大河ドラマ「真田丸」もいよいよ後半になり、今でも残る「城跡」などの「真田」の遺構には多くの人が訪れ賑わっているようだ。
「戦国ブーム」と言われるようになった昨今、ちょっと大きな書店には必ずと言ってよいほど「中世」の「戦国時代」を特集したコーナーが設けられて書籍の売れ行きも上々らしいし、とくに最近は「歴女(れきじょ)」と呼ばれる若い女性がデジカメ片手に遺構探索などをしている姿をよく見かけるようになったりと、老若男女を問わず多くの人たちが「中世」の「歴史ロマン」に浸っている。
とくに最近人気なのが、各地で開催されている「戦国イベント」で、自分も何度か見学にいったことがあったが、「甲冑」を身に纏った「現代の武者」たちによる「試し斬り」や「砲術演武」などは「戦国時代」の「合戦」を彷彿とさせ見ているだけでも楽しく、「火縄銃」で撃った「空砲」の轟音に観客は度肝を抜かれ、大きな歓声をあげる。
そんな「火縄銃」を使ったイベントで、何とも痛ましい事故が発生した。
場所は「愛知県」の北西部に位置する「長久手市」・・・・・
豊作に感謝する「長湫の警固祭り」においてイベント会場で行われた「火縄銃」による演武の際、「空砲」を発した「火縄銃」が爆発し、射手が「左手首切断」という大けがを負ったという事故だ。
その後の報道では最初の一発目は不発で、二発目の発射で銃身が吹き飛んだとのことだったが、一発目の火薬がそのまま残っていたことをうっかり忘れて、二発目を撃とうとさらに火薬を足したことで「燃焼」の「圧力」に耐えきれなかった「銃身」が破裂してしまったのか、それとも「火薬」を増量しても「銃身」は耐えられるという射手の判断だったのかは不明だけれど、結果として事故は起きてしまった。
自分が所属している「日本銃砲史学会」の先生方や、また知り合いで「日本前装銃射撃連盟」において「火縄銃」の「実弾射撃」を行っている先輩たちによれば、とくに「古式銃」という「古いモノ」を扱うという観点から「銃身破裂」や「尾栓」が抜けることなどの事故を防ぐために専門家による厳しい検査を徹底的に行い、現存する「火縄銃」の中から、使用に耐えうるモノだけを厳選するとのことだった。
そのようなことから、「銃身」そのものの「劣化」による破裂は考えにくいが、自分の勝手な想像としては、一発目の火薬が湿っていたことで「不発」となり、さらに「同じ火薬」を足したことで、何らかの理由によって「異常腔圧」が発生し、銃身が耐えきれなくなったのではないかと思っている。
これは「古式銃」だけの話しではなく、「現代銃」においても「異常腔圧」による「銃身破裂」は稀に発生している。
昔、「スラッグ弾」を「自動銃」で撃ったところ、「機関部」と「銃身の繋ぎ目」が破裂したという話しを誰かから聞いたことがあった。
「自動銃」だったので「ボルト」が顔面を直撃することもなく、幸いにしてケガはしなかったそうだが、よくよく聞いてみると、「スラッグ弾」は「リローディング」したもので、何と何種類かの「火薬」をチャンポンしたということだった。
・・・・何とも恐ろしい話である。
「火薬」はそれぞれ「燃焼速度」が異なり、性質も違う。
それを素人が勝手な考えで混ぜ合わせるなんて自殺行為に等しい。
また・・・混ぜ合わせないにしても、極端に薬量を多くしたり、逆に少なくしてグルーピングを確かめている射手もいるが、これも危険なことで薬量の多すぎは然ることながら、極端に薬量を減らした所謂「減装弾」も「異常腔圧」の危険性があるので、絶対にやめるべきだと考えている。
いつだったか狩猟の師匠が「338・375ルガー」を「薬莢のネック」一杯まで「火薬」を詰めて撃ったところ、数発で「薬莢」を掻き出す「エキストラクター」が欠けて吹っ飛んだ。
銃は堅固な造りで定評がある「サージャンライフル」だったが、その「エキストラー」が吹っ飛んだのだから「火薬」のエネルギーの凄さをまざまざと見せつけられた一瞬だった。
逆に仲間が「薬量」を相当減らした「減装弾」で撃ったところ、「薬莢」が抜けなくなってしまい、「銃砲店」へ持ち込んで抜いてもらったら「薬莢」が変な膨らみかたをしていたそうだ。
そのへんは詳しくないので何とも言えないが「火薬量」を少なくするということは、「薬莢内」にそれだけ「エアースペース」ができるので、もしかすると、その「エアースペース」が原因で「薬莢内」で「異常腔圧」を起こし、「薬莢」が膨らんでしまったと考えている。
どちらにしても素人考えであれこれ試すのは避け、「リローディングマニュアル」など経験に蓄積された資料に従って「弾作り」をやるのが最も安全だと思っている。
話しが逸れたが、今回の「火縄銃」による事故は報道で知る限り「ヒューマンエラー」であって、銃そのものの「瑕疵」による事故でないことは想像できるし、今後も貴重な文化遺産として「火縄銃」による「砲術」の演武を長く継承していってもらいたい。
「戦国時代大好き人間」の自分も、いずれは「火縄銃」を所持して撃ってみるつもりでいるが、その時が来ても「現代銃」同様に慎重には慎重をきして扱おうと考えている。