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俺は両手のひらを上に向け、外国人がやるように肩をすぼめて、ため息をつき、家計簿を閉じた。
今月も赤字である。
もう金輪際、女の誘いは受けないと心を固くし、ネットフリックスでアニメを見ていると、ラインの通知があった。
後日、俺はチョークストライプの入ったブラック・フラノのスクールジャケットを羽織り、ゴディバのレジェンデール(16個入)を御持たせとし、那賀川方面のバスに乗り込んでいた。
彼女曰く、いつも通勤で通る道に、新しいイタ飯屋が出来たらしい。
俺が優柔不断なのではない。
近所に新しくイタ飯屋を作るやつが悪いのだ。
世の中は悪人ばかりとジャン・ジャック・ルソーも言っているではないか。
一方で俺は、悪い意味で良いやつだ。
普通に「いいひと過ぎる」という理由で、フラれるくらいだ。
これを女たちに話すと「ああ、わかる」という。
わかんねーよw
長所じゃねーのかよ。
というわけで、俺たちはワインリストを挟んで対峙した。
いつもなら、一万円のフェッラーリを即決するのだが、ここは様子見でトスカーナIGTの白ワインにした。
乾杯の時に「お誕生日おめでとう」と俺は言ってチョコレートを渡した。
もっとも、再来週なので、少々フライングではあるが、サプライズは計算済である。
わずかに蜂蜜、花っぽくも樽っぽくもあり、酸は控えめでどの食事にも合いそうだ。
メニューはもちろんコースである。
アンティパストでまずは生ハムの盛り合わせ。
三種類ともイタリアものらしく、サラミが特においしい。
続いて、盛り合わせ。
これはマグロのカルパッチョの酢加減が良かった。
この段階で分かったことは、基本に忠実な、クラシックな北イタリア料理であるというのと、田舎にしては、まあまあのクオリティであるということだ。
プリモ・ピアットは魚から。
鯛のポワレで、ジュのソースがかけてある。
極めて薄味で、素材のおいしさを伝える一皿だ。
あえて難を言うなら、皮目をもっとパリッと焼いてほしかった。
パスタは牡蠣のトマトソース。
「今度牡蠣小屋につれてってよ」
「俺はあしながおじさんでも、サンタクロースでもないぜ」
と心で思ったが、口の方が先に動いた。
「もちろんさ」
メインは選べたので、こちらはラムのグリエ、彼女は和牛のロテにした。
俺が「ラムこそ肉の王」である事を熱く語っていると、食べたことないというので、一切れずつを切って交換した。
ドルチェは、乾杯を聞いたシェフから、プレートにメッセージ付きのもりあわせ。
グッド・ジョブである。
せっかくなので、シャンパーニュで乾杯したくなったので、近くのバーへ。
夜はこれからであった。
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おお、スタンダードのモエとは、むしろ珍しい?
そろそろ、牡蠣小屋の季節ですなぁ〜。。。
2018/11/25(日) 午後 11:14
> トリトンさん
田舎のバーには、これくらいしかないのですよ。
まずは牡蠣小屋ツーリングです。
2018/11/26(月) 午後 0:10