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もはや自らを軽蔑することができないような、もっとも軽蔑すべき人間の時代が来るだろう。

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ジャック=ベルナール・ブリュニウス
Jacques-Bernard Brunius
1906、パリ - 1967、エクセター(イギリス)

シュルレアリスムの、映画の万能家
俳優業からコラージュ制作までこなすも、刻印を残すに無頓着、長く世に埋もれた存在であった。
今こそこの誤りを正そう。

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英国シュルレアリスムの指導的人物。
フランスでは、よほどの映画好きでもなければ知られていない。

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『ランジュ氏の犯罪 Le Crime de M. Lange 』(1935年)、『ピクニック Une Partie de campagne 』(1936年)など、ジャン・ルノワールの映画作品や、プレヴェール兄弟の『仕事は上々 L'Affaire est dans le sac 』(1932年)での、忘れがたいイントネーションで「フランスのベレー帽 un béret français 」を要求する男役など、風変わりな役回りで記憶に残っている。

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映画を別にすれば、ごく最近まで、彼についてはほとんど何一つ知られてはいなかった。
幸いにも、Lucien Logette の、Jean-Pierre Pagliano の研究が、ブリュニウスその人の多様な顔と活動 ―― 詩人、文章家、翻訳家、コラージュ作家、映画人、ラジオ人、テレビ人 ―― を浮き彫りにした。

「業績 œuvre 」を築くことはほとんど気にかけず、散逸は避けがたいものと甘受した彼の生涯に、一応の一貫性を与えるならば、それは彼のイギリスへの移住、1940年からのことになる。
彼はその死まで、E・L・T・メゼンスとともに、英国シュルレアリスムの推進者のひとりとなる。
それでも(『大いなる賭け Grand Jeu 』誌のアンドレ・ドゥロン André Delons を介して知り合ったプレヴェール兄弟のように)パリの友人たちと交流を保ち、1936年から戦後まで、シュルレアリスムの雑誌やビラに協力することに変わりはない。

彼は1950年代、60年代、エドゥアール・ジャゲールの「ファーズ Phases 」の冒険に参加した。

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■ 明らかになる生涯
離反者ではまったくなかったが、ブリュニウスはそのバイリンガル性や、数多い平行した人生によって、シュルレアリスムの中核のほぼ余白に絶えず位置づけられた。

彼は駆け出しの頃に、多分に神話的な、しかし両義的なタイトルの短篇映画『彼女はビシミディヌだ Elle est bicimidine 』を制作したとされてきた〔ネガは残念にも破棄された〕。
そして彼は生涯にわたって偽名を用いた(本名はジャック=アンリ・コタンス Jacques-Henri Cottance であった)。

彼の個性のより重要な特徴は、ユーモアと、知的探求を、発見を絶えず求める意識であった。
郵便配達夫シュヴァルとその「理想宮 Palais idéal 」の第一発見者は彼であった。

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多岐にわたった生涯が終り、彼の無名であるとともに有名でもあるという、この無謀な試みは成功したといえるだろう。

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彼はルノワールやプレヴェール兄弟だけの俳優ではなかった。
俳優業としてのキャリアは1965年まで辿れるであろう。
当たり役のひとつに、ラオール・ウォルシュ Raoul Walsh 監督、イヴォンヌ・デ・カルロ Yvonne de Carlo 、ロック・ハドソン Rock Hudson 出演、映画『海賊船シーデビル号の冒険 La Belle Espionne (原題:Sea Devil)』のフーシェ Fouché 役がある。

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Référence:
Jean-Pierre Pagliano, Brunius, éd. L'Âge d’Homme 1987.

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* Jacques-Bernard Brunius は、ジャック=B・ブリュニウス(『シュルレアリスム(人文書院)』)、ジャック・ブリュニュス(『ダダ・シュルレアリスムを学ぶ人のために』)、J=B・ブリュニュス(『アンドレ・ブルトン伝』)、J・B・ブリュニウス(『シュルレアリスムの20年』)、また英語読みでブリュニューとカナ表記され、必ずしも表記は定まっていない。




日本アートNipponArtでは、 Alain et Odette Virmaux, Les Grandes figures du surréalisme international, Bordas, Paris, 1994.を「シュルレアリスム人名事典」と題して翻訳中です。あくまでも、ご参考までに。

今後とも日本アートNipponArtをよろしくお願いいたします。
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