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雪原の赤い満月
昨年暮に熊本から届いた合鴨を
正月2日に鍋にして
美味しさに舌つづみをうった
若い頃
大雪山の小屋番兼料理人をしていた夫は
鍋の残り汁にご飯を入れて
雑炊を作り
夕食の準備万端整えてから
3時30分
私たちは自宅前の氷湖へ
広大な氷の雪原へと
スキーで散歩に滑り出た
厳冬期以外は
底深い湿原と
オホーツク海に連なる
大きな湖からなる汽水湖は
今広びろとした氷原に変容し
新春の真っ青な空の下
白鳥は
岸辺から遠い水面に憩い
オオワシやトビが
大空を雄飛する
白い雪原には
キツネやネズミの足跡や
オジロワシやオオワシなどの大きな鳥たちが
降りたった羽の跡が残っている
遠くに私たちの姿に気づいた狐が
走ってゆく姿が見える
大きな青い空を仰ぎ
空につづく白い地平を目尻に
二匹のヒトがスースーッと滑り歩く
湖に注ぎ込む三本の小川は
凍りついてはいるが
川を渡る時は氷が割れる危険性を
常に注意しなければならない
左手の国道沿いの西空が
茜色に染まりはじめ
湖畔の木々が黒いシルエットを写す夕の刻
私たちは斜里岳を眺めながら
帰路を急ぐ
シューシューシューとスキーをこいで
そろそろ月が左手の
オホーツク海側から出てくるはずと思いながら
暗くなりかけた雪上を
急いで歩く
我が家近くの橋の上に上がった時
大きい真っ赤な
朝の太陽と見紛うような満月が
雪原の上空に出現した
胸ときめき
すかさずカメラを取り出しシャッターを押す
16時39分の記録が記されていた
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2015/4/15(水) 午後 3:09