女性専用車両の合理性、正当性

知恵袋などでよく見かける、女性専用車両に反対する人らの、主張の間違いを正していこうと思います。

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裁判での鉄道営業法の扱いの流れを見ていこうと思います。
まず、地裁で原告は次のように主張しました。
 
女性専用車両は鉄道営業法の婦人の為に設けたる車室に該当するから、男性乗客が当該車両に乗車すると科料に処される
女性専用車両は男子乗客の乗用の用に供せられていないから同法33条3号により2万円以下の罰金又は科料に処される
この他、42条2号により、車外又は鉄道地外に退去させられる
 
このように女性専用車両は強制的かつ不当に男子乗客の乗車車両選択権を狭めるものである。
公共交通機関が女子に特権的便益を供与し、男子に不便、不利益、不快といった心身両面にわたる苦痛を与えるのは男子の人権を不当に侵害するものである。憲法14条に反する。
 
それに対して被告は以下のように主張しました。
女性専用車両は運送契約上の義務ではなく、優先座席の設置等のように旅客の任意の協力を求めるものにすぎず、刑罰による義務づけである鉄道営業法34条2号にいう「婦人ノ為ニ設ケタル・・・車室等」に該当しない。
 
鉄道営業法34条2号の要件である制止をせず、任意の協力によるものとして、適用を回避したのです。

それに対して裁判所は以下のような見解を述べました。
 
鉄道営業法33条3号の「列車中旅客乗用ニ供セサル箇所」とは、運転室、車掌室、荷物室等一般に旅客の立入を禁止している場所を指すと解されるところ、女性専用車両はこれに該当しないから、この点に関する原告の主張は前提を欠くと言える
 
鉄道営業法が男性の立ち入りに対して科料(同法34条2号)や車外又は鉄道地外への退去強制(同法42条2号)といった制裁を科していることに鑑みれば、同法34条2号の「婦人ノ為ニ設ケタル・・・車室等」は、運送契約上の義務として、男性に対して立入を禁止している車室等を指すと解すべきところ、女性専用車両が運送契約上の義務として男性に対して立入りを禁止していることを認めるに足りる証拠はない。そうすると女性専用車両が刑罰をもって男性旅客の立入りを禁止しているとはいえないから、この点に関する原告の主張も前提を欠く。
 
それに対し上告審で、原告は以下のように主張しました。
 
「旅客」とは男子旅客を指す場合,女子旅客を指す場合,両者を指す場合がある。そして,男子旅客を指していると解した場合、女性専用車両も含まれてくる。
鉄道営業法は公法であり、旅客運送契約は私的契約であるから、公法の適用は私的契約の有無、内容によって制約を受けない。
鉄道営業法34条2号は鉄道営業法「第三章・旅客及び公衆」に存在するから,旅客のみでなく公衆にも適用される広義の規定である。
よって婦人の為に設けられた施設である旨の掲示(婦人便所,婦入浴室,女性専用車両等)があれば,それは自動的に男子立入禁止という意味となり,当該施設に立入ってはならぬ義務が自動的に生ずる(正当な理由ある場合を除く。)。    
 
女性専用車両が運送契約上の義務として男性に対して立入を禁止している証拠がある。
条例に基づく規則には「(乗客等の義務)第4条 乗客及び駅構内の公衆(以下公衆という。)は,法令及び本市の条例、規則
、規程等を守り、駅構内及び車内の掲示並びに高速鉄道係員(以下係員という。)の指示に従わなければならない」との規定
があり、乗客及び公衆は駅構内及び車両の掲示に従わなければならないのであり,それは「乗客等の義務」であると明示されている
 
なので強制的に退去される、だから憲法14条に反すると主張したのです。
 
それに対して裁判所は以下のような見解を述べました。
 
旅客とは運送の客体である自然人をいい、男子旅客及び女子旅客をともに含むから,女性専用車両は鉄道営業法33条3号の「列車中旅客乗用ニ供セサル筒所」に該当しない。
 
証拠によれば御堂価線全駅の構内には「女性専用車両乗車位置」との掲示が.女性専用車両の車両には「女性専用車両」との掲示があり、また.女性専用車両の拡大に関する大阪交選局作成の文書(ピラ)には小学生以下の子共.体の不自由な客と介護者が乗軍できると記載されており,高速鉄道及び中量軌道乗車料条例施行規程には.「 〔 乗客等の義務)第4条乗客及び駅構内の公衆(以下 公衆という。)は,法令及び本市の条例.規則.規程等を守り,駅構内及び事内の掲示並びに高逮鉄道係員(以下係員という)の指示 に 従わなければならない」と定められていることが認められる。

 そうすると,他に特段の事情の認められない以上,女性専用車両は.同法34条2号の 『 婦人ノ為ニ設ケタル車室」に誌当するという
ほかない。もっとも.同条同号の立法趣旨や適用例は必ずしも明らかでなく、科料等を科する妥当性にはやや感問もあるが.上記のとおり,権限ある鉄道係員から制止を受けてはじめて科料等の適用が資定されるのであり,同車両に小学生以下の子供,体の不良由な客と介護者は明示的に乗車できるとされており,これらのものに準じた正当な理由を有する者も含め、科料等の適用の制限される場合が実際上多いと考えられる.したがって,権限ある鉄道係員の制止の有無が要件となるところ.被控訴人は任意の協力を求めているというのであるから,強制的制止をすることは極めて限定的であるといえ,任意のものに近いというべきである
 
強制的制止もありえますねと、原告の主張が通ったのです。しかし直後に「目的も正当、手段も正当」として、違憲にはならないとされてしまったのです。

閉じる コメント(5)

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たしかに、「鉄道係員の強制的制止後、鉄道営業法34条2号が適用できる」などとする裁判例(大阪市営地下鉄御堂筋線の終日化に関する訴訟の控訴審判決)がありますが、これは6つある裁判の1つに過ぎず、他の5つの裁判では、ハッキリと「任意であれば合憲」=「任意でなければ違憲」という判断が下されています。「多数決」の論理からすれば、「任意」と解するのが妥当でしょう。なお、前述の控訴審判決でも、「鉄道会社は強制的制止をしない、と言っているので、任意に近い」などとつけ加え、「任意性」を全面的に否定していません。
したがって、この記事の内容だけで
>違憲にはならないとされてしまった
(最終行より引用)
というのは、いささか無理があります。 削除

2012/8/2(木) 午前 11:20 [ スチール ] 返信する

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本件訴訟の
請求の趣旨は「被告は原告に慰謝料を支払え」ですか?
民法第709条

請求原因は女性専用車両導入で原告が不当な損害を被った?

2013/5/6(月) 午前 9:50 [ nin**40g*e ] 返信する

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他の裁判では、鉄道営業法34条2号が適用されることはない、任意の協力である、となっていますね。

2016/1/5(火) 午後 5:53 [ xpw***** ] 返信する

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これの判例の番号が知りたいです

2017/8/19(土) 午前 2:51 [ CORE ] 返信する

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メールアドレス教えてくだされば送りますよ

2017/8/21(月) 午後 0:19 [ aru*a_s*1 ] 返信する

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