|
仕事終わりの楽屋で来週のスケジュールの献立を聞く。
チーフマネージャー西尾の後ろに若手現場マネージャー野田が居るいつもの風景。
これがいつもと全く違う一日が始まるとは。
「来週の“めちゃ(イケ)”は両日とも有ります。で、金曜日がライブの取材が2本入りまして、もう1本が調整中でそのまま繋がって“ゴチャまぜ(毎日放送)”になります。でぇぇ、、。」
言いづらい仕事の時に言いづらそうな雰囲気を出すチーフマネージャー西尾。
日にちの先を見ると日曜日の“アッコにおまかせ!”“取材”の先、
翌月曜日に、
“ドラマオーディション”
と書いてある。
「何コレ?」
と聞く僕。
「ですよね。」
とマネージャー西尾。
「順番に説明して行こうと思ってたんですが、そんなお話がきましてぇぇ。」
説明しよう。
有野サンは映画やドラマの仕事が苦手である。
「うん。」
と明らかに不信感むき出しの相づちをうつ僕。
「面白そうなお話やったので、お受けしました!」
「え〜〜!!、、、嫌や!!」
と僕。
説明しよう。
有野サンは芸歴20年の中で数える位しかない俳優仕事が大の苦手である。
マネージャーの顔を、不信感まる出しで覗き込む僕。察するマネージャー。
「大丈夫です。そんなドラマドラマしたドラマじゃないですから。」
“ドラマドラマしたドラマ”て何や!
ドラマ班の人が聞いたら
“ドラマドラマしたドラマ”であろうと
“ドラマドラマしたドラマ”じゃなかろうと、怒らはるやろ!
不信感まる出しで次の質問を出そうとしてる僕を制して、マネージャーは、
「かなり面白いと思ってお受けしたので、内容とかは聞かないで当日楽しみにしてて下さい。」
と言われ、“グラントリノ”のイーストウッドばりに、
(ぐるるる)
と喉をならして我慢する僕。
西尾(マネージャー)の面白さ感知レーダーを信用してるのと、まあオーディションやし受からないやろうと思い。
「わかりやした。」
と、僕。
で仕事がバタバタで、そんなオーディションの話はすっかり忘れて、あっと言う間に当日。
オーディション会場である会社の養成所に行くと何だか松竹芸能の偉いさんがたくさん来てる。
そこで僕は、
(あれ?今日の仕事なんやったかな??)
説明しよう。
有野サンはたまに周りがビックリする位のもの忘れをおこす事がある。
その場に居た“室長”に
「今日何ですか?」
すると室長、(またまたあ)って顔で、
「今日、ドラマのオーディションじゃないですか。ほとんど決定なんで読み合わせもやりますよ。」
「あれ?俺それ聞いてへんで。」
説明しよう。
有野サンは稀にまわりがヒクくらいのモノ忘れをおこし、それをまわりのせいにする場合がある。
室長が、
「あれ?西尾から聞いてませんか?アイツからは有野さんオーケーでました!て言うてましたけど。」
「聞いてませんわぁ。だってドラマって分かってたら、僕ココ来てないですよね?」
と僕。
説明しよう。
まわりのせいにしてる時が今である。
それをヘラヘラ笑ってる
室長にイライラした僕がとった行動とは、
「帰りますわ。」
現場に居てたこの会話を聞いてないフリでバリバリ聞いてた会社の人間全員、
「え〜〜〜〜!!」
西尾を探す者。
ドラマの制作を探す者。
僕の顔を見てボケですよねと確認する者。
こうなったら止まらない僕。
「お疲れ様でしたぁ。」
全く疲れてないが、エレベーターホールに向かう僕。
呆然とする社員一同。
たまたま待機してたエレベーターに乗る僕。
閉まる扉。
滑り込みで入ってくる、野田マネージャー。
黙って下に降りるエレベーター。
五階を過ぎたあたりで野田が、
「有野さん、聞いてないってほんまですか?」
「うん。ほんまにアイツ俺に言うて確認とったか?」
ビックリして僕の顔見る野田。
という所で一階に着いたエレベーター。
開く扉。
中に居る僕らの降りるのを待つ、上に上がるスーツの人たち。
降りる僕と野田。
エレベーターに乗り込むスーツの人たち。
そのエレベーターの扉が閉まるのを確認して野田が喋り出す。
仕事の話をする時は、どこで誰が聞いてて、どこぞの何ぞの紙面に書かれる場合があるか分からんから、誰も居らん所でしましょう
てのが守られてる。
そして、さっきの質問である
ほんまにアイツ俺に言うて確認とったか?
の答えが野田から言われた。
「ラジオの現場で西尾さんが有野さんに話してはりましたよ。」
「嘘やろ?」
と僕。野田が続ける。
「西尾さん、有野さんが帰りはった後、良かったぁ。話す順番考えてたのがグチャグチャになったけど、受けて貰えたわ。良かったぁ。
って喜んではったんすよ。」
で思いだした僕。
「あ!そんなん言うてたな。」
そうかそうかとまたエレベーターホールに向かう僕。
「まだ間に合うかな?」
と聞く僕。
「待ってはりますよ。」
と言って野田がエレベーターを呼んでくれた。
僕を見送る野田。
下に残った野田が電話をかけたんやろう。
上に着くと西尾が待ってた。
「すんませんでした。昨日の時点で今日の仕事の確認しといたら良かったですね。」
先に謝ってくれるから、コッチのミスでも話しやすい。
「いや俺のせいやわ。ややこしなってスマンね。まだ間に合うかな?」
「ついさっきから、読み合わせが始まってますよ。」
遅れを取り戻す為、歩きながら、台本を読もうとする所で中に居る共演俳優に気がついた。
出川サンや!!
何で?
出川サン何でヒヨコの格好で本読みしてるんや?
って疑問を察した西尾が、
「こういう舞台なんですよ。」
え〜!それどんなテレビドラマ?。
「いえ、テレビじゃなくて舞台です。」
お前“ドラマオーディション”て言うてたし、
舞台って何や!?
何で出川サン下半身ヒヨコやねん!?
とたくさん質問をなげかけてると、中の出川サンが、
「やっと来ましたよ!今回の主役が〜!!」
え〜!しゅやくぅ!?
って所で目が覚めた。
そう!
夢オチ
て話が、実際におきた。
そらそうや。野田は今よゐこサン担当じゃないしな。
子供に連れていかれたとは言え、夜10時に寝ると、変な夢みてまうなぁ。
変な汗かいてて、何か寝られへん。
良かった部分と、惜しかった部分とある夢やなぁ。
|