パパの人のブログ

アーサーです。お布団を食べる友の会会長Pでもあります。

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あなたの心に虹の橋を架けて 前編

今日も私は自室のベッドの上で目を覚ます。
パパが部屋まで私を起こしに来る足音で目が覚めてしまうのだ。
ドアがノックされる。

「ソワカ、起きてるか?」

起きてるよ、おはようと短く返して私はベッドから降りる。
いつも通りの朝だ。

パパが作ってくれた朝食を食べる。食器を洗うのは私の仕事だ。

「それじゃ、パパは仕事に行ってくるからな。出かける時はきちんと鍵を掛けてから行くんだぞ」

私が片付けを始める頃にパパは会社に行く。
パパは普通のサラリーマン。なのに何故か頭はスキンヘッド。スーツにスキンヘッドは変だと思うんだけど、パパは私が覚えている限りずっとスキンヘッドで生活している。
小さい頃にパパに聞いたことがある。
どうしてパパはお坊さんでもないのにつるつる頭なの? と。

「う〜ん、何でだろうなァ? パパも忘れちゃったな。でも楽なんだぞ。ソワカもつるつる頭にするか?」

可愛くないからヤダ! 私はそんな風に答えた。今考えると上手くはぐらかされた気がする。何故パパがスキンヘッドにこだわるのかは結局今でもわからないままだ。

そんなことを思い出しながら洗いものを終えた私は部屋に戻り支度をして学校に向かった。

 * * *

やっぱり今日はいつも通りの一日。
学校からの帰り道を友達と話しながら歩いていた。
商店街のおもちゃ屋さんの前を通り掛かった時、おもちゃを買ってと駄々をこねる子供と困り顔の母親がいた。
友達もそれに気付いたらしく、くすりと笑って

「私もあんな風にお母さんに駄々こねたなあ…」

と言った。しかしすぐに「しまった」と言うような表情になったかと思うと私に謝ってきた。
私には母親がいない。私がまだ幼い頃に事故に遭って死んでしまったらしい。パパにママがどんな人だったか聞いてみたことがあるけどパパは一言「腐った女」と言うだけだった。
随分ひどい言い草だと思ったけど、パパが酔っ払って寝てしまった時に寝言でママの名前を呼んでいるのを何度も聞いたことがある。
きっと、まだパパはママのことが好きなんだろう。だからママが自分より先に死んでしまったことが許せないんだと思う。今はまだパパは自分が辛いから話したくないんじゃないかな。
だけど、ママの話をパパがしてくれないのは少し寂しい。

「ごめんねソワカちゃん…私…」

友達――あいちゃんは大きな瞳に涙を浮かべて私に謝っていた。
いいよ、私は気にしてないよと笑顔で言った。釣られてあいちゃんも少し笑う。
やっぱりあいちゃんには笑顔が似合う。あいちゃんは私の一番の友達だ。小学校からの付き合いで大きな瞳がチャームポイント。
陰で男子には「眼球たん」なんて呼ばれてひそかに人気があるらしいが、それも頷ける美少女なのだ。
ほら、行こう、と歩き出したところであいちゃんは地面に何もないのに転びそうになる。ちょっとドジなのがたまにきずだ。いや、寧ろそういうところも可愛いのか。
慌てるあいちゃんが何だか可笑しくて、私は大きな声で笑ってしまった。あいちゃんは顔を真っ赤にして私を叩く。いつも通りの光景だ。

「わたしこっちだから…じゃあね、ソワカちゃん」
「うん、また明日ね!」

あいちゃんと別れた私は一人で歩いていた。最近なんだかとても楽しい。平凡な毎日がとても幸せに感じるのだ。

今日の食事当番は私だったことを思い出す。夕飯は何がいいかな。この先にはコンビニがあるけど、コンビニ弁当にしたらパパ怒るかな?
そんなことを考えながら歩いていると、コンビニのドアが開いて少年が出てきた。
何だかひどく奇妙な恰好をした子だ。私より一、二歳ほど年下だろうか、パパ以外には滅多に見ないスキンヘッドにフードのついた淡い緑色の服を着ている。私が特に違和感を感じたのは彼の口元から出ている“何か”だ。
どう表現すればいいのだろう。センサーのようなパーツが三本立っている棒が口から出ているのだ。アクセサリーの類だろうか、世の中には変わった人がいるものだ。
まじまじと見詰めていたが、少年は私に気付かなかったようだ。他人から好奇の目で見られることには慣れているのだろうか。
まあいいや、帰ろうと歩き出したが、何だか変な感じは消えなかった。初めて見たはずなのにどこか懐かしいような…。でも私のこの十数年の人生においてあんな妙なもん口にくわえてるやつなんか記憶にない。
違和感を感じたまま私は家に帰った。

 * * *

「ちょびっと私用でチベット修行に行くので帰りは遅くなります><;
ご飯は一人で食べてね パパ」

パパからのメールが来ていた。こういうふざけたメールが来る時はたいていパパは酔っ払って帰ってくる。
この前は「フォーク並びを徹底できない人々に説教するので遅くなるよん」なんてメールが来たし、その前は「気が付いたらムントリャサ通りに一人佇んでいました。今から急いで帰りますがきっと遅くなります。これからも4649」だった。よくあんなわけのわからない文章を次々思い付くものだと感心する。隠れてマリファナか何かやってるんじゃないかと時々不安になる。

一人でコンビニ弁当を食べていると、さっき見た少年のことが頭に浮かんだ。
初めて会ったはずなのに、鮮明にその姿が思い出せる。それどころか笑った顔や泣いている顔、聞いていないはずの声まで…。
やっぱりどこかで会っているのだろうか…。
ぐにゃぐにゃと考えていたら気分が悪くなってきたので、戦略的(ストラテジック)に判断停止(エポケー)しようとしたものの、モヤモヤした気持ちが晴れないまま私は眠りについた。

「ソワカ、起きなさい。朝ごはん出来てるぞ」

パパに起こされて目が覚めた。あれ? そんなに深く眠っていたのかな? 何か夢を見ていたような気もするけど…。

「珍しいな。ソワカが起こされるまで寝ているなんて」

パパがニヤニヤしながら言う。
昨日は色々考えていたら眠れなくて…なんて答えたが、嘘だ。昨日は比較的早く寝たはずだった。

朝ごはんを食べて片付けようとすると、パパが手伝い始めた。

「たまには一緒に駅まで行こうと思ってな。いいだろ?」

パパがそんなこと言うのは初めてだった。

「私はいいけど、会社は大丈夫なの?」
「大丈夫さ。そんなことよりソワカ。昨日は何を考えていて眠れなかったんだ?ま、まさか好きなやつでもできたのか!?」
「違うよ。パパ…夢で見たような気がするんだけど、私に弟なんていないよね?」
「うん? パパとママとの子供はお前だけだぞ」
「そうだよね。よく考えたら夢の中でも今の私と背格好は変わらなかったし、そんな最近のことなら忘れるはずないもんね」
「ははは、弟か…。夢の中では何をしていたんだ?」
「あんまり覚えてないけど、遊園地に行ったり、お寿司食べたり、白黒の髪のおじさんと鬼ごっことかしてたかな…」
「そうかあ。楽しそうじゃないか」
「結構苦労してた気もするけど…」
「元気でやってるならいいさ。よし、片付け完了! ソワカ、支度しなさい。駅まで一緒に行こう!」
「はーい」

後編へ
http://blogs.yahoo.co.jp/arthur_icemint/10618429.html

電奇梵唄会奉納ソワカちゃん雑文祭 参加作品

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