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フランスは思うに、自由平等の気ちがい病院というべきで …… これがフランスの短所であり、長所であり、困難であり、幸福である。

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ルイス・ブニュエル
Luis Buñuel
1900、カランダ(スペイン) - 1983、メキシコ

すばらしきシュルレアリスムの映画人
『アンダルシアの犬 Un chien andalou 』(1928年)から『欲望のあいまいな対象 Cet obscur objet du désir 』(1977年)まで、まったくその個性を放棄することなく、と同時に、シュルレアリスムのラインから一度も逸脱することのなかった人物。

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半世紀にわたりほぼ途切れることなく続いたこの映画創作活動の出発点は、今日よく知られている。

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マドリードでのガルシア・ロルカとの、ダリとの交友、短編映画の案をダリと共同執筆、ブニュエルの母からの経済援助をうけ、パリでの映画制作。

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映画『アンダルシアの犬』がシュルレアリストたちに当初歓迎されない可能性があったことはあまり知られていない(ブルトンはブニュエルとダリがそのシナリオを『ラ・レヴュー・デュ・シネマ La Revue du cinéma 』誌に掲載させたことが非常に不快であった)。
しかし、ひとたび映画が上演されるや否や、グループ全員が熱狂した。

映画『黄金時代 L'Âge d'or 』(1930年)、この長編トーキー映画の封切が極右勢力に妨害されただけに、また当時の警視総監シアップ Jean Chiappe が上映禁止の処置を講じたがために、熱気はさらに高まった(上映禁止は半世紀続いた)。

これら初期の2作の映画(とりわけ後者はシュルレアリスム・グループに長文の宣言ビラを書かせた)、これらでブニュエルの栄光には十分足りうるものであったかもしれない。
ときに『糧なき土地 Terre sans pain (原題 Las Hurdes )』(1932年)がつけ加え得る。
ピエール・ユニックの協力をうけ、スペインのさびれた一地方で撮られた社会ドキュメンタリーである。

■ 亡命
スペインの共和主義者に組みし、敗北後アメリカに亡命、数年間そこで細々と暮らし、最終的にメキシコに定住する。
この地で1945年から映画制作を再開し、立ち戻りつつある以前の不穏なインスピレーションは、映画『忘れられた人々 Los Olvidados 』(1950年)以降、華々しく復活する。

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■ 輝かしい帰還
すぐに獲得した名声がブニュエルにヨーロッパに戻っての撮影を許し、彼の最もすぐれた映画のいくつかが制作される―― 『ナサリン Nazarin 』(1958年)、『ビリディアナ Viridiana 』(1961年)、とりわけ『皆殺しの天使 L'Ange exterminateur 』(1962年)。

若き頃の感性に衰えのないことは晩年の作品群が証明している―― 『銀河 La Voie lactée 』(1968年)、『ブルジョワジーの秘かな愉しみ Le Charme discret de la bourgeoisie 』(1972年)、『自由の幻想 Le Fantôme de la liberté 』(1974年)、『欲望のあいまいな対象 Cet obscur objet du désir 』(1977年)。

たしかに初期のフィルムとはいく分異なり、たえず鋭利であっても、不調和な部分がより少なくなっている。
しかし、にこやかで鎮静されたシュルレアリスムがそこには認められる。

Références:
Luis Buñuel, Mon dernier soupir, rééd. Ramsay-Poche 1986.

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一時的に『ラ・ガセタ・リテラリア La Gaceta Literaria 』誌の映画評論家であったブニュエルではあるが(1927-1928)、ひとたびシュルレアリストになると、グループの雑誌にはあまり寄稿しなかった。
それでも『シュルレアリスム革命』誌は『アンダルシアの犬』のシナリオや、愛に関する質問へのブニュエルの回答(第12号、1929年12月15日)を掲載した。
また『革命に奉仕するシュルレアリスム』誌(第6号、1933年5月15日)は、シナリオでない奇妙なテキスト「麒麟 Une Girafe 」をのせている。

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映画『黄金時代』はひとつならず、ふたつもシュルレアリストたちに共同文書を書かせている。
ひとつは、1930年11月、映画館「ステュディオ28」のプログラムレビューに掲載された非常に長い宣言。
もうひとつが1931年1月、愛国者同盟と反ユダヤ同盟による劇場の破壊と映画の公開禁止処分のあと、「『黄金時代』事件 L'Affaire de L'Âge d'or 」と題された、証拠写真入りで事件の事実とその結果を説明、告発する2枚綴りのビラである。

Références:
Numéro spécial « L'Âge d'or » desCahiers du Musée nat. d'Art moderne correspondance Luis Buñuel-Charles de Noailles (1929-1976), éd. du Centre Pompidou, Paris, oct. 1993.




日本アートNipponArtでは、 Alain et Odette Virmaux, Les Grandes figures du surréalisme international, Bordas, Paris, 1994.を「シュルレアリスム人名事典」と題して翻訳中です。あくまでも、ご参考までに。

今後とも日本アートNipponArtをよろしくお願いいたします。
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