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早春の朝の散歩 2015年4月9日(木)
目覚め前の
朝の瞑想妄想から覚め
ベッドから抜け出て、湖側の客間の窓を見ると
一面の赤い雲たなびく朝焼けの空
朝5時急いで身支度をして外に出る
海に突き出た岬の中央の山際に
大きな赤い火の玉が鎮座し
光と熱を地球のものみなに与えていた
大雪に見舞われたこの冬
庭に出現した雪の大山も小山になった
雪で閉ざされていた湖畔の小道は歩道に戻り
白い雪原は3分の2以上が枯れ草色に変わった
凍った枯れ草が丸い谷地坊主の群れのように
雪原に姿を見せると
雪原は湿原へと
大きく大自然の衣装替えをする
庭の小さな雪山は
朝の氷点下時間帯は、まだ凍っているため歩行可能だ
サックサックと音を立てて、なごり雪の上を歩く
火の神様をお迎えに
火の神様を見つめながら
除雪された散策道を10分ほど歩き
岬の上の赤い陽の神に挨拶をして
帰りは雪原の硬い雪の上を
雪音を響かせながら歩いて帰る
雪原の中を走る小川は滔々と流れ
雪解け水を湖へと運び
山の水をオホーツク海へと注ぎ込む
遠くには帰ってきた白鳥の姿も見える
春の朝の情景
お久しぶりね
フクジュソウさん
元気かい
ふきのとうくん
美味しそうだね
春だね
また君たちの世界だね
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poems
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雪原の赤い満月
昨年暮に熊本から届いた合鴨を
正月2日に鍋にして
美味しさに舌つづみをうった
若い頃
大雪山の小屋番兼料理人をしていた夫は
鍋の残り汁にご飯を入れて
雑炊を作り
夕食の準備万端整えてから
3時30分
私たちは自宅前の氷湖へ
広大な氷の雪原へと
スキーで散歩に滑り出た
厳冬期以外は
底深い湿原と
オホーツク海に連なる
大きな湖からなる汽水湖は
今広びろとした氷原に変容し
新春の真っ青な空の下
白鳥は
岸辺から遠い水面に憩い
オオワシやトビが
大空を雄飛する
白い雪原には
キツネやネズミの足跡や
オジロワシやオオワシなどの大きな鳥たちが
降りたった羽の跡が残っている
遠くに私たちの姿に気づいた狐が
走ってゆく姿が見える
大きな青い空を仰ぎ
空につづく白い地平を目尻に
二匹のヒトがスースーッと滑り歩く
湖に注ぎ込む三本の小川は
凍りついてはいるが
川を渡る時は氷が割れる危険性を
常に注意しなければならない
左手の国道沿いの西空が
茜色に染まりはじめ
湖畔の木々が黒いシルエットを写す夕の刻
私たちは斜里岳を眺めながら
帰路を急ぐ
シューシューシューとスキーをこいで
そろそろ月が左手の
オホーツク海側から出てくるはずと思いながら
暗くなりかけた雪上を
急いで歩く
我が家近くの橋の上に上がった時
大きい真っ赤な
朝の太陽と見紛うような満月が
雪原の上空に出現した
胸ときめき
すかさずカメラを取り出しシャッターを押す
16時39分の記録が記されていた
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2015年 元旦の祈り
山小屋で年越しをする
12月大晦日
夫は山から拾って来た
折れたトドマツの枝を
門柱と玄関と床の間と神棚に飾り付け
私はお鏡餅を
神棚と床の間にお供えし
亡き父母にお祈りをしてから
自宅から6キロ離れた
山の登り口に車を置いて
スキーを履いて山小屋へ登る
山小屋の照明は
昔ながらの灯油ランプと
赤々と燃える薪ストーブの炎
食事の時だけ蓄電池で電灯を灯す
屋内は畳20畳程の三角屋根のロフト付き
「Aフレーム」と呼ばれる三角の屋根は
15年前アラスカ・デナリキャンプを訪れた時
招いてくれたシリアとジニーの
アラスカの山小屋を模して
夫と私と学生たちが手造りで建てたものだ
木製の壁全面には
元プロカメラマンの夫の
スキー・かんじき・スノーシュー・山道具のコレクションと
うちの山を訪れるエゾクロテンや
夫が撮った大雪山のヒグマの
写真が飾られている
写真撮影用に開閉式に切り抜いた玄関ドアの真上には
著名なカンジキ制作者でもあった書家の
「森羅万象」の書が
ランプの明かりに浮き上がり
この森の宇宙のさやぎを
静かに奏でてくれる
家から持ってきた
おせちと年越しの酒をたしなみ
薪ストーブの赤い炎とともに酔い
薪がパチパチはじける音を子守唄に
ソファーベッドに知らぬ間に眠りこけた
3時半、目が覚めて
新年になった夜空には
少し欠けた月が西空高く
やさしい微笑みをうかべていた
そして
白い雲がたなびく濃紺の空のすき間には
星が ピチピチときらめいていた
新しい年の初め
天の月と星に
新春の挨拶をささやく
あけましておめでとう
今年も見守ってください
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人の世のこと 2014年12月14日(日)
斜里岳は灰色の
熊の形をした雲に覆われ
熊雲は火の色に
彩やかに縁どられ
日輪の現れを
前触れする
その上空をジェット機が
火色の曳航を残しながら
動いてゆく
山裾から
赤い大きな太陽が
ゆっくりと昇ってくる
広大な湿原の
氷の葦原に
赤く照らされた枯れ草に
真珠の光が
無限に散りばめられる
選挙の日だが
人の世のことは分からぬ
民草は
生き続けるのか
一旦文明が終息し
数千年後に地球に
また新しい文明の曙が来るのか
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2014年11月6日
白鳥到来
満月が未明の西空に
黄金の光をたたえて優しく輝き
白樺の丈高い木立に
無数の星の実がきらめき実る
街路のトドマツの黒い並木の上空には
オリオンの星座が悠容として
旅を楽しむ姿が見える
冴え渡った夜と朝のあいだ
秋の未明の時間
けたたましくなく鳥の鳴き声が響く
リーダーのケッケッケッケという声に続いて
ガーガーガーガーという大勢の鳥たちの声が続く
姿は見えないが
シベリアから遠くオホーツクの
大きな湖に到着した白鳥が
長い渡りの旅の終りを喜び合っている
声かもしれない
とうとうやって来た白鳥の飛来を
金色の満月が見守っている
湖の上空高く
北斗七星が柄杓を縦にした形で
瞬いている
腕時計は4時を指すが
外はまだ暗い
秋の朝まだき
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