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無敵艦隊(アルマダ)

サッカーが好きな方ならご存知かもしれませんが、サッカーのスペイン代表チームを「アルマダ」と敬意を込めて呼ぶことがありますよね。「アルマダ」とは、スペイン語で「艦隊」という意味ですが、この場合、16世紀ごろに世界最強を誇ったスペイン海軍の「無敵艦隊」を指しています。

16世紀、スペインは名門ハプスブルク家出身のフェリペ2世の統治下で最盛期をむかえ、「太陽の沈まない帝国」と呼ばれるほどの大帝国でした。フェリペ2世は、オスマン・トルコ帝国の海軍をレパントの海戦で破り、地中海の制海権を回復させ、ポルトガルの王統が絶えるとその領土を併合させるなど、スペイン史上最大の版図を築きました。このころのフェリペ2世は、得意の絶頂であったでしょう。これも無敵艦隊の功績によるところが大きかった言えます。

フェリペ2世個人は、熱心なカトリック教徒で、真面目で勤勉な性格だったようです。治世の多くを宮殿の執務室ですごし、政務に取り組んでいたようで、「書類王」とのあだ名があります。この人は、一時期、以前に紹介した「ブラッディ・マリー」こと、イギリス女王メアリー1世を妻としていました。これは政略結婚であって、二人は言葉すら通じ合わなかったようです。なにしろ、かの「ブラッディ・マリー」ですから、その恐妻家ぶりといったらなかったそうです。しかし、メアリー1世の病死によって、フェリペ2世の恐怖の結婚生活は終わりを告げます。もし、メアリー1世が死なずに二人に子供ができて、イギリスとスペインの両国を継承していたら、欧州全土を脅かす連合帝国ができていたことでしょう。フェリペ2世の私生活にとっては、悪夢としか言いようがないでしょうが・・・

とにかく、メアリー1世は病死し、その後をエリザベス1世が継ぎます。エリザベス1世とフェリペ2世は激しく対立し、フェリペ2世はエリザベス1世の王位をおびやかすべく、イギリスへの無敵艦隊の派遣を決定します。こうして、「アルマダの海戦」と呼ばれる戦いが起こりました。エリザベス1世は、フランシス・ドレークにイギリス艦隊を指揮させ、迎撃に向かわせます。フランシス・ドレークという人は、元は海賊で、私掠船団を率いて奪った財宝をエリザベス1世に献上し、爵位と提督の地位を得たという、なかなか面白い人物です。

アルマダの海戦の結果はと言いますと、無敵艦隊の惨敗でした。イギリス艦隊は、数では圧倒的に不利でしたが、戦艦の性能の良さで勝利できたようです。結局、スペインに帰還できた無敵艦隊の船は半数以下で、死傷者は二万人にもおよびました。本当に悲惨な状態だったようで、変わり果てた無敵艦隊の姿を見たフェリペ2世は、その場で失神して床に崩れ落ちたと言われています。

その後、フェリペ2世の死によって、スペインの強盛にも翳りが見えてきます。17世紀には、列強の進出により貿易の覇権を失い、国内産業も停滞し、国力は衰退していきました。スペインの最盛期は、無敵艦隊によってもたらされ、その敗北によって凋落の道をたどっていったとも言えるでしょう。

閉じる コメント(8)

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フランシス・ドレーク、面白そうな人ですね。サッカーはとっても好きですが、こちらの方に食いついてしまいました。中国では漢楚の時の彭越、日本では蜂須賀、九鬼なんかを思い浮かべてしまいます。

2005/10/12(水) 午後 11:20 [ sus*g*al ]

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そういえば、コロンブスもスペイン国王の支援で船出したんですよね。ちょっと時代は前か。スペインは凋落してしまったけれど、南米にいまだスペイン文化、スペイン語は健在ですね。

2005/10/12(水) 午後 11:51 [ tak**o38* ]

susuさん、コメントありがとうございます。普通、海賊といえば、捕まったら即刻縛り首になるほどの重罪なんですが、この当時、私掠船と言って、国が敵国の船に限って海賊行為を認めていた船がありました。まあ、国営の海賊と言えますね。目的は通商破壊で、そうやって敵国の貿易の足を引っ張っていたわけです。ドレークは、その私掠船を率いていたわけですが、他にも海賊で面白い人物がたくさんいるので、そのうち紹介したいです。

2005/10/13(木) 午前 0:16 [ ユウ ]

Takajoさん、コメントありがとうございます。コロンブスの後にも、マゼランがスペイン王を口説き落として、艦隊を与えられ、世界一周を成し遂げていますね。その後も、スペイン人のコルテスやピサロなんかが南米を侵略して、略奪と破壊を重ねて、マヤ文明、アステカ文明、インカ文明などを滅ぼし、南米に西欧文化をもたらしました。その功罪は別として、当時のスペインの勢いを物語っていますよね。

2005/10/13(木) 午前 1:01 [ ユウ ]

ほんとーにスペイン無敵艦隊は村上武吉一代記みたいな感じですね(笑)でも織田信長が本能寺で倒れなければ本宮ひろ志氏の『夢幻の如く』のよーな vs 織田水軍って IF もあったんでしょうか…

2005/11/9(水) 午前 1:25 まるこ

まるこさん、コメントありがとうございます。戦国時代の水軍同士の海戦も興味深いですよね。毛利方だった村上武吉率いる村上水軍は、織田家の九鬼嘉隆率いる九鬼水軍と戦っています。本能寺の変の前で、「木津川口海戦」と呼ばれています。村上水軍は、爆弾を投げ込んで船を焼くという戦法で最初は勝ちましたが、二回目の戦いでは、九鬼水軍の爆弾でも火のつかない鉄甲船の前に敗れ去っています。資金とアイデアの勝利ですね。

2005/11/9(水) 午後 11:21 [ ユウ ]

村上水軍の必殺技“焙烙”ですね!ちなみに1度目の木津川口海戦には九鬼水軍本隊は出動せず熊野水軍等周辺の海賊衆が主力となってますw正直鉄甲船のアイデアは世界初でしょうね!

2005/11/16(水) 午前 2:06 まるこ

まるこさん→あの村上水軍の戦法は、「焙烙」と言うんですね。たしか、砲丸投げのように敵船に爆弾をブン投げるという海賊らしい豪快な戦法だったと記憶しています。鉄を張った船というのは、信長のアイデアで、たしかに世界初の試みだったそうですね。まさに、「必要は発明の母」ですね。

2005/11/16(水) 午後 10:31 [ ユウ ]

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