴くことができた。井上道義指揮の「トゥーランドット」とチョン・ミュン・フン指揮の「リゴレット第1幕」リハーサルである。レコードで聴くのとはまったく違う充実感。
今回の、井上道義指揮のゆったりとしたテンポも、読売日本交響楽団 、新国立劇場合唱団もよかった。だからこの公演、生で体験した人は、感動に包まれたんじゃないかな。
「めでたし」
おっと、スザ女は、バカ殿の優香姫そっくり。
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