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フランスは思うに、自由平等の気ちがい病院というべきで …… これがフランスの短所であり、長所であり、困難であり、幸福である。

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アルベルト・ジャコメッティ
Alberto Giacometti
1901、スタンバ(スイス) – 1966、パリ

現実の彼方で施された彫刻作品
シュルレアリスムはこの絶対の探求者にとってすぐに追い越せれる一段階にすぎなかったであろう。

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壮年期において画家であったにもかかわらず(彼の父も画家であった)、彼に名声をもたらしたのは彫刻であった。

当初、アントワーヌ・ブールデル( Antoine Bourdelle 1861-1929 フランスの彫刻家、ロダンの弟子)の門下であった。
キュビスムの影響を、ついでアフリカ美術やギリシャ美術の影響をうけた、彼自身、暗中模索のおのれの進む道を探す不確かな時期である。

シュルレアリストたちとの出会い(1930年頃)が、彼をこの危機から救い出す。
彼は最初の「象徴的機能をもつオブジェ objet à fonctionnement symbolique 」を創り出す ―― 『痕跡の時間 L'Heure des traces 』、『宙づりの球体 La Boule suspendue 』(1930年−1931年)。

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数年間、彼は一心にグループの生命に参加し、彼の主要作品の多くがこの時期に制作された。
例えば『見えないオブジェ L'Objet invisible 』については、ブルトンは『狂気の愛 L'Amour fou 』のなかでその生成過程を物語ることになる。

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■ 豹変
しかし突然、1935年、ジャコメッティはシュルレアリスムに背を向け、(彼自身、以後「完全な行き止まり une impasse totale 」と見なす)彼の作品がもたらしたものを全否認し、リアルさの研究に回帰する。

リアルなものならば、どのようなものでもよかったわけではあるまい。
実際、ますます余分なものがそがれ、やがて糸のように細くなり、最終的に彼の絶対の探究にかなった人物群の彫刻作品にとりかかる。

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戦後、変化が実存主義者たちの、ジュネの、ピカソの友情を、また大きな成功を彼にもたらす。

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当然シュルレアリストたちは、彼らにキリコのそれを想起させたこの豹変に対して厳しい態度を示し、デビュー当初のアカデミズムへの回帰と解釈した。

しかし、訣別は音もなく生じ、またジャコメッティもグループの友人たちとの交遊は続け、彼の彫刻作品は1935年以後も大きなシュルレアリスム国際展には継続して出品された。

■ 訣別のむこうにある忠節?
1945年以降、デッサンやタブロー(グレーの単色、線の、洗練された、ほとんど肉を削り取られた)などの絵画表現へと回帰するが、彫刻家としての彼の作品を時間的に引き延ばしたと指摘されよう。

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シュルレアリスムの時代は、ジャコメッティの変遷にとっては、いちステップに過ぎなかったであろうが、本質的なステップである。
生涯を通じ、感じることのできない「本当のリアリティー vraie réalité 」を、まったくシュルレアリスム的方法で、独自に追究したと言えよう。

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ジャコメッティはバタイユ、シャールエリュアール、そしてブルトンにも、その著作に挿絵を寄せている。

つぶさに調べれば明らかになるが、ジャコメッティがときに彼自身そのシュルレアリスト時代をはげしく否定的に判断したことを(彼は「大惨事 catastrophique 」とまで言う)、深刻に受け取る必要はない。
その自己破壊的な性格は、創作になかば絶望したような形態(フォーム)と関連づけられるべきものである。

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Référence:
・J. Dupin, Alberto Giacometti, Maeght Paris 1962.
・Nº spécial « Giacometti » des Lettres françaises ( Textes d'Aragon, Leiris, Matisse, Prévert, Sadoul... ), 20/1/1966.
・Catalogue de l'exposition Giacometti au Musée d'Art moderne de la Ville de Paris, éd. Paris-Musées 1991.




日本アートNipponArtでは、 Alain et Odette Virmaux, Les Grandes figures du surréalisme international, Bordas, Paris, 1994.を「シュルレアリスム人名事典」と題して翻訳中です。あくまでも、ご参考までに。

今後とも日本アートNipponArtをよろしくお願いいたします。
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