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フランスは思うに、自由平等の気ちがい病院というべきで …… これがフランスの短所であり、長所であり、困難であり、幸福である。

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マン・レイ
Man Ray
1890、フィラデルフィア - 1976、パリ

倦むことのない発明家
画家としてではなく、写真家として栄誉を得た、デュシャンの好敵手。
また、彼の映画は前衛映画の歴史に刻まれる。

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本名エマニュエル・ラドニツキー Emmanuel Redensky 。
彼の最初の使命は画家であり、何よりもまず画家を自認した。
しかしむしろその名声は、写真家に、付随的に映画監督に認められた。

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最初の絵画作品をニューヨークで出展した後、1914年、この地でピカビアデュシャンに出会う。
彼らには多大な影響を受け(とりわけ後者)、デュシャンとともに『ニューヨーク・ダダ New York Dada 』誌(ただし1号のみ)を刊行し、「レディ・メイド ready-made 」の流儀で構想された最初のオブジェを発表する。
もっともよく知られたもののひとつに、『贈り物 Cadeau 』と題した(底に釘を一列に貼り付けたアイロン)作品がある。
きわめて創意に富んだ精神で、1920年ごろには吹付け塗装ともいうべき「アエログラフ aérographies 」を実践することを思いつく。

■ ダダを通過して
1921年7月、パリに到着。
デュシャンによってパリのダダイストたち(アラゴンブルトンエリュアール、フランケル、リゴースーポー)に紹介された彼は、ただちに仲間に加えられる。
シス書店〔「リブレリー・シス」、フィリップ・スーポー夫妻がオープンした、画廊としても使用された書店〕で彼の展覧会が開かれる。
必要に迫られて(彼の作品は売れなかった)、また彼の着想のひらめきが彼を写真へと向かわせ、またたく間に名声を獲得する。
彼の「レイヨグラム rayogrammes 」は絶賛された。

絶えずダダの精神にあって、いくつもの実験映画を制作する。
『理性の回帰 Retour à la raison 』(1923年)、『エマク・バキア Emak Bakia 』(1926年、ジャック・リゴー出演)、『アネミック・シネマ Anemic Cinema 』(1925-26年、マルセル・デュシャンに協力)、デスノスがシナリオを書き、もっともシュルレアリスム的と多く評された作品『ひとで L'Étoile de mer 』(1928年)。

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■ シュルレアリスムに組み込まれ
実のところ、1924年以来、ブルトンはマン・レイを「組み入れた annexé 」〔annexer には、「併合する」「丸め込む、籠絡する」などのニュアンスがある〕。
運動(とりわけその政治選択)への賛同は全くなかったが、彼はほぼすべての運動の展覧会に参加、『シュルレアリスム革命』誌への協力、友人たちの作品に挿絵を描く。

戦争が起こると、アメリカに戻り、以後そこに10年とどまり、絵画に立ち戻る。
しかし、またしても成功は彼から逃れていく。

1951年にパリに戻り、その死まで、気まぐれとユーモア(1958年には青く塗ったフランスパンを『パン・パン Paint peint 』〔「塗られたパン」の意〕のタイトルで制作)に導かれるままに、写真、絵画、オブジェ制作のあいだを代わる代わる実践する。

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彼とシュルレアリストたちのあいだには、いかなる緊張関係も存在しなかった。
彼は1972年に「私は彼らを信用し、彼らは私を信用した」と述べた。
彼は教義よりも、分かち合う友情、歓び、自由によって彼らと結びついていた。

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1935年夏、エリュアール、ブルトンとともにリーズ・ドゥアルムのランド地方の別荘に招待された彼は、彼らの協力を得て、シュルレアリスム的短編映画の制作に着手する。
しかし、ブルトンの手に負えない機嫌によって撮影は即中断された。
1991年にポンピドゥー・センターで開かれた「アンドレ・ブルトン展」のエンブレムにもなった、額に大きなトンボをのせたブルトンの写真は、この冒険の痕跡を想起させるほぼ唯一のものである。

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Référence:
『マン・レイ自伝 セルフポートレイト Autoportrait 』, R. Laffont, 1964. 再版:1986.




日本アートNipponArtでは、 Alain et Odette Virmaux, Les Grandes figures du surréalisme international, Bordas, Paris, 1994.を「シュルレアリスム人名事典」と題して翻訳中です。あくまでも、ご参考までに。

今後とも日本アートNipponArtをよろしくお願いいたします。
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