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映画は言うに及ばず、TVのドラマでも実に沢山放映されました。一体どうしてこう人気が有ったのか?所謂チャンバラ映画の範疇で見るには少し物足りない感じがしなくもない。
やはり黄門さんと同じように勧善懲悪の教えや、難しい事件を次々と解決して行く痛快さが受けたのでしょうか。
殿様、奉行、与力、同心、目明しと子分等が随分活躍をして、今もその機運は絶える事が有りません。
佐々木味津三の原作「右門捕物長」は「鞍馬天狗」と並んでアラカンさんの十八番。実に
35本も作られました。このむっつり右門は親代々同心の身分で、錣正流居合い斬りを使い、柔術は草香流の名人と言う事になっています。奉行所に勤めて半年も誰とも口を利かなかったとか。つい最近「右門捕物長 まぼろし変化」と言うのを見ましたが、大勢の敵に取り囲まれてもバッタバッタと切り倒す。勿論、柔も使い突き身を入れると、大立ち回り。子分はおしゃべり伝六、ライバルに村上敬四郎事あばたの敬四郎。後に東映では大友柳太郎がやりました。あば敬を進藤英太郎さんがやっていました。
次に有名なのが岡本綺堂原作の「半七捕物帖」
十三才の折親父を亡くし、堅気を嫌って神田の岡っぴき吉五郎の子分になった。
活躍の時期は天保12年頃(1841年)からといいますから、徳川家慶の御世水野忠邦による改革が始まった頃。しかし、映画の世界では余り活躍出来なかったようで、片岡千恵蔵御大の「半七捕物帖 三つの謎」位で、長谷川一夫の半七でTVで放映されています。
そして大抵の人が一度は見た事が有るのではと思われる、野村胡堂原作の「銭形平次捕物控」オ−ル読み物に実に383話連載されたそうですから、いかに人気が有ったか、当然これを映画にしない手はない。長谷川一夫としてはシリ−ズ最長の18本が作られました。最近亡くなった清水昆監督で「青春銭形平次一番手柄」なんてものも有りますが、大大谷友右衛門(中村雀右衛門)の平次。
これは興業的に失敗だったのか一本のみ。
そして大川橋蔵さんの「銭形平次」昭和42年(1967)に奇しくも橋蔵さんの最後の東映映画と言う事になっていますが、さわりを見た感じはどうやらかくして銭形平次誕生
と言うものらしく、全編観終ったら書かせて貰う事にしたいと思っています。
しかしこの後18年間888話TVでの放映が続く事になるのですから、さすがの平次親分も予測しなかった事でしょう。
TVの放送が終了したその年、余りにも若い55歳で亡くなってしまいました。
映画の橋蔵さんには城昌幸原作「若様侍捕物帖」のシリ−ズが10本有ります。
更には横溝正史原作の「人形佐七捕物帖」が若山富三郎で新東宝、東映で11本。
アラカンさん、小泉博、一本づつ、中村竜三郎で二本と15本が作られています。
他にも佐々木味津三の原作「旗本退屈男」殿様探偵も相手が大名、老中、家老と大物相手だけに右太衛門御大の独壇場。21本。この人は諸羽流青眼崩しの達人で、直参旗本1200石取りの殿様です。カラ−に成ってからの着物の派手な事。そして高笑い。実に痛快そのものです。
手薄な松竹の時代劇スタ−の中で大活躍をした高田浩吉の当たり役といえば「黒門町の伝七」シリ−ズを11本。これは野村胡堂を会長に発足した「捕物作家クラブ」斯界の大御所を総動員しての連作で、TVでは中村梅之助でした。獅子っ鼻の竹の伴ジュンさんが絶妙。福田公子、月丘夢路、草笛光子と女房役お俊は三度取替えています。
映画より寧ろTVの連続ドラマで番組を賑わしたものに遠山の金さん、大岡越前守、長谷川平蔵等が有りますが、金さん映画では片岡千恵蔵御大の1950年の「いれずみ判官 前/後篇」1960年「ご存知 いれずみ判官」1965年、鶴田浩二の「いれずみ判官」
辺り。白州に出てとぼける悪人に町人に成り済まし、事の成り行きを調べ尽くした金さんには叶いません。片肌脱いで桜吹雪をいれずみを見せられるに及んで、見覚えの有るいれずみに最早シラを切る事も出来ない。これにて一件落着という塩梅。この金さんのいれずみの真意の程は解らないようですが、女の生首のいれずみだったと言う説もあって、こちらの金さんも見てみたいものです。遠山金四郎景元。
もう一人の大岡越前守忠相。映画では大岡政談。いずれも副題が付いていますが、新東宝で二本、日活で一本。松竹で一本、東映で五本。昭和5年に作られた伊藤大輔監督、林不忘原作日活映画、「魔像」大河内伝次郎の作品が迫力満点、面白いらしのですが、残念ながら未だ見たことが有りません。神尾喬之介が職場で虐められ、自分を虐めた十数人の首をぶった切る日頃の鬱憤を晴らすという、今でいうハ−ドバイオレンスだと言う事らしい
のですが。
長谷川平蔵については比較的新しいので、ここでは控えます。
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